1.1 ◆概要
この実践は(株)教育同人社の許可を得て、「はなまるサポート」の学習指導ポイント一覧より転載しています。
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添付ファイル
1.2 ◆はじめに
今年度も後2か月になりました。年度の終わりに、お世話になった方たちをお招きして、音読発表会やお礼の会を催すことが多い時期になりました。そんな機会をとらえて、手紙の書き方をきちんと指導したいものです。手紙は人と人との心を結ぶものです。今月は、手紙文や招待文を書くことについての指導を考えてみます。
(初等教育研究所 福本 菊江)
1.3 ◆手紙を書く指導
目的に合わせた依頼状、礼状などを書く機会が増えてくる。例えば、地域での体験学習の指導を依頼する手紙、学校行事について案内をする手紙、インタビューを依頼する手紙、地域の方や先生方にお世話になったことへのお礼の手紙など。礼を尽くすためにも基本的形式はしっかり指導したい。
(1) 手紙を書くときの心構えを知る。
(2) 手紙の形式
手紙文は、相手に何らかの用件を伝えるために書かれた文章である。
(3) 各学年の指導
○低学年
◆書きやすい場や条件を作る。
「うちの人へ」「先生へ」「友だちへ」など相手意識をはっきりもたせて書かせることで、より温かい関係をつくり、手紙の交換を通して書く意欲を育てることができる。相手意識・目的意識(用件等)の条件を押さえ、細かいことは言わないで、のびのびと書かせることが重要である。
- 見たことやしたことを思い出し、順序を考え、いちばん知らせたいことをくわしく書く。
- 順序を表す言葉の働きや使い方を知り、それらを使って順序よく書く。
○中学年
◆手紙の役割や形式を理解して書く。また、手紙の内容だけでなく、正しく書けているか推敲をして、正しく丁寧な字で書くことが大切である。
- 伝えたいことが相手に分かるように、よく見て書く。
- 中心点をくわしくするための材料を選んで書く。
- 伝えたいことの中心点がはっきりした文章を書く。
①形式・・・前文・本文・末文・後付がある。
- 前文では、時候のあいさつや相手の様子をたずねる文章を書く。
- 本文に、伝えたいことの中心点をはっきりと分かりやすく書く。
- 末文では、終わりのあいさつを書く。
- 後付には、日付・自分の名前・相手の名前を書く。
②二月のあいさつ
二月のあいさつの一例である。今までの季節と変わって、見られるようになった生き物や天気の様子、自然の様子などを五感(目で見る・耳で聴く・鼻で 嗅ぐ・舌で味わう・手や肌で触る)を働かせて変化を見付け、その言葉を使って季節を表す自分らしい表現を考える。
③中心点をはっきりさせ、くわしく書く。
中心点をはっきりさせるには、伝えたいことをはっきりさせることが大事である。そして、様子をくわしく書いたり、会話を書いたりすると中心点がはっきりする。
④推敲をし、書き直す。
書き終わったら、伝えたいことが分かるか。誤字・脱字はないか。字はていねいか。失礼はないか。など、推敲し書き直す。
○高学年
- 相手意識・目的意識・主題意識を明確にし、・読み手をひきつける効果的な表現を工夫して書く。
- 伝えたい事柄をはっきりさせて、伝えたいことがよくわかる効果的な文章の組み立てを工夫して書く。(初めのあいさつと結びのあいさつの呼応)
①組み立ての工夫
中心点をはっきりさせるには、伝えたいことをはっきりさせることが大事である。そして、様子をくわしく書いたり、会話を書いたりすると中心点がはっきりする。
- 伝えたいことが読み手によく分かるようにするために本文の効果的な文章の組み立ての工夫をする。
②効果的な表現の工夫をする。
- 倒置法 ・会話文 ・体言止め ・繰り返し【リフレイン】
- 比喩表現 ・情景描写 ・オノマトペ(擬態語・擬声語)・引用 ・問いかけなど
③推敲をし、書き直す。
書き終えたら、言葉遣いや形式で失礼はないか。誤字・脱字はないか。用件は伝わるか。などについて、相手の立場に立って読み返し、推敲し、一字一字丁寧な字で書き直す。
1.4 ◆実践者紹介
福本 菊江
初等教育研究所
「美しい日本語を話す日本人の育成」を目指して、国語教育に携わってきた。
「授業は教師の命である」の信念のもと、理論と実践の統一を目指している。
東京都小学校国語研究会や全国小学校国語研究会で、全国の先生方と継続的に研究を続けている。
殊に、音声言語の指導の重要性を強調している。
現在は、初等教育研究所で国語科の担当である。
== ◆サービス紹介
教育同人社の「はなまるサポート」では、若い先生のための授業ヒント集として、毎月の学習指導ポイントを細かく解説をしています。また、不明点や疑問点などを無料で相談できます。
(編集・文責:EDUPEDIA編集部 佐藤 睦)
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