子どもの”もっと話し合いたい”を生かして(若松俊介先生)

1 はじめに

平成27年9月26日、奈良県奈良市内で行われた、「国語教師 竹の会」に参加しました。本会は昭和55年に発足し、“子どもが生きる授業の改善 ~子どもが育つ・子どもを育てる~”国語科授業を研究課題とし、関西を中心とする会員によっておよそ月1回の例会を開いています。本記事は、京都教育大学附属桃山小学校教諭 若松俊介先生による追究課題「聴き合い、話し合いを通して、自分の読みを深める授業をめざして」の発表をもとに編集しましたので、ご紹介します。

国語教師 竹の会 URLはこちら → http://takenokaikokugo.web.fc2.com/

2 資料『生き物は円柱形(本川達雄作)《光村図書 国語5年》』

11段落から構成される説明文です。

3 本時のテーマ「生き物は本当に円柱形なのか?では、どこの段落まで読めば解決するのか?」

 
 先生は「この問題を収束したいわけではありません。子どもによっては段落の捉え方が違うかもしれない。”解決するのか?“と問いかけていますが、子どもたちが段落のつながりやその役割を見つけ出すことと、気に留めて考えるようになることを目的としたかった」と述べておられました。
 実際に子どもたちに問うた結果、4パターンに分かれました。

ホワイトボードに、段落名を書き、自分たちのネームプレートを貼り付けていきます。そのときにも“この段落とこの段落の間かな”“間だけど、ちょっとこっちの段落寄り”などの、個人的なこだわりや意見も大事にします。

”生き物は円柱形である“という様々な例を挙げて説明がひと通り終結する5段落、円柱形である理由、なぜそれが良いのか、どんな特徴があるのかを述べたあとの9段落、結論としてまとめの言葉を用いた10段落、そのあとの、“生き物は多様だから面白い”と結んでいる11段落などと、子どもたちはその「根拠」を挙げて、聴き合い、そして話し合いを行いました。
 
 小グループで何度か話し合いを行った結果、“どこで解決するか”は、変化していきます。ワークシートを用意し、話し合い学習を振り返って、ひとりで考えたことよりも話し合いを通して深まったことについて書けるようにしました。
 子どもたち一人ひとりの振り返りノートを見てみると、「みんなの前では発表できなかったけど、少人数のグループでの話し合いは楽しい」「もっと話し合いたい」という意見が多いのには驚きました。

「説明文教材において、子どもたちが筆者の表現の特質を探究していく授業」にするために

 
 若松先生が追究されたのは、次の内容です。

  • 子どもたちの おたずねを大切に
  • 子どもたちが自ら筆者の表現の特質に気づき、追究していける

 そんな学習の場づくりを進めたいとのことでした。
 
そのために、今回は下記のポイントに重点を置きました。
1.筆者を強く意識できるように→筆者と対話しながら読み進めていく(筆者の写真も紹介)
※すると、学習展開の終盤では、子どもたちから「筆者へ手紙を書きたい」との意見が出てきた}。  
2. 題名だけで考える→「生き物は円柱形って、ほんとうなの?」という問いを持たせる
3.小グループでの聴き合い、話し合い→“ひとり読み”だけでなく、席が隣同士の2人で、3人で、枠を広げて5人程度で意見を交わし合う“聴き合い学習”を重視する。
一人ひとりが抱く“おたずね”が広がり、そのことについて小規模のグループで、
全体で考えていく

全体で考えていきたいことと今後の課題

先生として、考えていきたいこと、今後の課題を列挙されています。
1. 説明文教材において、子どもたちが「筆者の表現の特質」を追究したくなる学習展開とは何か
2. 本時の教師の出方について
 →教師が子どもの言葉をつないでいく、“消えながら、出る”という感覚です。
「話す」ことのできる子どもはいますが、「人の意見を聞いて発言する」とい うことができる子どもはもともと少なかったそうです。ペア、トリオ、小グループ、中グループ、全体へと少しずつ話し合う場を広げながら、相手の意見をしっかりと受け止めて発言することを考えていくと、教師が子どもたちに意見をつなげる手立てを示すなかで、子どもたちは自分たちで意見をつなげていくことができるようになっていったそうです。
3.教えること、教えないこと
 教えないことというのは、難しいものですが、子どもたちが“気づいていけるように”先生が手を差し伸べることだと考えています。

参加して特に感じたこと

「生き物は本当に円柱形なのか?」という初めの問いに対し、「どこの段落まで読めば解決するのか?」の話し合い学習の、子どもたちの意見のやり取りの内容が紹介されました。
11段落あるうち、前半の5段落末で解決するという多数派の意見に耳を傾けていた先生が「今、じーっと聞いてて思ったんやけど、6段落より後がいるのか?前ですっきりするのか。すっきりしないのか。6段落より後ですっきりする、という人はいる?」という質問を投げかけられたところで、”解決する“という、やや難しい言葉よりも”すっきりする”という言葉を選んでおられました。5年生の子どもたちは、ここでストンと自分の心に落ちた感じを掴んだのではないでしょうか。先生からのこの一言で、その後も「すっきりする、しない」という言葉を何度も用いて話し合いを進めていました。

どこか硬い印象のある説明文ですが、深く読むと面白いし、わかるようなわからない感覚を受け入れてもらえる場があるというのは嬉しいなと感じました。
子どもたちのなかには、なかなか手を挙げて積極的に発言しない子どももいるのですが、わざと先生はそんな子どもにも「○○さんは?ネームカードの置き場所に悩んでいたよね?」と尋ねておられます。発言を促すきっかけとしてネームカードを使ったり、振り返りノートに全員書き込ませたりすることによって、どの子どもたちの意見も先生の目で確かめられるようにされていました。その結果、話し合いのグルーピングにも、先生なりの工夫が見られます。この子とこの子をペアリングしたらどういう結果になるだろうか、意見が発展するだろうか、と新しいグループが誕生します。

筆者という送り手は1人ですが、読み手がたくさんいれば、いろんな意見があり、解釈の仕方もさまざまであるということを子どもたちは学びます。

4 実践者紹介

若松俊介先生 (京都教育大学附属桃山小学校教諭)
”子どもたちが生きる“授業を目指し、子どもたちの持てる素晴らしい力を大事にしたいと願って教壇に立っておられます。(国語教師 竹の会所属)

【国語教師 竹の会】
昭和55年発足。「子どもが生きる授業の改善」を研究主題として、授業の事実に基づき、授業に表れる「子どもたち一人ひとりの姿」を大事にしながら、「子どもが育つ・子どもを育てる」国語科授業のあり方を追究しあう場です。
竹の会では、志を同じくする方々のご参加をお待ちしています。(URLは本記事のはじめにご紹介)

5 編集後記

アクティブラーニングという言葉がだいぶ市民権を得てきましたが、先生のクラスの子どもたち一人ひとりが、積極的に、本気で意見交換をし、学び合うことを“楽しむ”様子がうかがえました。説明文を読み込むという学習の参考になさってはいかがでしょうか。
また、本会で学びたいという先生方には、ぜひ例会へのご参加をおすすめします。
 (編集・文責 EDUPEDIA編集部 進藤貴永、横山尚人、丸山明美)

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