1 はじめに
こちらの記事は、静岡県で30年間以上続く教員サークル、シリウスのホームページに掲載されている教育実践法の一つをご紹介しています。
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2 実践内容
大地のつくりと変化
本単元は、実物を使った観察実験がしにくいので、実物を用いたシミュレーションをすることにより、実感を伴って理解できる工夫をした。
水のはたらきによる地層のできかた
安倍川の写真を見よう。この地形はどのようにしてできたのだろうか。(※青色=教師の発問/以下同様)

最初に川原の写真を提示した。写真を見て気づくことを尋ねると、子どもたちからは、
* 同じ高さのところは、石の大きさが同じ。
* 小さな石が下で、大きな石が上にある。
そこで、この石の大きさの違いに注目をした。
自然の川には、なぜ上にも大きな石があるのだろう。
* 川の水が流れているから。
* 石が流れたから
* 大きな石は下に落ちて、細かな泥は上に積もる。
* 川の水が流れて石が積もって、同じ仕組みで何回もできるから。
川の水の流れと石の積もり方の実験
川の水の流れによって、上にも大きな石が積もるのか実験してみよう。
発問2の仮説として、大きな石は下に落ち、泥は上に積もること、このサイクルが繰り返されることが出されたので、沈降実験と流水実験を行った。

沈降実験器に土砂を落とすと、きれいな縞模様を観察することができた。流水実験については、ペットボトルを使って実験器を作成した。実験器は、大きなペットボトルをハサミで加工するだけの単純なものである。作りかたは、次に示すとおりである。
流水実験器の作りかた
(1)大きなペットボトルの上部を四角に切り抜く。
(2)切り抜いた部分を底面に立てかける。
実験方法
(1)樋の上に土砂を乗せる。
(2)水と一緒に土砂を流す。
(3)必要に応じてペットボトルのふたを開けて余分な水を流す。

単純な実験装置であるが、右上写真のように縞模様を観察することができた。
このように、一度土砂が積もったあと、その上にまた新たな土砂が流れ込むことで、縞模様ができ大きさも違うことがわかった。
化石の発掘、地層の観察
水のはたらきによって縞模様ができることがわかった。沈降実験をする際に、偶然木や枝などが一緒に積もることがあった。このことを取り上げて、化石のできかたについて説明した。
化石ができるしくみがわかったところで、化石の発掘体験をおこなった。
化石の発掘
塩原の石を発掘してみよう。運がよければ化石が出ます。
栃木県「木の葉化石園」から取り寄せた化石の石を配り、化石探しをおこなった。この化石探しに子どもたちは熱中する。
「ヤッター、先生あったよ」
「あーっ、割れちゃった」
「この黒いの何だろう?」
石を片手にいろんなことを言いに来る。
ほとんどの岩石には、木の葉の化石が入っているが、中には入っていないものもある。このことを話すと、宝さがしのような気持ちで石を慎重に割っている姿が微笑ましい。子どもたちは、目を輝かせて活動に没頭する。
薄い層が積み重なったものなので、マイナスドライバーとトンカチを使って、層をはがすように取るとよい。出てきた化石にニスを塗ると大変立派なオブジェになる。
購入先
木の葉化石園 http://www.konohaisi.jp/
・化石の原石(1袋)を550円(税込)+送料60円

また、社会科見学を利用して、市内にある露頭の観察をおこなった。静岡市清水区の船越堤公園の北側駐車場に地層の見られる露頭がある。そこでこの露頭の見学をおこなった。当日は、静岡科学館から地学の先生をお招きして、この場所がどのようにしてできたのかや砂と泥の違いについてお話ししていただいた。
礫:2ミリ以上の大きさ。ごつごつする感触。
砂:指紋の幅より(0.2ミリ以下)大きい、ざらざら感がわかる。
泥:ざらざら感がなく、ベビーパウダーのようにしっとりしている。
シルト:砂と泥の中間で、ざらざらもしっとりもしない。
また、有度山の地形がどのようにしてできたのかをスケッチブックを使って説明をした。こうしたフィールドワークでは、スケッチブックを使ったプレゼンすると有効だと考える。

船越堤、有度山の説明
1 現地で地層を見る
2 触ってみる。大きさ:泥…指紋の中に入る
3 この地層は、水/火山の働きのどちらでしょう。
4 スケッチブックで有度山の成り立ちを説明する
時代 第四紀更新世 200万年前
(1)現在の姿
(2)有度山の構造(イラスト)
(3)根古屋累層の堆積
(4)久能山礫層の堆積 安倍川由来
(5)海進により有度島の形成 草薙泥層の堆積
(6)さらなる海進により小鹿礫層の堆積
(7)国吉田礫層が堆積
(8)海退(縄文時代)による陸化
有度山の隆起 3mm/年
(9)海岸流による浸食
5 スポンジモデルによる説明
火山のはたらきによる地層の仕組み
地層のできかたには、水のはたらきによるもの・火山のはたらきによるものの大きく二種類がある。火山のはたらきによるものについて、モデル実験を取り入れて理解を深めた。
まずは教科書を使って、火山灰でも地層ができることを教えた。教科書には、シラス台地や関東ローム層が取り入れられている。
火山灰のモデル実験
火山灰のモデル実験をしよう。
実験方法
1.砂で小さな山を作り、頭頂部に広くて浅い穴をつくる。
2.穴の中に薬さじ2杯程度の二クロム酸アンモニウムを入れる。
3.二クロム酸アンモニウムに火をつける。
高さ20cmほどの山を作り、ニクロム酸アンモニウムという薬品に火をつけると、まるで火山が噴火したようになる。緑色の火山灰のようなものを噴出し、その様子がまるで火山そっくりである。

これを見た子どもたちからは、
・先生、こちら側だけに積もっているよ。風が吹いているからかな。
・下の土と違う色の土(緑色)が積もったよ。
と、火山灰による堆積の様子に気づくことができた。
この火山灰は、キラキラと光った鉱物が含まれる。次の時間は、川原の砂と比べることで火山灰の特徴を観察した。
火山灰の特徴を調べる
色、大きさ、形の視点を与えて両者を比べさせた。用意したのは、川原の泥と火山灰である。火山灰は、商品名「まる軽石」(100円ショップで販売している桜島産のもの)を使用した。まる軽石をハンマーで砕き、乳鉢で細かくつぶしたあと、椀がけをおこなった。乳鉢で細かくしておけば、椀がけは2回ほど水を通せばよい。
観察の結果は、次のようになった。

このことから、「火山灰は角ばったものが多く、ガラスのように透明なものがある」という特徴をよりはっきりととらえることができた。こうした火山灰の噴出物を火山ガラスと呼ぶことを教えた。
こうして観察をしたあとに、形について考えさせた。
川の砂が丸い理由
川の砂が丸い形をしたものが多いのは、どうしてだと思いますか。
・水でながされて角が取れたから。
・転がったから
・石と同じように、砂も角が取れた。
5年生のときの学習を思い出しながら、小さな砂についても石と同じように、水のはたらきで角が取れることを考えることができた。
3 プロフィール
静岡県教育サークル シリウス
1984年創立。
「理論より実践を語る」「子どもの事実で語る」「小さな事実から大きな結論を導かない」これがサークルの主な柱です。
最近では、技術だけではない理論の大切さも感じています。それは「子どもをよくみる」という誰もがしている当たり前のことでした。思想、信条関係なし。「子どもにとってより価値ある教師になりたい」という願いだけを共有しています。

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