鉄板の理科実験
4年生の理科では空気の伸び縮みについて学習します。この時の教材として用いられるのが空気鉄砲です。理科実験は失敗や良いデータが取れない事が割と多い中にあって、空気鉄砲はどう転んでも面白い「鉄板の理科実験」です。
最近の空気鉄砲は「前玉・後玉」で飛ばすものではなくなってきており、「後玉」の代わりに「ゴムが付いた押し棒」が使われていることが多いようです。この記事は「押し棒」方式の空気鉄砲を使った授業について記述しています。
導入時
まずは存分に空気鉄砲に触らせてあげればいいと思いますが、その前にあまり混乱が広がらないように、子供たちに釘を刺しておかねばならないでしょう。
「玉は柔らかくて安全に作ってくれてはいます。当たったからと言って、大けがをすることもないし、それほど痛くないです。それでも、人に向けて撃つのはいけません。生き物を撃つのもだめです。もし、目に入ったらけっこう痛いです。痛くても痛くなくても、失礼です。そして勉強するために買ったものですから、人を撃つ遊びになってしまったら困ります。人に向けて撃つのなら取り上げます。」
「『人を撃たない』を守ることができるのであれば、しばらく色々と試してみてもいいです。」
名前を全ての部品に書いた人から、それで5分ぐらい好きに遊ばせてから、
「すごい、色んな工夫が出てきたね。●●さんは、▽◎□していたよ。」
「こんないい工夫ができているのを忘れたら勿体ないよね。せっかくだから、ノート(工夫・予想・結果のプリントを作ってもよい)に書きとめておいてください。」
と、項目ごとに「工夫・予想・結果」を書かせておきます。「やってみたいこと」も書かせるのもいいかも知れません。
空気鉄砲1日目は、たくさん活動させた後、ノート(プリント)を集めて終わっていいと思います。
何が玉を飛ばすのか(ゆっくり押してみると)
ノートはあらかじめチェックしておきます。空気鉄砲2時間目は、子供たちに「なぜ玉が飛ぶのでしょうか」ではなく、「何が玉を飛ばすのでしょうか」と、問いかけました。「何故」と聞くと「難しそう」と思って答えられなくなる子供たちもいますが、「何が」と問うと答えやすいです。多くの子供が「空気」と口にします。自分の意見が持てない子供も、「空気」と主張する子供に引きずられている感じです。1時間目に十分に経験しているため、「玉が押し棒に押されて飛ぶ」という意見は出ませんでした。中には「気合」「筋肉パワー」とか言っている子供もいました。私(教師)は空気鉄砲を持ちながら、子供に問いかけます。
T「何だかみんな、『空気が飛ばしている』という意見に引きずられているみたいだけど本当にそう思うの?」
C「そうだよ」
T「何でそんなことが言えるの?(ポンと一発、撃ってみて)ん?空気って、見えないよね。何で見えていないのに空気が飛ばしているって言えるの?」「(思い切りポンと一発、撃ってみて)ほら、これ、『気合』で飛ばしたよ。先生の筋肉パワー、すごいでしょ」「(もう一度、思い切りポンと一発、撃ってみて、筒の先まで押し棒が届いているのを見せながら)ほら、ここ、押し棒が玉に当たっているよ。押し棒が玉を飛ばしたのかもよ。」
と、煽ってみます。そうすると、子供たちは、
C「違う違う」
C「そんなに気合を入れなくても飛ぶよ」
C「押し棒を全部押さなくても飛ぶよ」
C「ゆっくり押しても飛ぶから!」
と、反論してきます。
そこで、「じゃあ、ゆっくり押してみようか?」と、ゆーっくり押します。途中で、
T「ゆっくりじゃ、飛ばないよ!」
C「もっともっと!」
T「(ゆっくり押して注目させて)んー・・・あれ、飛ばないよ!」
C「いやいや、もう少し!」
T「パワー!(急に思い切り押して飛ばして≒ボケ)ほら、やっぱり気合じゃないか!!」
と、細やかなボケを入れます。4年生の子供であれば、このレベルのボケでも大喜びです。
C「違う!」「違う!」「違う!」「違う!」「違う!」
そこで、「じゃあ、誰か、ゆっくり押してみてよ」と、誘い出します。
出てきた子供が難なく成功させ、「ほー」「ほらー」という声が上がります。
何が玉を飛ばすのかを考える
「何が玉を飛ばすのか」は、「どんな時に玉が飛ばないのか」を考えることからも、分かってきます。「空気がない時」「空気が漏れた時」「伸縮しないものが入っている時」が飛ばないですね。1時間目に書いたノート(プリント)はあらかじめチェックしておきます。子供たちのやってみたこともピックアップして混ぜながら、下記1~7をみんなの前で確かめてゆきます。「○○さんのアイデアです」と言ってあげるといいですね。「他にもやってみた人」と、手を挙げさせ「優秀!」などと言って褒めます。「結果は言わないでね」と、勿体ぶりましょう。「後で、みんなにも1~7を自分で確かめてもらうからね」と、期待を持たせることも忘れずに。
