「田村亮子」の言葉で目標について考える(坂本哲彦先生)

1 はじめに

この記事は、坂本哲彦先生が運営されているホームページ、「坂本哲彦 道徳・総合の授業づくり」から引用させて頂いたものです。坂本哲彦先生のホームページはこちら→http://sakamoto.cside.com/

2 授業のねらい

田村亮子がオリンピックに臨む前の気持ちについて話し合い、より高い目標を自分に課すことの大切さに気付き、希望と勇気をもってくじけないで努力しようとする態度を養う。

3 対象

小学5・6年生

4 学習内容

(1)「普通にやれば勝てる」という言葉と「最高で金、最低でも金」という言葉のもつ意味の違いについて考えること。
(2)より高い目標を自分に課すことについて、自分なりの考えをもつこと。

5 資料

『人を動かす勝者の言葉』 二宮清純:作 (2002.7.8 東京書籍 PP.49-50)

※ 粗 筋

1996年20歳の田村亮子は、アトランタオリンピックの決勝に進んだ。4年前16歳で出場したバルセロナでは、惜しくも銀メダル。雪辱を果たす日が来た。相手は、初めて戦う無名の選手だった。

「普通にやれば勝てるかな(1)」田村はそう思って試合に臨んだ。しかし自ら足を滑らせ「効果」。まさかの敗北だった。「わたしの気持ちのどこかに油断があったんでしょうね。「普通に4分間やれば勝てる(1)」と考えた時に心のスキが生まれたのかも知れません。」

それ以来、オリンピックのことが頭から離れたことは一度もなかった。

4年後2000年のシドニー。「最高でも金、最低でも金(2)」目標を聞かれた田村ははっきりそう言いきった。そして、悲願の金メダル。開始からわずか36秒での一本勝ちだった。「やっと初恋の人に巡り会えたような気持ちです」

金メダリスト誕生の瞬間の第一声だった。

6 学習過程(45分授業)

①田村亮子の略歴などを示す。(10分)

例えば、
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%94%B0%E6%9D%91%E4%BA%AE%E5%AD%90

②資料を読み、ブランクの言葉を想像する。(15分)

提示1 (1)(2)をブランクにしておき、全文を読む。

発問1 「(1)には、どんな言葉が入ると思いますか?」

「楽勝」「絶対勝てる」など、本文中の「油断」「心のスキ」などに着目した発言が出る。板書。理由は言わせるが、深入りしない。

発問2 「(2)には、どんな言葉が入ると思いますか?」

「今度こそ金メダルを取る」「油断しない」「スキを見せない」など、前回負けた反省を生かした発言が出る。(1)と対照して、板書。

正解を提示。「普通にやれば勝てるかな」と「最高で金、最低でも金」、みんなが予想したこととよく似ていることを褒め、次の発問。

③二つの発言の違いについて話し合う。(10分)

発問3 「悔やしくて悔やしくて眠れない日が、2か月ほど続きました。それ以来、オリンピックのことが頭から離れたことは一度もなかったとあります。皆さんに置き換えたとしたら、皆さんのどんなことに近いと思いますか。」

子どもたちは、これにはなかなか答えられないだろうと思われます。2か月ほども眠れない日が続いた経験など無いからです。教師だってほぼ同じでしょう。時間は1,2分でいいから、自由に考える時間を取るということだけで、いいのかも知れません。

その上で、次の発問。

発問4 「二つの発言の違いはどんなところだと思いますか?」

(1)の方は、「相手を軽く見ていた」「勝てると甘く考えていた」のに対して、(2)は、「何が何でも金メダルと取るという強い気持ち・意志があった」「目標がはっきりしていた」「絶対に銀メダルを取らないという気持ちだった」などが出る。

(1)は「自分に甘く」、(2)は「自分に厳しい」とまとめる。

「相手(人・社会)を甘く見ていたら、目標は達成できない。逆に自分に厳しく、目標を高くもったときこそ、目標を達成できるものである。自分に厳しく、より高い目標を立てて努力することこそ、価値がある。」と話して聞かせる。

④自分を振り返る。(10分)

発問5 「自分の中でより高いめあてを立てているものを探してください。勉強、スポーツ、手伝いなど何でもいいです。もし、そんなものがないというのであれば、何か一つ、どんなことでも構いません。今までより少し高いめあてを立ててみてください。(プリントに書かせない方がいいかな・・・)」

クラスの中で目立たないけど、高いめあてに向かって一生懸命頑張っている子どもが数名いるはず。授業前に、そんな子ども数名を見付けておき、具体的な行動や事実で紹介し、きっぱり褒めます。

田村亮子が「最高で金、最低でも金」と言い切り努力したことと、○○さんが、「○○○○」をめあてに努力していることは、「人間としてのよさ」という面から見たら、全く同じこと。共に素晴らしい考え、行いだと話して授業を終える。

(以上http://p.tl/o-Y9 より引用)

7 編集後記

オリンピックで2度、世界選手権で7度金メダルを獲得した谷亮子さんのお話です。それだけの実力を持った人でも油断をすれば足元をすくわれることがあるという勝負の厳しさと、失敗から学ぶことのできる強さを感じることができます。まさかの結果にもくじけずに、自分にプレッシャーをかけて努力をし続け結果を出した人の言葉には力があり、子どもにとって自分の努力が輝きを増して見えるきっかけになることでしょう。

(編集・文責:EDUPEDIA編集部 横光明子)

8 実践者プロフィール

坂本哲彦(さかもとてつひこ)
山口県山口市立徳佐小学校教頭。
1961年生まれ。
山口大学卒業、山口大学大学院修了。
山口県内公立小学校教諭、山口大学教育学部附属山口小学校教諭、山口県教育庁指導主事等を経て、現職。
自身の経験を活かして、道徳実践をHP、メルマガで数多く配信している。
坂本哲彦 道徳・総合のページ
http://sakamoto.cside.com/

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