「雨水のゆくえ」(理科4年)砂を洗って失敗を避ける ~楽しい理科実験vol.10

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簡単そうで、けっこう難しい

学習指導要領4年生の理科には、

(イ) 水のしみ込み方は,土の粒の大きさによって違いがあること。

と記されています。

教科書では

「雨水が地面に浸み込む時、土と砂ではどちらが速く浸み込むのか?」

という実験をするようになっていることが多いと思います。底に穴をあけたカップに入れた「土」「砂」に水を流し込んでどちらが速く流れ落ちるのかを調べます。土と砂に限定しているのにはやや疑問があります。地面に粒子が荒い砂があっても、そのすぐ下に水はけが悪い層(粘土層)があれば、大雨が降った後なら浸み込まなくなるのでは・・・とか、考えてしまいます。

・・・まあ、それは置いておいて、「土」「砂」に限って話を進めます。

「土」「砂」に限ったからと言って、思っているほど簡単な実験ではありません。運動場で土らしきものと砂場から砂らしきものを子供がとってきて予備実験をしても、いま一ついい結果が出ない場合があります。

【簡単ではない 1】

砂=大粒  土=小粒

と、イメージしがちですが、実際は砂の中にも小さい粒子が混ざっています。その混ざりようも学校によって、場所によって違っています。

【簡単ではない 2】

また、カップの底に穴を空けて片方には砂、もう片方には土を入れて水を流し込むと砂・土の中の小さい粒子がカップの下の方に落ちて底の方にたまることがあります。そうなると、それより上にある水の流れを止めます。場合によっては砂も土も変わらないか、砂の方が遅い場合もあります。勤務校の教科書ではカップの底にガーゼを敷いてその上から砂を入れるように記載されていますが、ガーゼは小さい粒子で目詰まりして、水が落ちなくなります。

【簡単ではない 3】

こんなこともありました。子供たちはこの実験が楽しいので「先生、もう一回、やってみようよ!」と、言ってくることがあります。ところが、1回目の実験で細かい粒子が底のほうに溜まっていると、2回目とはまた違う様相を見せる場合があります。

必ず予備実験を!


教科書では土より砂の方が水が浸み込みやすいと結論しているので、それに反する実験結果が出てしまうと子供たちは混乱してしまうし、こちらも説明がしどろもどろになってしまいます。必ず、予備実験はしておきましょう。どんな実験でもやっておきましょう。

砂をどう調達するか

問題は、砂をどう調達するかです。砂場の砂が粒ぞろいでどれも大きな粒子であれば何の苦労もありません。そうではなく、けっこう小さな粒子が混ざっている場合が困ります。

勤務校の砂は粒子があまり大きくない上に、かなり小さな粒子が混ざっていたので、困りました。1回目の(予備)実験でもあまり土と差がありませんし、2回目になるとさらに小さい粒子が底に溜まり出して差が無くなります。砂の方が速く水が落ち切ってしまうケースも出てきました。

これは困ったと思い、海に砂を取りに行こうと思ってネットで調べてみると、一応、それは違反行為らしいです。さすがに公教育の実験材料を仕入れるのに違反行為をして調達するわけにはいかず、ホームセンター(ロイヤルホームセンター)に砂を買いに行きました。ところが、その砂もけっこう混ざり物が多くて同じような結果になってしまいました。

仕方がなくて、もう一軒のホームセンター(コーナン)に行くと、まあまあ粒子が大きい砂を購入できました。ところが、やはり小さい粒子が混ざっていて底に溜まってくるので、結果はあまりよくないのです。

仕方がないので、その砂をバケツの中で良く洗って細かい砂を洗い流してしまいました。バケツ2杯分ぐらいの水で洗うと、水が半透明になってきます。それぐらい洗えば十分です。網戸の網を買ってホースで洗うと早いです。洗った「砂」を使うと今度はちょっと速すぎてあっという間に浸み込んで落ちてしまうのですが、まあ、それは仕方がないでしょう。

