学級通信に載せた日記を読み合うと、子ども同士が優しくなります(手間はいるけど成果も出ます)

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目次

学級通信で共感し合えた日記は、あったかい空気を運んできます

子どもの日記を学級通信に載せる時は、その子の了解をとるのが大前提です。子どもと担任、子ども同士など、クラスの状況によって、載せてよい日記を精選するのは、言うまでもありません。基本的には、友だちのステキな姿に気づける日記が、あったかい空気を伝える役割を果たしてくれます。

私が教室で子どもの日記をのせた「学級通信」を読むのは、朝の会の時でした。どの子も、1年間でほぼ同じ回数載せるようにしていたので、自分の日記が「学級通信」に載ったら、朝の会で子どもが日記を読んで、私がコメント(キラッと輝くところに、光をあてるひと言)を読むのが、当たり前になっていました。週に1回、月曜日の朝の会、あっきぽい私が、めずらしく15年以上は続けました。

さて、その子は、おとなしい男の子でした。その子が1行読むたびに、教室は大爆笑でした。それは、決してバカにした笑いではなく、みんな涙が出そうなほど笑ってしまったのです。まさか、その子が、そんな日記を書くなんて、誰も思ってもみなかったからです。

それに、A男本人も、照れくさそうにしながらも、うまいこと間を取って(爆笑が収まるのを待ちながら)、1行ずつ読んでいってくれました。B男もにこにこしていました。(A男とB男は、ええコンビです)私が担任した子どもたちの、数ある日記の中の最高傑作、クラスのみんなに受けたダントツ・ナンバーワンの日記を紹介します。

ウンコ(6年:A男)

給食のあと、ウンコがしたくなった。
学校がおわるまで待ってよ と思った。
待っていた。
したかった。
帰る時、「ウンコしたい」と、B君に言った。
走って帰ろと思った。
B君も走ってきた。
にげたら、こけた。
走ったら、よけいウンコがしたくなった。
こけた所もいたいし、ウンコもしたかったので、たまらなかった。
家についた。
やっとできると思って、便所のドアをあけた。
すぐウンコのかまえをした。
でも「ブリッ」と、おならの音がしたら、ウンコがしたくならないようになった。
おならやったら、学校でしたらよかった。

次の日記も微笑ましいです。

F君(6年:G子)

私の左にF君がいた。
そして、次はおぼろ月夜の歌です。
「なのはーなばたけーに・・・」
と歌っていると、横のF君を見ると私の方を見て、
私の口が動いているので、F君もうまいこと動かしているのです。
だから私はF君のために前よりもいっそう大きな口で歌った。
それがきいたのか、それに答えてくれたような気がした。
F君もそうやって、人のを見て覚えてきたのかなあと思いました。

F君のために、いっそう大きな口を開けて歌ったG子の心、純粋に美しいと思います。特別支援の必要なF君は、その頃から、みんなと歌えるようになりました。次の日記は、つき指をした友だちE子をそっと温かく見守るⅠ子の、さり気ない優しさが伝わってきます。
ほっこりさせてくれる日記です。

つき指(6年:I子)

今日、改めてE子さんの苦労を知りました。
△△スポーツ教室の時、E子さんはできないので、本を読んでいました。
本を読み終わって、E子さんが、
「宿題しようっと」
と言って宿題をやり始めました。
日記帳をひろげて、
「何書こうかな」
とか言いながら書いていました。
えんぴつを持ちにくそうに持って、左手で一生けん命書いていました。
上のページを見ると、先生がたくさん◎をしてました。
E子さんが一生けん命書いているのを見ると、
たくさん◎をした先生の気持ちもわかるような気がしました。

子どもたちは、時には、おうちの方に言いたくても言えないことを日記に書いてきます。それは、子どもの切なる願いなのです。子どもは、親にこそ認めてほしいのです。

ぼくのいいところ(5年:C男) 

C男くんにはきっとお姉さんやお兄さんにはない
よいところがあると先生は言った。
ぼくは父や母に聞いた。
「そんなもん知らん」
と言った。
ぼくはしょんぼりした。
ぼくは本気にしたくない。
父や母は本気で言ってないと思う。

C男の「本気にしたくない」という哀しい思い、せめてひとつぐらいは、ご両親も答えてあげてほしいですよね。期末懇談では、母上にC男のことを、ほめまくりました。C男にその結果(家での母上の様子)を聞くのを忘れました。(しまった!)

