1 はじめに
ずいぶん以前にした理科の実験です。
音の学習が小学校5年理科で扱われていた頃のことです。(2025年現在の指導要領では扱われていません)
「音が伝わる空気を追い出すと、追い出したフラスコの中は?」に載せていた記録です。実験器具が足りなかったことと、万が一、水が沸騰するまで熱した丸底フラスコが割れたら危険なので、教師の師範実験で行いました。
2 実験の記録
『前の実験で、音は空気をしん動させて伝わることがわかりました。
それじゃあ、空気のないところでも音が伝わるかどうかを調べようということで、鈴(すず)を使いました。
水をふっとうさせて、丸底フラスコの中の空気を、水じょう気といっしょに追い出すと、フラスコの中の鈴(すず)の音は聞こえません(でした)。
つまり、空気のないところでは、音は伝わらないということです。(ここまでが、前時です。)
3 本時
さて、空気をこのように追い出したフラスコの中には、空気がないことは一応わかるのですが、本当に空気も何もなくて「からっぽ」なのかを確かめようということになりました。
フラスコの中に、何か気体があるならば、水そうにつけたガラス管の先から泡がすぐ出るだろうとか、または水が入る代わりに泡が出るだろうとか、フラスコの中に何の気体も全くないならば・・・と、みんなにいろいろと予想してもらいました。

【問い】丸底フラスコを熱してガラス管から泡が出なくなった時、アルコールランプの火を消すと、上図の状態は、どうなるだろう}?
4 【子どもたちの初めの予想】(5年児童29人)
A 何もおこらない・・14人
B 水そうにつけたガラス管の先からあわが出る・・8人
C 水そうにつけたガラス管の先から、フラスコの中へ水が少し入る・・7人
(予想について、みんなで意見を言って、話し合いをしました)
5 話し合いをした後の予想
(みんなの意見を聞いて、予想を変えてもよい)
B 水そうにつけたガラス管の先からあわが出る・・11人
A 何もおこらない・・・8人
D 水そうにつけたガラス管の先から、同じ水面の高さまでフラスコへ水が入る・・4人
E 水そうにつけたガラス管の先から、フラスコの中いっぱいに水が入る・・4人
C 水そうにつけたガラス管の先から、フラスコの中へ水が少し入る・・2人
6 実験前の子どもの意見
【話し合いの後、実験する前に、子どもがノートに書いた予想理由から】(5人分)
A「何もおこらない。空気がないんだったら、フラスコだけじゃなくて、ガラス管の先までないんだから、あわも出るはずないし、水もすいこまれるはずないし、けっきょく、何もおこらない。」
B「ガラス管の先から、あわが出る。フラスコの中には空気はないけど、何か他の気体が代わりにできて、入っていると思うから。」
C「予想は、フラスコの中へ水が少し入る。わけは、ぼくが前、ピアニカのふく所に口をつけて、中の空気をすったら、ピアニカのふく所が、ぼくの舌(した)をすいつけたから。水もすいつけられて、少しぐらい入る。あわは出ない。」
D「私は、水面(水そうの水面と同じ高さ)まで、水がくると思う。フラスコの中に空気がなくても、何が入っているか、わからないから、水面ぐらいまで水がくるのがふつうだと思う。何もおこらないということはないと思う。」
E「フラスコの中いっぱいに水が入ると思う。わけは、空気をおい出したら、フラスコも空気を入れようとして水が入る。私は、おふろ場で、シャンプー(からっぽ)の空気をぬいて、おふろにつけて遊んだことがあります。」
7 実験後の子どもの感想
水蒸気圧が下がったフラスコの中に、水槽の水が激しく吸い込まれながら逆流します。
【実験後に、子どもがノートに書いた感想】(10人分)
△「なんか、あんなに水がドバドバと入るとは、びっくりしてしまった。わくわくしていたから、いっしゅん、なんということだ!と思った。」
△「水そうから水がどんどんフラスコにながれていくので、ドキドキした。いっぱいになった。ふしぎだった。」
△「フラスコの中に水がまんたんぐらい入った。なにもしてないのにどんどん入ったから、ぼくはとてもびっくりした。」
△「空気(あわ)がすごいいきおいで出ていったから、出ていった分だけ水をすったのかなあ。私の予想ははずれた。」
△「やっぱり、たぶん、あの中は、真空(しんくう)の宇宙(うちゅう)のブラックホールのような役目をしているのだろうと思います。」
△「予想外の結果でした。水がどんどんすい上げられていくのはすごかった。こんなの初めて見ました。◎ちゃんからシャンプーのことを聞いて、(◎ちゃんはいろいろやって、ためしているんだな)とも思いました。」
△「私は水面の所まで水が入ると思っていたので、水がガラス管の中に入った時、(やったー)と思ったけど、水面の所で止まらず、、フラスコにどんどん入っていったので、(えー)と思った。フラスコの中には、空気はないから、そんなふうになったんかな。すごく予想外だった。」
△「ぼくが考えていた予想よりすごかった。◎ちゃんのが当たった。水があっというまに、フラスコの中へすいとられていった。ぼくは、(すごい)と思った。人間で言ったら、まあ、深呼吸だと思う。空気を追い出したのが、いきをはくのと同じで、いきをすうのが、水をすいとったのと同じやと思った。」
△「私は、あんな結果になるなんて、地球がぶっこわれても、そんなことになるとは思っていなかった。めちゃめちゃびっくりした。◎ちゃんとかのように、フラスコいっぱいになるような考え方は、話し合いの時もなっとくしていなかったし、そういう考えはぜんぜん相手にしていなかった。でも、びっくりぎょうてん。どうしてかな?それでも、楽しかった。人間も、息を出してばっかりだったら、死んでしまう。私たちが息をすうように、フラスコも苦しくて、すうようになってるのかな?」
△「予想外の結果だった。初め、私は、いっぱい入ると言う友だちの意見を(そんなの本当になるの~?)と思っていた。でも、本当にそうなるとは。水がすい上げられるのを見ながら、私も、「ぎくっ」などと言ってしまった。本当にびっくりぎょうてんだった。この時初めて、実験って、やってみるまでわからないんだなあと思いました。」
8 考察
入れ物の中から空気がなくなることを身近な生活(遊び)において体験したことのある少数の子どもたちがいてくれたので、白熱した話し合いになりました。その子たちも、予想を話し合う中で、そう言えば・・・と思い出したようです。
教科書に載っていない発展実験だったので、理科が得意な子どもたちも見事に予想がはずれました。でも、子どもたちの感想を読むと、ワクワクドキドキしていたことがわかります。火を消した瞬間、水そうの水がフラスコへ一気に逆流するのを、目を見開きじっと見守る子どもたちのあ然とした表情は忘れられません(どよめきも)。
(フラスコが割れるのがこわいので、子どもたちにさせるのはできません。と言うより、音の学習そのものが小学校理科から消えたような・・・今の私はまるで真空パックの中に入った感覚です)

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