生活を見つめる作文指導(シリウス)

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目次

1 はじめに

こちらの記事は、静岡県で30年間以上続く教員サークル、シリウスのホームページに掲載されている教育実践法の一つをご紹介しています。
http://homepage1.nifty.com/moritake/

2 実践内容

自分の生活を見つめて、そこで体験した感動を文に残すよう、作文に取り組んだ。ただ「作文を書きなさい」といってもなかなか文は書けないものだ。そこで次のような手順で指導した。

  1. テーマを決める
  2. 思い出のウェビング(※)を書く
  3. ウェビングの中で特に心に残っていることを3つ選ぶ
  4. 選んだ3つをさらに詳しくなるよう書き加える
  5. ウエビングをもとに4コマ漫画を描く
  6. 4コマ漫画に、心・目・口・鼻・耳・手のマークを入れる
  7. これまでの自分と変わったことは何かを考える →これが感動の中心になる
  8. ノートに1回目の下書きをする。文を書き加える
  9. 原稿用紙に2回目の下書きをする。
  10. 下書きした原稿用紙に、心、目、口、鼻、耳、手のシールを貼り五感の表現を書き加える。
  11. 3回目の下書きをする。
  12. 教師が漢字、表現方法、文の順番など最終的な添削をする。
  13. 清書する。

※ウェビングについては次の記事をご参照ください。
KJ法・マインドマップ・イメージマップ・ウェビングを授業で活用

なんとこんなにも多くの段階を経て一つの作品が完成する。川に出かけて遊んだこと・感じたことを改めて文に書き表すことはなかなか難しい。心の中で思っていることを文として表現するには、子どもと対話しながら気持ちを引き出すことが大切だと思った。

3 実際に児童の書いた作文

「はげましの一言」

今日はつかみ取り。つかんでも、つかんでも、ぬるぬるして魚がにげました。
「ここがいい所だよ。」
5年のペアのKくんがいいところを教えてくれたので、魚が二ひき取れました。
さばくときに、みんなのを見ておそるおそるやってみました。きんちょうしました。ゴリゴリと音がして、
(しっぱいしちゃったかなぁ)
と思ったら、うまく切れています。うれしくなりました。何とか魚をうまく切りました。Kくんも手伝ってくれました。
そして魚をくしにさしてやき始めました。
(魚がやけるの楽しみだな。)
やけるまで遊んでいようと思ったとき、大変なことに気がつきました。魚のはらをとりわすれたのです。
(どうしよう。あーあ、ぼくってだめだな)
「どうしたの。」
おちこんだぼくを見て、Kくんが聞きました。そのことを話すとKくんがいいました。
(まあまあ遊んでパーッとしようよ。)
「うん、気をとり直さなくっちゃね。
心がほっとしました。
(思いやりがつまっていていい言葉だな。おかげで元気になったよ、ありがとう。)
心の中で思いました。
いい色にやけた魚を先生がわけてくれました。
(しっぱいした魚がほかの人に行かないように。)
そうねがっていたのに、その魚はKくんの所に行ってしまいました。でもKくんはそれを知りながらも食べてくれて
「うまい!」と
ぼくの顔を見てわらってくれました。食べてくれてとてもうれしかったです。ぼくもとてもおいしかったです。
いい一日でした。ありがとうKくん。

4 プロフィール

静岡県教育サークル シリウス
1984年創立。
「理論より実践を語る」「子どもの事実で語る」「小さな事実から大きな結論を導かない」これがサークルの主な柱です。
最近では、技術だけではない理論の大切さも感じています。それは「子どもをよくみる」という誰もがしている当たり前のことでした。思想、信条関係なし。「子どもにとってより価値ある教師になりたい」という願いだけを共有しています。
(2015年3月9日現在)

5 書籍のご紹介

「教室掲示 レイアウトアイデア事典」(明治図書2014/2/21発売)

「学級&授業ゲームアイデア事典」(2014/7/25発売)

「係活動システム&アイデア事典」(2015/2/27発売)

「学級開きルール&アイデア事典」(2015/3/12発売)

6 編集後記

五感で感じ取ったものを言葉として用いると、児童の書く文章は生き生きとし、また、その児童らしさがよく表れてくるだろうと思います。
作文を書く機会のある度に徹底して指導できれば良いですね。
(編集・文責:EDUPEDIA編集部 陣内萌)

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