1 はじめに
こちらの記事は、静岡県で30年間以上続く教員サークル、シリウスのホームページに掲載されている教育実践法の一つをご紹介しています。
http://homepage1.nifty.com/moritake/
2 実践内容
自分の観点を決めてオリジナルの分析をしよう
この単元では、身近な出来事を異なる2つの観点から調べ、その表からどんなことが言えるのか表の読み取りをします。4年生の学習内容ではありますが、こうした見方は大人社会でも「分析」と称されよく使われています。
授業を通して[元になるデータの集め方][集めたデータを見やすい表に表す方法][作成した表から読み取ること]がわかったところで、各自がテーマを決めて資料の整理を行いました。
自分で調べたいと思うテーマを決めよう。
授業では、一次元の表(調べる項目が一つ)・二次元の表を学びました。「項目が二つあるといろいろなことがわかるよ」と、二つの項目を調べることを勧めました。子どもたちが調べたものは、
- 好きな遊びと遊び場所:遊ぶ場所と遊びの関係が探れる。
- 好きなスポーツとフルーツ:スポーツとフルーツは関係があるのか調べる。
- 習字を習っているか。ほかにも習い事しているか:習い事の傾向がわかる。
- ドッジボールは好きかどうか:ドッジボールの人気度がわかる。
クラスの友達に質問をして数を調べよう。
クラス名簿を一人に一枚ずつ渡して、元になるデータを集めました。子どもたちは教室中を所狭しと動き回り記録をつけていきました。人数が15名だったので、数の合計・確認などちょうどよい人数でした。
元になるデータが集まったところで、
教科書を参考にして一覧表を作ってみよう。
一人ひとり調べた項目によって、作る一覧表も違ったものになりました。
表を作って、わかったこと・気付いたこと・思ったこと。
- 犬もウサギも飼っていない人が多かった。ウサギを飼っているのは一人だけだった。作るのは大変だったけれど楽しかった。この表を作って誰が何を飼っているかわかった。
- ゲームをやっている時間とゲームを持っている数:いろいろあって面白い。ゲームを持っていない人もいる。
- 工作が好きか絵が好きか。両方好きな人が7人で多かったです。両方嫌いな人が1人でした。みんな図工が好きなんだなと思いました。
- 家のテレビの台数と置いてある場所:同じ場所に2台はない。ほとんどお父さん・お母さん、おじいちゃん・おばあちゃんの部屋に多かったです。自分の部屋には少ない。
このような表づくりの便利さを感じることができたでしょうか。尋ねてみました。
表を作って、便利なことやためになったことがありましたか。(ある・ない)
〈ある〉
- そのまま数えるのは大変で意味がわかんなくなるけれど、表を作れば、一目で何がこうなったとかわかるから便利でためになると思う。
- 表は見てすぐわかることがわかった。それが便利だと思った。誰が犬、猫を飼っているのかがわかった。飼っていない人が多いのがわかった。両方飼っているのは一人だった。
- 一目見ただけでわかる。何かを調べたいときに使える。
3 プロフィール
静岡県教育サークル シリウス
1984年創立。
「理論より実践を語る」「子どもの事実で語る」「小さな事実から大きな結論を導かない」これがサークルの主な柱です。
最近では、技術だけではない理論の大切さも感じています。それは「子どもをよくみる」という誰もがしている当たり前のことでした。思想、信条関係なし。「子どもにとってより価値ある教師になりたい」という願いだけを共有しています。
4 書籍のご紹介
「教室掲示 レイアウトアイデア事典」(明治図書2014/2/21発売)
「学級&授業ゲームアイデア事典」(2014/7/25発売)
「係活動システム&アイデア事典」(2015/2/27発売)
「学級開きルール&アイデア事典」(2015/3/12発売)
5 編集後記
子どもたちが興味のあることからはじめて、答えをお友達に質問をして集め、それを集計して、自分なりにまとめて表を作成する。たくさんあって、しかもバラバラの答えが、表一つでシンプルにわかりやすくまとめられることが、この活動を通して、楽しく身についたのではないでしょうか。
(編集・文責:EDUPEDIA編集部 河村寛希)
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