子どもの出番について(シリウス)

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目次

1 はじめに

こちらの記事は、静岡県で30年間以上続く教員サークル、シリウスのホームページに掲載されている教育実践法の一つをご紹介しています。
http://homepage1.nifty.com/moritake/

2 実践内容

教師の出番」という言葉をよく耳にします。子どもを支援するために教師はどう動くべきか、だと理解しています。これと対になる言葉で「子どもの出番」もあるのではないでしょうか。

子どもの出番とは

子どもの出番とは、授業中に自分がどう動くべきか意識し、実行することです。全ての子が発表が得意ではないので、自分の得意なことを見つけて、それを授業の中で生かしてほしいという願いです。

サッカーで言うところの、選手の持ち味というのでしょうか?それぞれのよさを出し合い、それがクラス全体として機能するという感覚です。

自分の出番を意識づけるために、教室の前面に出番を掲示することにしました。授業(話し合い)が止まったときに、この掲示を見て次に自分は何ができるかを考えさせます

たとえ発表が苦手な子であっても、授業を次へ進めていく動き(うねり)を作り出したいと考えたからです。

討論は物語

さて、ここで討論の授業について振り返ってみます。私は子どもたちへ「討論は戦いである」というメッセージを送ることが多いです。討論においては敵と味方がいて、それぞれが勝利をめざして攻撃をしたり、防御をします。

討論=戦いの場合、その目的は論争に勝つことです。戦いにおいては、どれだけ勝利に貢献したかが評価されます。それぞれの軍が証拠を出しあい、相手を説得していきます。子どもたちはそれを「楽しい」と感じ、ときに熱中します。

しかし、討論=物語というメッセージを子どもたちに送って授業を組み立てる方法があることを知りました。子どもたちにこう語りかけるのです。

  • シンデレラの話が、突然白雪姫の話になったらおかしいでしょ
  • 桃太郎の話で、一番最初から、おじいさんもおばあさんも桃太郎もキジも猿も出てきたらおかしくなるわね
  • 黙っていたら、鬼の出ない桃太郎の話になってしまうよ

討論=物語ととらえた場合、登場人物たちはそれぞれの役割を演じることによって物語の展開をより感動的で面白いものにすることが求められます。

どの立場の子が勝つかという結果よりも、誰がどのように活躍できたかという課程が重要になるのではないでしょうか。これが子どもの出番につながるのだと思います。

教室に掲示した出番

下記のことを、教室前面に掲示しています。いいあらわれをした子の名前を一緒に書いておきます。その子が発見したことのようにすると喜びます。

  • 「半分はカンなんだけど・・・」と第一発言をする
  • 「○○さんの意見は言いと思います」と第二発言をする
  • 「わからないのでもう少し詳しく説明して下さい」とたずねる
  • 「私がかわりに説明します」と助ける
  • 「聞こえないのでもう少し大きな声で言って下さい」と頼む
  • 「見えないのでどいてください」とお願いする
  • 「他の人はどうですか」とみんなにたずねる。
  • 辞書を引いて、言葉の意味を調べる
  • 友達の意見を黒板に書いていく
  • 「意見がないならかえてください」と要求する
  • 「先生はどう思いますか」と先生にたずねる
  • 授業のまとめをする
  • 「ここのところが分からないのだけど」と新しい問題を出す
  • あまり発表できないので「うんうん」から「あー」とかうなずく
  • 「私たちはこのメンバーで考えたんだけど」とチームで発表する

3 プロフィール

静岡県教育サークル シリウス
1984年創立。
「理論より実践を語る」「子どもの事実で語る」「小さな事実から大きな結論を導かない」これがサークルの主な柱です。
最近では、技術だけではない理論の大切さも感じています。それは「子どもをよくみる」という誰もがしている当たり前のことでした。思想、信条関係なし。「子どもにとってより価値ある教師になりたい」という願いだけを共有しています。

4 書籍のご紹介

「教室掲示 レイアウトアイデア事典」(明治図書2014/2/21発売)

「学級&授業ゲームアイデア事典」(2014/7/25発売)

「係活動システム&アイデア事典」(2015/2/27発売)

「学級開きルール&アイデア事典」(2015/3/12発売)

5 編集後記

「誰がどのように活躍できるか」という視点は非常に重要な要素だと感じます。私自身も小学校の頃に討論の経験がありますが、どうしてもグループ内の2~3人が主に話してほかの人は聞いているという状況でした。全員が話すようにと言われていても、どうやってみんなに話をまわせば良いのか、とまどうこともありました。討論のとらえ方を変えることで、何か話さなくてはいけない/話したいけど恥ずかしい、などの子どもたちが無理なく話せるようになる環境つくりができるのではないでしょうか。
(編集・文責:EDUPEDIA編集部 澁川万結子)

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