その砂は一度、細かい粒子を洗い流してしまうと、何度でも使えるので、来年にも置いておきましょう。カップ20個に入れる程度の量なので、洗って大きいトレーに広げて乾かしておけば、何回でも使えます。砂は使えば使うほど小さい粒子が落ちていき、水が速く落ちるようになります。上の写真のようにカップ1/4程度の量なら、砂は水はけがいいのでカップに入れたまま日向に置いておいておけば、数日で乾きました。下の写真は砂を乾かしている所です。

土は捨ててしまってもいいと思います。乾きにくいし固まりますので来年また補給すればいいです。ほとんどの土は、洗った砂より早く水が落ちることはないです。

本来であれば、子供にこの「洗った砂」を準備させるところから始めたい、いや、もっと言えば一度自分たちで採取してきた砂や土を使って失敗させてから「粒がそろった洗った砂」を準備させたいところです。教師がお膳立てするとあまりにも実験がスムーズに行き過ぎて少し残念な気もします。しかし、そんなに失敗をさせる時間的余裕もないので、自分で洗いました(涙)。

下図のように来年度のためにセットにして置いておくといいと思います。教材の共有も大事です。

「砂セット

実験の準備とコツ

「カップセット」

  1. プラスチックのカップの底に錐で穴をあけます。カップには、砂をどこまで入れるのか、印をつけておいた方がいいです。
  2. 網戸の張り替え用の網を買ってきて、カップの底に敷くとちょうどよい水の落ち具合ぐらいになりました。ガーゼでは目詰まりを起こしてしまいます
  3. ビーカーにそのままカップを乗せると空気の抜け道をふさいでしまう事になるので、割り箸の下から3cmぐらいの所を輪ゴムでくくり、それをエックス状開いた上にランスよくカップを置きます。
  4. 実験する時には、2人組にして、カップ(写真の赤いカップ)に同じ量の水を入れて「せーの」でタイミングをとって同じ速さで砂・土を入れたカップに流し込みます。けっこう2人の息が合わないので、少しタイミングを合わせる練習をさせる時間をとった方がいいです。
  5. 洗った砂を準備できていれば、2回目、3回目の実験をしても、必ず砂の方が速く水が落ちていきます。

しっかりと準備をしてしまえば、上記の「砂セット」と「カップセット」を保存しておけば次の年からはとても楽になります。

砂利も試したが

砂と比べて、砂利(じゃり)であればもっと早く水が落ちるのではないかと考えて、「砂vs砂利」を試してみました。どちらが早く水が落ちたと思いますか?私は砂利が随分早いのだろうなと思って試してみました。結果は「やや砂利が速い程度」でした。これも、実際の実験の妙で、プラスチックのカップの底には5つしか穴が開いておらず、その上には網戸用の網が置かれています。この網の隙間と5つの穴を抜けることが水が落ちる速度を決めてしまうのです。いわゆる律速段階が「網と穴を通り抜ける点」にあったのです。

それで試しに、空のカップに水を入れたのと砂利を入れたカップで「空vs砂利」をやってみましたが、これもそれほど変わりはありませんでした。

予想が外れるのも実験の面白味です。「穴の大きさや個数」「砂の量」といった条件を変えるとどうなるのかも興味深い所です(やっていませんが)。今回の実験に際して、予備実験の繰り返しに使った時間はもったいないと思う一方で、教科書が提示する実験方法に疑問を持ち、探究して実証するという過程は面白いと言えば面白かったです

余裕があればろ過実験も

もしも時間的に余裕があるなら、濁っているぐらいの泥水を作っておいて、まず教師のデモンストレーションで、砂の方でろ過してみます。流れ落ちるのは早くても、砂は粒子が荒いので、あまりきれいになりません。次に、土でろ過をしてみます。

「土はどうなると思う?」

と、聞いてみましょう。場合によっては(泥水と砂の粒子の大きさによっては)泥水投入後、ろ過しきるまでにはけっこうな時間がかかるかもしれません。カップを教室の後ろにでも置いておくと、下校する頃か、次の日になったらきれいな水が落ち切っていると思います。

ゆっくり落ちても、きれいになるんだ!

井戸もすっかり見なくなったし、湧き水を見た経験がある子供も少ないと思います。地下水と言う目に見えない所に、けっこうきれいな水が存在することに思いをはせるのも、いい経験かと思います。

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