プランター用のトレイを使って
5年生で3つの川のはたらきを観察する実験があります。水が浸食・運搬・堆積をしている様子を川に模した実験装置で観察します。大規模な実験装置(=高価)を1台、業者から購入してMAX35人の子供に見せるというのは少し雑な気がします。学校に土の小山があればそこに水を流して実験するが面白いです。頂上に水を注ぎ、四方~八方へ流れるように川を作って比べてみると子供たちも興味を持ちます。しかし、それもMAX35人の子供では場所が足りません。場所が足りないからと言って教師と数人だけで作った川に水を流して見るだけでは面白くないです。できれば実験はデモンストレーションではなく、子供が自分で、少人数でできる形を作りたいです。
そこで、プランターの受け皿用のトレイ(以降、受け皿)を使って実験をします。プランター用のトレイは価格が安いため、2人で1実験、もしくは3人で1実験が可能になります。
5年生の子供でも、泥遊びが大好きです。遊ばせてあげたいのはやまやまですが、遊ばれてしまうと無茶苦茶になって何の実験であるのか分からなくなります。「楽しいだけの理科実験」になってしまっては不味いです。そこで、ただの泥遊びになってしまわないように、準備やルール作りについて述べていきたいと思います。
準備と実験の進め方
実験をする際に、準備段階から子供に関わらせることはとても大事だと思います。しかし、クラス経営・授業経営がうまくいっていない場合は準備をしている間に失敗が起こったり、遊び出したりしてしまい、実験にたどり着いた時には既にだらけきって指示が通らなくなってしまう場合もあります。特に今回の実験は水や泥を扱うため、混乱しがちです。ある程度の準備は教師側でしておいて、混乱を抑えた方が良いと思います。準備のいくつかの部分は理科係とかに手伝ってもらってもよいかもしれないですね。
まずは教師側の準備です
① プランターに土を盛る。・・・プランターの高さよりも5㎜ぐらい低く盛ります。分度器や▼定規をへら代わりに使って平らにしておくといいです。
② 海の部分を作る。・・・堆積の様子が観察できるように10cm手前までを海にします。シールを貼っておくといいですね。写真では黄色のテープを貼っています。

③ 海の方に穴を開けておく。・・・水が排出されて混乱が減ります。写真は水が排出される部分をシンクに突き出しています。理科室の構造によってこれができない場合は何か水を受けるものが必要になりますね。大きなトレイがあるといいのですが・・・。
④ 上流を少し高くしておく。・・・写真では廃棄された給食のカップを使いました。あまり高くすると土砂崩れが起きるので注意してください。傾きは10度~15度ぐらいがいいと思います。(流す水の量によります)
⑤ ペットボトルの底に穴を開ける。・・・ペットボトルは蓋をはずし、写真の青の部分には1個の穴、赤の部分には3個の穴をキリで開けました。色は塗っておいた方が指導しやすいと思います。穴の数は1個と2個でもいいような気もしますが、たくさん流した方が面白いかもしれません。

⑥ 段ボールで川の曲線の型を作る。・・・段ボールだと濡れてふにゃふにゃになるので、できればプラスチックなど、別の素材の方がいいのですが。曲線はあまり曲げすぎない方がいいと思います。曲げすぎてかつ水の量が多すぎると、洪水になります。本来ならこれも子供に試行錯誤して準備させたいところですが、実験の成否を決める大事なポイントなので、手間はかかりますが教師側で準備しましょう。

⑦ 乾いた土を乗せた場合は少し水でぬらしておいた方が良いと思います。・・・乾いていると土が滑り落ちることがあります。
【実験1】開始です。
⑧ 今日の実験のテーマは「〇●〇●」です。水と土があると、泥んこ遊びをしたくなるのはよく分かります。泥んこ遊びも大事だと思っていますが、この時間は理科の実験として〇●〇●することが目当てです。遊んでしまうなら、取り上げます。・・・釘を刺しておいた方がいいと思います。釘を刺しておいても酷いことになった班が1つ出てしまいました。
⑨ 今日の実験では、必ず見てほしいことがあります。【浸食・運搬・堆積】です。しっかりと3つの川の水、流れる水のはたらきを観察してください。・・・教科書では実験をしてから3つの作用があることを導き出すという順序になっていますが、ちょっとそれは荒れているクラスやぼんやりしている子供が多いクラスには難しいかもしれません。実験の前の時間に3つの作用について学習しておき、実験の時にはその観点を先に言っておいた方が集中力が出るように思います。
⑩ ペットボトルは必ず、川の始まりの部分に固定します。ペットボトルはこのプラスチックケース(プランターの受け皿)にずっとつけておきます。・・・実験が荒れないためのとても大事なポイントです。悪い見本で、上から水を落とす様子を見せてもいいかも知れません。
⑪ ペットボトルに水を入れるのは1回だけです。・・・本当は2回やらせてあげたいですが、2回目は遊びになりやすいです。クラスの様子によって1回か2回かを判断しましょう。
⑫ 川が掘れたら、手を上げて下さい。先生が確認します。先生にOKをもらったら青色を塗ってあるペットボトルを取りに来なさい。水を入れたら実験を始めます。
【実験2】です。
⑬ これから、3つの穴が開いたペットボトルで水を流します。水の量が増えたらどうなるかを観察します。1つの穴が開いたペットボトルと比べてどうなのか、よく見て下さい。比べるときは「条件を〇〇〇〇」でしたね(そろえる)。最初の実験と同じように川を作りましょう。分度器を使って土を平らにしましょう。海に堆積した土も地面に戻します。段ボールの型を使って川を堀り直します。
⑭ 川が掘れたら、手を上げて下さい。先生が確認します。先生にOKをもらったら赤色を塗ったペットボトルに水を入れて実験開始です。
実験の結果
【浸食・運搬・堆積】の3つのはたらきをどれも、よく観察できましたし、水量が増えると3つのはたらきが大きくなることも理解できていました。全体的に落ち着いて観察できていましたが、残念ながらペットボトルを受け皿の縁につけておくことができずに、高い所から地面全体に振りかけている児童もいました。
3つの穴が開いたペットボトルを使った時には、いくつか洪水状態になってしまいました。洪水状態になると水が堰き止められ、地面全体が濡れてしまうことになって【運搬・堆積】の様子がじっくり見られなくなります。
必ず予備実験をして、どの程度の深さと幅があれば水の量を増やしても川が流れるのかを確認しておいた方がいいと思います。川の深さも幅も、指示が曖昧になりやすいので、私は少し小さめのスプーンを使って「スプーンの幅ぐらい」に「プランターの底がギリギリ見えないぐらい」という指示を出しました。それでも2件、洪水が起きてしまいました。⑫⑭で示した教師による深さと幅の確認作業は必要だと思います。
洪水が起こらないようにするためには
時間に余裕があったら、洪水になりにくい川を作ってみるのも面白いです。
洪水状態になってしまった班の件を取り上げて、
「●班さん、たいへんなことになったね。川が洪水になることに、昔はたいへん悩まされました。今でも、洪水が起こるからね。昔の王様とか殿様にとって、リーダーとして川が洪水にならないように人々を動かすことはとても大切な仕事でした。」
「さて、みんなも洪水が起きない川を作ってみましょう」
と、指示を出します。
「土手を固める」「土手を高くする」「川幅を広げる」「川底を深くする」などを工夫して活動していました。結局は「川をまっすぐに流す」が一番、洪水が起こりませんでした。とは言え、現実的には田や畑、住居が存在する状態で、川をまっすぐにというのは、なかなか難しい課題です。治水のたいへんさも少し理解できたようです。

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