1 はじめに
この記事は、2013年8月3日に京都教育大学附属京都小中学校で行われた「京都国語の会 夏の研究会」内における、国語の授業の実践発表をまとめたものです。今回は「書く」ことに焦点をあてました。
2 これまで大切にしてきたこと
①書くために読む、書くために話す
②文型を身につける(基礎・基本)
③書く時間の確保
3 授業内容
光村図書出版『こくご 1上』に載っている説明文『くちばし』を教材に使用し、小学1年生の国語の授業(45分/回)において「書く」能力を伸長させる授業を目指しました。
この授業で目指したこと
①大切な情報を見つける
②大切な情報を取り出す
③文型に沿って書く(書き換える・言い換える)
授業展開
【第一次】複数のくちばしの写真を見て、各々の特徴をプリントに書き出す
あくまで自分の言葉で。子どもたちの語彙力が垣間見えて、教師側としても発見の多いワークだったそうです。最終的に書いたことを発表させるなど「話す」ことも重視しています。
【第二次】複数のくちばしについて表にまとめ、それぞれを比較
「自分の文字でまとめた表を活用することも大事」と考えた藤田先生。完成させた表を見ながら、その場で2種類のくちばしを口頭で比較させる、という取り組みを行いました。
ヴォイスレコーダーに録音された子どもたちの発表からは、たどたどしくも、必死に自分の言葉を紡ごうとする様子が伝わってきました。先生も適宜補助を入れています。
【第三次】“くちばし図鑑”をつくる
教科書本文とは別に、『くちばし図鑑』(岩崎書店)という本に目をつけていた先生は、この図鑑を教材にして生徒オリジナルの“くちばし図鑑”作成を試みました。教科書には載っていない他の鳥のくちばしについて、生徒自らが文章と絵で説明します。
この時、文章は図鑑を参照しつつも、これまで読み込んできた教科書本文『くちばし』の文型に則って言い換えることを子どもたちに意識させました。
反省点
- 三次に向かうまでの活動が図鑑作りにつながったかは要再考。
- 構成にこだわりすぎた。
- 文のねじれや誤字脱字の指導不足。
国語の授業は正しい日本語を書くための文法指導を行う場、という大前提を今一度認識する必要があるのかもしれません。
4 これからの課題
①児童へのサポートやその手だての強化
…綿密な個別指導、書けない子への助言など
②より高い目標に対する細かな手だて
…授業目標を達成した子にワンランク上の目標を提示し、その達成をサポート
③単元を通して育てたい力を明確にする
…今回の実践ならば「書く」力、付随して「話す」力
5 編集後記
日本語の書き方について国語の授業で学習した、と言い切れる人は少ないと思います。「書く」能力を育てることは地道で長期的な作業です。しかし現実には「読む」授業のついで、「話す」前段階の作業、といった付随的な位置づけになってしまい、「書く」ことを中心とした学習はないがしろにされているように感じます。「書く」ことに特化した指導の必要性を意識させられた実践発表でした。
(編集・文責 EDUPEDIA編集部 青山絵美)
講師のプロフィール
藤田智之 … 京都教育大学附属京都小中学校教諭。京都国語の会代表。
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