1. はじめに
本記事は現在鳥取県米子市立尚徳小学校の校長をされている倉光信一郎先生のホームページ「読書へのアニマシオン」より引用・加筆させて頂いたものです。
2. 「読書へのアニマシオン」とは
アニマシオンとは、魂を活性化し元気にするという意味があります。
読書へのアニマシオンは、読書が好きになるよう導くために元気づけるということです。スペインで始まり、子どもたちに読書の楽しさを伝え、子どもが生まれながらに持っている読む力を引き出そうと開発・体系化した読書指導メソッドです。計75の方法があります。これらの方法を使い、読書をゲームのように楽しみながら読解力・表現力・コミュニケーション力を育てます。
3. 「読書へのアニマシオン」の目的
子どもたちの関心を読書へ向けていくのが「読書へのアニマシオン」であり、そういう意味で、倉光先生は「読書への」の「へ」がとても重要だと考えています。また、「元気づけ」ということでどうしてもにぎやかな作戦が代表的なものとして挙げられますが、実は、静かな雰囲気の中でじっくりと考える作戦・場面も多くあります。子どもたちが自問自答していく「内面化」も「読書へのアニマシオン」にとって重要な要素だと捉えています。
4. 倉光流「読書へのアニマシオン」
倉光先生はこのメソッドを実践するときに、以下の3つの枠組みで取り扱っていらっしゃいます。
① 国語科ではない時間に行う
学活であったりクラブ活動であったり総合的な学習の時間であったりする。場所は、多目的室、図書館、中庭といった普通教室ではない所がいい。教室だと、どうしても「授業」というイメージになってしまう。休憩時間や放課後の時間を使って図書館で行うのもいい。
② 国語科の「読書」として行う
国語科の目標を踏まえて、2学年ごとに設定された読書のねらいに即した適切な本・絵本と作戦を選んで行う。
③ 国語科の言語活動のネタとして使う
あくまでも国語科のその学年のねらいに即して、どんな力をつけなければならないのか、そのためにどんな作戦を使うのか、という観点で、言語活動のネタとして参考にする。③の場合が最も問題で、この作戦そのものが国語科の学習活動になってしまうこともあり、それを見た人が「読書へのアニマシオン=国語科の指導方法」と誤解してしまうことがある。「読書へのアニマシオン」の作戦がそのまま国語科の学習活動になったとしても、ねらうのは何なのかということを明確にすることによって、国語科になったりそうではないものになったりする。「読書へのアニマシオン」は、そのねらいが「読書」にある。たとえ言葉の力をつける作戦であっても、言葉の力がつくと読書へ向いていくという考え方が「読書へのアニマシオン」であり、言葉の力をつけるそのこと自体がねらいではない。
5. オススメの作戦
倉光先生の紹介されていた実践を厳選して、以下の記事で紹介させて頂きました。ぜひ、授業でご利用ください。
読書へのアニマシオン 作戦23「想像のペン」(倉光バージョン) | EDUPEDIA
読書へのアニマシオン 作戦63「一緒のほうが、うまくいく」〜風切る翼を使って〜 | EDUPEDIA
読書へのアニマシオン 作戦3「いつ?どこで?」〜ハリーポッター思い出せますか?〜 | EDUPEDIA
読書へのアニマシオン 作戦15「合戦」〜風切る翼を使って〜 | EDUPEDIA
読書へのアニマシオン 作戦2「これ、だれのもの?」〜「注文の多い料理店」(宮沢賢治)〜 | EDUPEDIA
読書へのアニマシオン 作戦11「これが私のつけた書名」〜風切る翼を使って〜 | EDUPEDIA
読書へのアニマシオン 作戦1「読みちがえた読み聞かせ」〜物語の間違いを探せ〜 | EDUPEDIA
読書へのアニマシオン 作戦10「つかまえるよ」〜隣の人の朗読に集中しよう〜 | EDUPEDIA
6. 編集後記
倉光先生の紹介されている読書へのアニマシオンは国語の授業だけでなく、道徳の授業などにも広く応用の効くものとなっていると感じました。ぜひ、読書の活用の幅を広げる一途となればと思います。
(編集・文責:EDUPEDIA編集部 安田明弘)
7. 実践者プロフィール
倉光信一郎(くらみつしんいちろう)
鳥取県米子市立尚徳小学校校長。
モンセラット・サルト氏の著書『読書へのアニマシオン‐75の作戦』(柏書房)を元に実践を展開。
米子市と長岡京市で「勉強会」を開催。
要請があれば、児童生徒、保護者、教職員を対象にワークショップを行い、これまで数多くのワークショップを開催。
アニマシオンのエッセンスを伝えていらっしゃいます。
書籍情報
『読書へのアニマシオン‐75の作戦』 M. M. サルト 著 柏書房 (2001)
コメント