1 はじめに
こちらの記事は、静岡県で30年間以上続く教員サークル、シリウスのホームページに掲載されている教育実践法の一つをご紹介しています。
http://homepage1.nifty.com/moritake/
2 実践内容
- 成長していく過程を表現に即して正確に読み取る。
- 新しい情報を得ることに興味をもつようにする。
さけが 大きく なるまで
20の文,10の形式段落から成り立っている。
内容としては,場面ごと,1行あきで,大きく7つに分けてとらえることができ
(一)課題の提示・・・・・・・・・・・・・・・・・・・①
(二)秋に川上の川底に卵を産み付けるおとなのさけ・・・②,③
(三)冬の間に卵からかえり,やがて小魚になるさけ・・・④
(四)春になる頃,川を下るさけの子・・・・・・・・・・⑤
(五)海に出て,川口で生活するさけ・・・・・・・・・・⑥
(六)体がしっかりし,広い海で大きくなるさけ・・・・・⑦,⑧
(七)3,4年後,卵を産みにもとの川へかえるさけ・・・・⑨,⑩
といった順序に従って展開されている。
数多くの困難に出会いながら成魚となり,もとの川へ産卵のために帰るさけの成長過程は,説明文特有の文章構成で記述されており,時間的な順序を読み取る文章として典型的な物である。
さけの成長過程を明確にしている表現(時間的変化,成長をあらわすことば,状態をあらわすことば)や,事柄を詳しく説明している表現などを確実におさえ,そのことばの働きをしっかりつかませ,叙述に即して正しく読ませていくこと,また,「3mぐらいのたきでものりこえて川上へ川上へすすんでいくおとなのさけ」「水にながされながら,いく日もいく日もかかって川を下る子どものさけ」など成魚について述べられている段落(①~③)と,産み付けられた後の文章を対比しながらよみすすめていくことが大切である。}
「さけが 大きく なるまで」では各自書き込みノ−トを用意し,自主的に勉強させたところ,児童たちは非常に意欲的に取り組み図書室で本を借りたり,親にさけの話を聞いたりしてノ−トに書き込んでいる。
それらの一次感想でさけが卵を産むために50cmも穴を掘ることに強い興味を示したので動作化を取り入れながら本時を設定した
指導計画
第1次(3時間)
- 全文を通読し,新しく知ったことや疑問を書き発表する。
- 新出漢字,読み替え漢字の読み書きを覚える。
- 全体の内容のあらましをつかむ。
第2次(8時間)
- 個人の書き込み,音読,話し合いをすすめ,各場面ごと要点を把握させ,感想を書かせていく。
- 冒頭の段落を読み,学習課題をつかむ(一の場面)
- 親ざけが卵を産みに川を勢いよく上っていく様子を読み取る。
- 産卵の時の様子を叙述に即してまとめる。・・・本時(二の場面)
- 生まれたばかりのあかちゃんの様子と,やがて,小魚になる変化を読み取る。(三の場面)
- 海にむかって川を下るさけの子供たちの成長していく様子を(二の場面)と対比しながら読み取る。(四の場面)
- 川口のところで泳ぐさけの子供たちの成長していく様子を読み取る(五の場面)
- 川口で生活していたさけの稚魚が広い海で生活している様子を読み取る(六の場面)
- この場面と対比しながら,成魚になったさけの生活を読み取る(七の場面)
第3次(2時間)
- さけの一生について,もっと知りたいことや,不思議に思ったことを発表し新しい情報を得るための本を選び紹介しあう。
本時の指導
(1)本時の目標
親ざけが,おびれを「ふるわせて」穴を「ほり」卵を「うんで」 「うめてしまう」過程と様子を,読み取らせる。
(2)指導構想
「さけが 大きく なるまで」の一次感想では,さけがおびれをふるわせて50cmもあなを,ほることに興味をしめしたため本時を設定した。
さけが卵を産むときの過程を読み取らせたい。
全員で音読した後,本時の学習場面を指名読みする。
次に,この場面で,おとなのさけのしたことを,各自プリントに書き込みさせる。
順順同に発表させた後,それらの順序を確かめさせる。
前時の学習から,川上へのぼっていくことが大変だったことをおもい起こさせ,さけがやっとの思いで「たどりついた」ことに気付かせ「つく」との違いを考えさせたい。
川上へたどりついたさけは「おびれをふるわせて」穴を掘るのだがおびれをふるわせて穴を掘るということはどのようなことなのか,教科書から読み取らせると伴に動作化をさせながら考えさせていきたい。
手で穴を掘った経験から傷付きながらも全力で掘り続け,信じられない働きをするさけを感動をもって見つめさせたい。
また視覚からもさけがやっとのおもいで川上にたどりつきおびれをふるわせて卵を産む様子をとらえさせたい。
(3)展開
3 プロフィール
静岡県教育サークル シリウス
1984年創立。
「理論より実践を語る」「子どもの事実で語る」「小さな事実から大きな結論を導かない」これがサークルの主な柱です。
最近では、技術だけではない理論の大切さも感じています。それは「子どもをよくみる」という誰もがしている当たり前のことでした。思想、信条関係なし。「子どもにとってより価値ある教師になりたい」という願いだけを共有しています。
(2015年10月17日現在)
4 書籍のご紹介
「教室掲示 レイアウトアイデア事典」(明治図書2014/2/21発売)
「学級&授業ゲームアイデア事典」(2014/7/25発売)
「係活動システム&アイデア事典」(2015/2/27発売)
「学級開きルール&アイデア事典」(2015/3/12発売)
5 編集後記
生き物の成長を通して、命を育むことの大切さを学ぶ機会にもなり、子どもたちがさけの生きる姿をしっかり受け止めている様子から、国語科の教材でありながら生物学的な要素へ踏み込むきっかけを作る教材ではないでしょうか。ご参考になればと思います。
(EDUPEDIA編集部 )
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