ほめられたのに(5年:D子)

学校でほめられた。
先生にもE子ちゃんにもほめられた。
家に帰って知らせてみた。
お母さんは
「うそやー」
と言った。
ほんま、うそとちゃう。
国語で先生にほめられたんや。
お父さんが帰って来た。
「今日、学校でほめられたで」
と言った。
「そうか」
と言った。
E子ちゃんがほめてくれたんや。
なんで、ほめてくれへんの。
めったに、ほめられへんのに。
勉強でほめられたんや。

D子のくやしい思い、せめてたまには、親にほめてほしいと願うのが人情です。「めったにほめられへんのに」の1文には、ドキッとさせられました。それは、担任の私から「めったにほめられへん」と言ってるからです。(ごめんな)そのぶん、E子には感謝です。(ありがとな)

子どもの日記を教室で読み合うことに、どの子もOKしてくれたら、どの子も安心できる教室になってきた印です。クラスだって、山あり谷ありですから、日記はクラスの潤滑油になります。ただし、子どもの日記を学級通信にのせたり、教室で読んでもらったりする時、くり返しますが、子どもの了解(OK)をもらうのが原則です。

最初は、子どもも恥ずかしがったり、警戒したりして、「いや」と言うかも知れません。でも、そのうちに、この日記は、こういうよいことが書いてあるから、みんなにも聞かせてあげたいんや・・いいか?と聞いているうちに、1人・2人・3人と、「いいで」という子が出始めます。(のんびり待ちます

そうすると、「読んでもええで」という子が、だんだん増えてきます。これは、クラスがよい雰囲気になっていくバロメーターでもあります。だからと言って、決して、みんなの前で読むことを、あせらないでください。
子どもと信頼関係を築くためですから、ぼちぼちでいいのです。勝手に読んだら、元も子もありません。(これでなくした信頼は取り戻せない)

びっくりしたはずや(6年:J男)

K君をびっくりさせたろうと思って、給食の時間、
歯みがきカードをかける所にかくれていました。
思ったとおり、K君が通ったので、
「うわあっ!」
と声を出したら、
かたをすくめて、すごくびっくりしました。
そして、急いでおどり始めました。
おどりながら笑って、
びっくりしたのをごまかしていたので、
おもしろかったです。

J男もK男も、2人ともおとなしい子らです。いたずら心を見せたJ男と、びっくりしたのをおどってごまかすK男が、2人で笑い合っているのを、クラスのみんなは、あ然として見ていました。2人とも、おとなしい子だと、みんなは思っていたからです。その後、教室は大爆笑でした。2人は、きょとんとしていました。

阿Q正伝(6年:M子) 

「阿Q正伝(あきゅうせいでん)?」
『世界の文学』の本の中にそう書いてあるので、言うと、
近くにいたS子ちゃんとL子さんがそれを聞いて笑いだしました。
少しムッときて、
じゃあ確かめてやろうということになりました。
みんなワクワクして中を見ると、
なんと「あきゅうせいでん」で合っていました。
なんか、すごくうれしくなって思わずピースをしてしまいました。
そして、また「水滸伝」とかやっていたけど全部正解でした。
さて次にいこうとすると、
「・・・・・・!」
と言う先生のおこった声がしました。
はっと考えると理科のテスト直しの時間でした。

この日記をM子に読んでもらった時も、教室は大爆笑の渦につつまれました。それは、M子への共感の笑いでした。M子も、S子も、L子も、3人とも苦笑いしていました。バカにするのじゃない「共感の笑い=クラスの潤滑油」へいざなってくれる2つの日記でした。

「親の心、子知らず」とは、昔から言われています。今はそれにプラスして「子の心、親は知らず」の世の中でもあります。次の2つの日記は「親の心、子が思う」、そんな日記です。

知ったらしく言ってしまう(6年:N男)

