詩の指導(シリウス)

16
目次

1 はじめに

こちらの記事では、静岡県で30年間以上続く教員サークル、シリウスのホームページに掲載されている教育実践法の一つをご紹介しています。
http://homepage1.nifty.com/moritake/

2 実践内容

この単元では、新しい目で身の回りを見つめ直して、発見したことを詩に書いた。まずはイメージマップづくりをして、視点を広げた。

授業は以下の5つのステップ(問いかけ)をもとに進めた。

自分が詩に書きたいことをノートの中心に書いて、それから思いつく言葉をどんどんつなげていこう。

ウェビング(※)という発想を広げていくときに役に立つ図を用いる。十分に視点が広がったら次に進む。

※ウェビングについては次の記事をご参照ください。
KJ法・マインドマップ・イメージマップ・ウェビングを授業で活用

図の中から、一番伝えたいことを一つ赤で◯をしよう。

こうすることで書くテーマがはっきりする。

赤◯のまわりをもっと詳しく書いて、増やしましょう。

こうして詩の素材を十分出したところで、いよいよ書き始める。そのまま書かせても内容が深まらない場合は、こまめな評価をする。

題と名前を1行目まで書けたら、ノートを見せにきましょう。

ここで見たのは、題・名前と一行目の書き出しである。(  )が(  )したのような書き出しになるように進めた。それぞれができたら、一つずつ◯をつけた。こうして何を書くとよいのかの観点を示すことで、文が書きやすくなる。

次のことが書いてあれば、1つ1点です。自分で文を読み返して、5点になると思ったらノートをもっていらっしゃい。

示した観点は、

  • 「。」(話し言葉)
  • さわった感じ
  • 見たもの
  • 聞こえたもの

マイナス1点になるものとして、以下の3つを挙げた。

  • 雑な文字
  • ひらがなばかり書いている
  • 間違った漢字

こうしてできあがったものが下の詩である。どれも味わい深い作品になった。

3 実際に児童が書いた詩

「友達」  I.M

ケンカして友達はいなくなった
目の前は 真っ白
心にぽっかり穴があいて
スースーと風が通ってしまう
「でもまた作ればいいや」
そう思ってまた友達を作った
けれどまた穴がふさがらない
風が通っている。楽しくもない。
…友達の大切さが私はわかった気がした。
二番目の友達より 一番目の友達のほうが
大切に決まっている。何があっても
だから言おう
大切な人を、もっと大切にしよう。だから
「ごめんね」って…

「花火」 K.Y

花火の音がドーンとなった
花火の音が地面にひびいて
びっくりした
にじ色の花火がきれいに見える
でもピカピカ光ってまぶしかった
花火の色がきれいなので思わず…
「きれーい、さいこー」なんていっちゃた
花火の音はきっとさけび声なんだな
あっという間に花火は終わった
でも花火のけむりははっきり見える
夏にまた出てこいよ!
まってるよー

「サクラの木」 K.Y

窓の外から木を見ていた
よくみると 木にはいろんな色がある
春夏秋冬で
春は ピンクで
夏は 緑で
秋は 茶色で
冬は 枝だけ
きっと木も 人といっしょで
心があるんだろうな

「しも」 H.A

駐車場のクローバーにしもがついていた
クローバーについていたしもが
キラキラ光っていた
さわったら ひんやり冷たかった
ちひろちゃんが「ふんでみようか」と言って
ちひろちゃんとふんでいたら
すべって転んだ
二人で「アハハハ」とわらって
痛かったけど、すごく楽しかった。

4 プロフィール

静岡県教育サークル シリウス
1984年創立。
「理論より実践を語る」「子どもの事実で語る」「小さな事実から大きな結論を導かない」これがサークルの主な柱です。
最近では、技術だけではない理論の大切さも感じています。それは「子どもをよくみる」という誰もがしている当たり前のことでした。思想、信条関係なし。「子どもにとってより価値ある教師になりたい」という願いだけを共有しています。

5 書籍のご紹介

「教室掲示 レイアウトアイデア事典」(明治図書2014/2/21発売)

「学級&授業ゲームアイデア事典」(2014/7/25発売)

「係活動システム&アイデア事典」(2015/2/27発売)

「学級開きルール&アイデア事典」(2015/3/12発売)

6 編集後記

 ここで紹介されている5つの観点(「。」(話し言葉)、心、さわった感じ、見たもの、音、聞こえたもの)を使って毎日文章を書き続けたら、表現力を伸ばす素晴らしい練習になると思いました。自分の書いた作品を数年後に見直して、小学生の時の自分のものの見方を振り返るのも楽しそうです。
(編集・文責:EDUPEDIA編集部 陣内萌)

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次