1 はじめに
こちらの記事は、静岡県で30年間以上続く教員サークル、シリウスのホームページに掲載されている教育実践法の一つをご紹介しています。
http://homepage1.nifty.com/moritake/
2 実践内容
「群読」とは文章を一人で読んだり、大勢で分担して朗読をしたりをすることです。
まずは教員が詩の題名を書かずに、黒板に次の詩を黙々と書いていきます。
「はやくちうた」
川崎洋
ブリの群れのビリのブリ
このネコはこの子ネコの母ネコ
片目つぶるカタツムリ
なま肉なまハムなまラーメン
父さんトマトまとめて十買った
おでんと都電はぜんぜんちがう
塩焼きむし焼きつけ焼きすき焼き
寝ぞう悪い象もいれば寝ぞういい象もいる
親カモシカのあとから子カモシカ
だぢづでどのさかさはどでづぢだ
教員が説明をしなくても、子どもたちは詩をどんどん読み始めます。「むずかしい」「早口ことばになっている」という声が子どもたちから聞こえてくるはずです。そうしたら次のように尋ねてみましょう。
発問1 この詩の題名は何という題名だと思いますか。
おそらく子どもたちはこのような回答をするのではないでしょうか。
・はやくちことば
・はやくちのうた
一通り子供たちが言い終わったのを見計らって、この詩の題名が「はやくちうた」といい、作者は川崎洋さんであることを説明しましょう。
指示1 「はやくちうた」を一行ずつ読みましょう。
一行ずつ順番に読んでいきます。早く読みなさいと言わなくても、自然と子どもたちの読みが早くなるはずです。一通り読み終えたところで、今度は通しで読むことにしてみましょう。
指示2 全員起立。はやくちうたを読みます。途中でつっかえたり、間違えたりしてしまったら、座りましょう。
途中で座る子はほとんどなく全員が最後まで読んでいるはずです。教室全体がだんだん興奮状態になります。こんどは、隣の席の子と二人一組にしてみましょう。
指示3 隣の席の子と、二人一組になります。一人が読んでいる間、もう一人がちゃんと言えているかどうか聞いてください。途中でつっかえたり間違えたりしたら、相手の肩をぽんと叩きます。
隣同士で頭を寄せ合あい、お互いの声を聞かせましょう。子どもたちは何とも楽しそうな表情をしているはずです。つぎに、班ごとで読むことにしましょう。
指示4 こんどは班ごとで読んでいきます。一人1行ずつ順番に読んでいきます。最後まで読み終わったら、元気よく「はい」って手を挙げてください。
班ごとで読ませることで子どもたちは競いあいながら群読を行い、大興奮のはずです。全員が机の上に登っている班もありました。一番の班が決まったら、第2回戦は少しハンディをつけることにしましょう。一番を取った班は、最初の題を2回繰り返すように指示します。勝てば勝つほど読む量は増えるという仕組みです。
3 プロフィール
静岡県教育サークル シリウス
1984年創立。
「理論より実践を語る」「子どもの事実で語る」「小さな事実から大きな結論を導かない」これがサークルの主な柱です。
最近では、技術だけではない理論の大切さも感じています。それは「子どもをよくみる」という誰もがしている当たり前のことでした。思想、信条関係なし。「子どもにとってより価値ある教師になりたい」という願いだけを共有しています。
4 書籍のご紹介
「教室掲示 レイアウトアイデア事典」(明治図書2014/2/21発売)
「学級&授業ゲームアイデア事典」(2014/7/25発売)
「係活動システム&アイデア事典」(2015/2/27発売)
「学級開きルール&アイデア事典」(2015/3/12発売)
5 編集後記
「はやくちうた」のような文章を用いることで、間違えないように早く読もうという気持ちや、他の班よりも早く読みたいという気持ちが生まれ、クラス全員が夢中で群読に取り組めると思います。群読によって言語に楽しみながら触れることができると思いますので、ぜひ授業に取り入れてみてください。
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