ぼくもこのごろ、口答えをする時があります。
それは、テレビとかマンガとか読んでいる時、
「おい、N男、ちょっと、手伝うて」
と言われて、いろいろ言ってしまいました。
それとか、いっしょに遊んでいる時、負けたら、
「負けたってんのよ」
とかいろいろ言ったりしていました。
そういうふうに言ってしまうと、後から、
ああ、言わんかったらよかったな、と思いました。
ねる前にそういうことを言うと、
お父さんがちょっと悲しそうだったからです。
言わんとこうと思っても、なんでか言ってしまいます。
そういう時は、なんか、かなんです。

N男は、内心では、とてもお父さん思いだということ、親の気持ちを汲みたいと思っていることがよくわかります。「かなんです」とは、「いやです」という意味の滋賀県の方言です。次の、T子の日記も、なんだか、ほほえましくて、いやしてくれる日記です。

散歩(6年:T子) 

いつも忙しいお父さんと2人で、畑に行った。
自転車で、お父さんの後ろに、私が乗って行った。
行くとちゅう、V君のおばちゃんが、
「落ちんときや」
と言ってくれた。私はお父さんに、
「よう知ってはるな」
と小さな声で言った。ガタガタの道にはいる前、お父さんが、
「落ちんとけよ」
と言ったので、
「落ちる時は、いっしょに落ちるように、ちゃんと服を持ってるわ」
と話していた。
少しだったけど楽しい散歩だった。

何気ない会話ですが、親子の散歩って、こんなにステキなんだと思わせてくれる日記です。田舎道での、自転車の2人乗り親子の「おさんぽ」も、ええもんです。お父さんも内心では、きっとうれしかったでしょうね。

親のヘアスタイルの感想(ステキ!)を、子どもに期待したらあきません。子どもは率直で、ありのまま思ったことを言います。ほとんど、お世辞は言いません。(言うことは、たいてい当たってます)

おかあさん(2年:P子)

わたしはおかあさんを見た。
おかあさんは手をこしにあてているので、
わたしはなにかなと思った。
そして、ちょっとたつと、おかあさんは、
「さんぱつ行ってきた」
と言って、
「なんか言うことない?」
と言った。
わたしが、
「きたない」
と言ったら、おかあさんは、
「なんやてー」
と言って、おこった。

お母さんは手を腰にあててアピールしたり、「何か言うことない?」と感想を求めたり、P子への期待感が高すぎましたね。P子はいつでも、どこでも、誰にでも、みごとに正直者なのです。

おとうさん(2年:Y男)

ぼくのおとうさんは、
さる年やのに、
あたまがちょびっとだけ、
はげているんだよ。
おふろのとき、
ちょびっとはげてるのに、
シャンプーをつかうんだよ。
いっぱいつかうから、
すぐなくなるよ。

さる年やのに、という発想がおもしろいですね。ちょびっとはげてるのに、というのもY男の率直な気持ちなのでしょう。Y男には、髪の毛が薄くなった人ほど、残り少ない髪の毛を大事にするんだよと教えました。

さんぱつ(2年:U子)

おかあさんは、
さんぱつやさんへ行った。
おかあさんが家にかえってきた。
車の音がして外を見てみたら、
おきゃくさんと思った。
よく見てみたら、
おかあさんだった。
おかあさんのあたまは、
みつあみをしたあとみたいに、
ふわっと山みたいになっていて、
かたまっていた。
おかあさんは、
じぶんのかみのけを見て、
「しっぱいした」
と言った。

U子がお客さんと見間違えるほどですから、最先端の斬新な髪型なんやと、うなずけます。U子の髪型の書き表し方が、自分なりの言葉で表現していて、楽しいですね。それにしても、お母さんも、まっこと正直なかたです。どちらの場面でも、なかなか言えないものですよ。

さんぱつ(2年:Q子)

前、わたしはさんぱつに行きました。
そして、わたしの番でした。
そして、さんぱつの人に、
「ぼん、どんな形がいい?」
と聞かれました。
わたしは女やのに、
なんでやろうと思いました。
でも、女と言いませんでした。
だって、人がいっぱいいたからです。

いくらなんでも、Q子に対して、失礼な散髪屋さんですよね。竹を割ったように、さっぱりしたQ子が返事できなかったんですから、よっぽどです。

おとうさん(2年:R男)

