1 はじめに
こちらの記事は、静岡県で30年間以上続く教員サークル、シリウスのホームページに掲載されている教育実践法の一つをご紹介しています。
http://homepage1.nifty.com/moritake/
2 実践内容
有賀連「赤い鳥」に発表した童謡で「大きなお風呂」という作品で、クイズをしながら詩のイメージを広げていく授業をおこないました。
まず「誰も知らないところです」。
黙って黒板に次のように書きました。
「なんだ、なんだ」と見つめています。
どんなところでしょう(※青色=教師の発問/以下同様)
答の予測がつかないので、当てずっぽうに答えていました。
- きっと遠いところ
- 静かなところ
- 宇宙
いくつか出たところで、また続きを書きました。
「とても大きなお風呂です」
子どもたちの顔がほころびました。いつものようにワイワイしはじめました。
どのくらい大きなお風呂だろうねと尋ねてみると
- 5人くらい入れるよ
- もっとだよ、きっと10人
- もっともっとだよ、だって誰も知らないところのお風呂なんだもん。百人くらい入れるんじゃないか
「月はひとりではいります」
子どもたちは騒ぎをやめました。しん、としました。きっと予想外のことであったのでしょう。
ここまでを静かな調子で朗読しました。
誰も知らないところです
とても大きなお風呂です
月はひとりではいります
子どもたちはそれぞれにイメージを浮かべているのでしょう。
私はまた続きを黒板に書きました。
「月があがったそのあとは」
子どもの微笑みがとてもかわいらしいです。
この後どうなるだろうね
子どもたちはこれには答えず、早く答えを書いてほしいと言った目をしていました。
「星がみんなではいります」
わあ、という声があがりました。
これはどんなところにあるお風呂なんだろうと私が問いますと
- 違うよ池じゃないの
- 山の中にある、湖の方がすてきだと思う。
あなたはどんなお風呂だと思いますか。このお月様はどんな色・形・大きさのお月様だと思いますか
自分の頭に浮かんだイメージをそれぞれ絵に描きあらわしました
3 プロフィール
静岡県教育サークル シリウス
1984年創立。
「理論より実践を語る」「子どもの事実で語る」「小さな事実から大きな結論を導かない」これがサークルの主な柱です。
最近では、技術だけではない理論の大切さも感じています。それは「子どもをよくみる」という誰もがしている当たり前のことでした。思想、信条関係なし。「子どもにとってより価値ある教師になりたい」という願いだけを共有しています。
4 書籍のご紹介
「教室掲示 レイアウトアイデア事典」(明治図書2014/2/21発売)
「学級&授業ゲームアイデア事典」(2014/7/25発売)
「係活動システム&アイデア事典」(2015/2/27発売)
「学級開きルール&アイデア事典」(2015/3/12発売)
5 編集後記
子どもたちの手元に何もない状態から、黒板に一文ずつ書く短い文章。それを見つめて想像力を膨らませる子どもたちの生き生きとした様子が目に浮かびます。楽しそうに意見を交わしながら、お月様やお星たちの入る大きなお風呂のイメージを絵にしてアウトプットするという授業方式が、とても新鮮に感じられました。
(編集・文責:EDUPEDIA編集部 河村寛希)
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