子供たちの前で教師が「飛ぶかな、飛ばないかな・・・パワー!!」とか言いながら天井に向けて思い切り押し棒を押します。
1.ゆっくり押す。・・・前述しました。玉に押し棒が当たっていなくても飛ぶみたいですね。
2.つばを前につけて玉に当たらないようにする。・・・玉に押し棒が当たっていない事を証明するのにいいですね。
3.押し棒を反対から入れて押す。・・・「あれ?何故とばないんだろう?」と、言いながら子供たちに意見を聞いてみましょう。「空気がないから」「空気が漏れているから」とかの意見が出てきます。
4.紙を(ふわっと)入れて押す。・・・紙では飛ばないのかな。→「空気が漏れているから」
5.玉を横に入れる。・・・これも、空気漏れですね。
6.玉と押し棒の間に空気を入れない 。・・・空気が必要なようです。
7.紙をぎゅうぎゅうにつける。・・・これは、意外と飛びます。子供は力がないので紙を詰めても飛ばないと思っていますが、ギュッっと無理やり押し込めると飛びます。→→→ 後で子供に工夫させるために、できれば乾いたトイレットペーパーを力づくで入れてください。力がなくて無理な方は水で濡らした後に絞ってから入れると飛びます。あるいは、空気漏れしないように玉を押し棒の反対側でぐいぐい押し込むと飛びます。
上記1~7を黒板に書いて紹介し終わったところで、
「どうやら、玉が飛ぶか飛ばないかは、空気が関係あるみたいですね。」「では、今度はみんなも全部、自分で試してみてね」
と、実際にやらせてみます。
「7」をやってみることで、「どうにかして空気が漏れないようにすること」が必要なことがここで実感できます。「7」が成功する子供は半分もいませんでした。成功する子供には探求心と粘りがあります。
空気の伸び縮みとの関係
上記1~7を試してみたところで、一旦授業を終わり、次の授業では閉じ込められた空気の伸び縮みを試してみる実験をします。押しても引いても押し棒が元の位置に戻ることが分かった後、クジラの形をしたスポンジを入れます。これも縮みます。
ある子供が玉も縮むことを発見したのでそれもやってみます。押されて圧縮された玉が筒の中を落ちてきます。
閉じ込められた空気が伸び縮みすることが分かった後、教師によって次の事をやってみます。
8.玉と押し棒の間に割り箸(鉛筆)を入れる。・・・ちょうど玉と押し棒の間の長さに合うように切ってください。鉛筆はカッターでとがった部分が無くなるように削ります。
さて、これが飛ぶのかどうなのか?
T:「空気に棒(割り箸or鉛筆)をたすよ。これは、パワーがあがりそうだけどなー!」
子供たちの予想は、
C:「空気が入っているので飛ぶ」
C:「割り箸も勢いよく飛ぶ」
C:「玉は飛ぶけれど、割り箸は飛ばない」
C:「玉も割りばしも飛ばない」
などでした。やってみると・・・パワー!・・・飛びません。
T:「なぜ飛ばないのかなあ」
と言う問いかけに、
C:「先生、もっとゆっくり押してみて!」
というリクエストが出てきました。
ゆっくり押してみると、割り箸に押されて玉が先にポロっと落ちてしまいました。「あれあれ、どういうこと?」となります。
この後、「割り箸は縮まないので空気が縮む前に玉が出てしまう」という結論にまとまりました。
次に、割り箸だけで押し棒を押してみましたが、飛びませんでした。(割り箸は硬くて、人に当たると危ないから子供はしないことを約束の上で!)
ここまできてもう一つ、子供のノートに書いていたアイデア
9.玉と押し棒の間に水を入れる。
も、やってみました。
C:「空気といっしょで飛ぶ」
C:「水は縮まないから飛ばない」
C:「水鉄砲をしたことがあって、その時飛んだから玉も飛ぶ」
などが出てきました。「教室が濡れてしまうから、外でやろうか」と呼び掛けて運動場に出てやってみました。子供たちは興味津々で水を入れて撃っていましたが、飛びません。
この後、空気と同様に閉じ込められた水が伸び縮みするかどうかの実験もやってみました。
空気→→→伸び縮みする→→→玉が飛ぶ
水→→→伸び縮みしない→→→玉は飛ばない
という事が分かり、「縮んだ空気がもとに戻ろうとする力で玉が飛ぶ」ことが分かりました。








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