ぼくは、おとうさんに、たばこやめた方がいいと思った。
でも、
「たばこ、やめたら」
って言ったけど、まだやめなかった。
「がんになるで」
と言った。
やめなかった。
「どうなってもしらんでな」
と言った。
やめなかった。
「500円でたばこ買ってきて」
っておとうさんが言った。
「200円あげるから」
って言ったから、
たばこは体にわるいのに、
おもわず買ってしもた。
なんでたばこってやめられんにゃろうかと思った。

R男はお父さんに200円で買収?されてしまいました。お父さんの体を心配しているけど、お父さんに200円で口封じ?されてしまったので、それ以降、R男がつぶやくのは心の中だけです。

次の日記は小学校2年生の生活科、教室でザリガニを飼っていた時の作品です。長い間飼っていると、こまめに世話をしていても、死ぬザリガニが出てきます。その度にお墓をつくってあげました。 そのうちに、子どもたちから、「かわいそうやで、川へ逃がしたろ」という声が出て、ザリガニを川へ返すか、返さないかで話し合いました。最後まで、ザリガニを川へ逃がすことに反対していたのは、 一番熱心に世話をしていたA男とB子でした。二人は、なかなか「うん」と言いません。そこで、担任は、「ザリガニも自分の住んでた川で、すきに泳ぎたいと思ってるんとちゃうか」「A男もとB子も、自分の家が一番ええやろ。ザリガニかて、いっしょやで」と二人を説得し、やっと二人が納得してくれて、川へ逃がしてやった日の日記です。

アメリカザリガニ(2年:A男)

前いえで1ぴきのメスのザリガニをとった。
2しゅうかんしたらタマゴをうんでいた小さいタマゴをうんでいた。
ほんで、あさ6じごろにおきていつも見ていた。
うんだらどんな赤ちゃんがうまれるかなと、
よるねるときも、ゆめの中でもいつも赤ちゃんのゆめを見ます。
1しゅうかんたったとき、やっと赤ちゃんがうまれた。
お母さんザリガニもニコニコしたように見えました。
よかったと思いました。
そしてB子ちゃんとザリガニとあそんだ。
ぼくがつかんだとき、しっぽをパタパタとしました。
水がかおにかかって2人でわらった。
たのしかった。
きょうザリガニをはなすとき、かなしかったからはなせなかった。
とてもかなしかった。
2回目バケツからとるとき、とれなかった。
すごくかなしかった。
なみだがでそうでも、はをくいしばって、なかなかったです。

A男は、入院生活の長かった子です。ザリガニを、本気で、とことん大事にし、心から愛しんでくれました。

ザリガニ(2年:B子)

きのうA男くんとザリガニとあそんだよ。
ザリガニの水かえをA男くんとしたよ。
たのしかったよ。
A男くんといっしょにザリガニといっしょにあそんだよ。
A男くんがザリガニのもちかたをおしえてくれたよ。
A男くんとC子ちゃんでいっしょに、ひるやすみも水かえをしたんだよ。
A男くんがザリガニのもちかたをおしえてくれたとき
「ちっちゃいザリガニはやさしくもつんだよ」
といってくれたよ。
「大きいザリガニはせなかをもつんだよ」
といってくれたよ。
やさしくいってくれたよ。
うれしかったよ。
A男くんといっしょにザリガニとあそんだよ。
ザリガニのおうちもかえてあげたよ。
A男くんはザリガニをやさしくもってあげてたよ。
A男くんは
「ザリガニがすき 」
といったよ。
A男くんは大きいザリガニもやさしくもってあげてたよ。
A男くんはすごくザリガニがすきだったんだよ。
A男くんはだっぴをしてるザリガニはさわっていなかったよ。
A男くんはやさしくやさしくしていたよ。
たのしかったよ。
いちばんたのしかったよ。
A男くんはいいひとだったよ。
うれしかったよ。

B子は、口数の少ない目立たない子です。A男のザリガニへの優しさを、そして、A男の友だちへの優しさも教えてくれました。教室に、あったかい空気が流れました。(生活科で、生き物を飼う場合、出会いから別れまでを、教師はイメージしておく必要があることも痛感させられました

2年生でも、6年生でも、日記帳の表紙の裏側に貼ってもらったのが、次のイラストです。子供たちが自分の感情を豊かに表してくれるといいですね。

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