推理して考えよう(和田秀夫先生)

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目次

1 はじめに

2014年8月23日、「関西算数授業研究会 第10回公開研究会」に参加し、和田秀夫先生の4年生算数の授業を見学しました。普段の教科書の問題とは少し違った問題を扱う「推理して考えよう」の授業で、子どもたちを楽しませながら学びを生み出す方法を紹介します。

2 実践内容

実践のアイデア

推理することで答えがわかる体験は子どものワクワクする心を刺激します。そこで、今回のような問題を取り上げることで、子どもに考える楽しさを体験させることができます。また、「みんなで考え合い」「説明し合う」ことによって、算数の大切な力をつけていくこともできます。

数学的に考える力を育てる

この学習には、算数で連想されるような数字や図形は出てこず、情報だけを的確に整理し、そこから筋道を立てて論理的に進めたり、判断したりします。そのため、この学習は「数学的に考える力」を身につけることにつながります。

指導計画

・条件に合うものを見つける問題に取り組む…1時間

指導案

本時の目標

問題の条件を整理するために、表に書く。それをもとにして、筋道を立てて考え、順序良く推理し、正解を見つけ、友達に説明することができる。

本時の展開

指導のポイント

①「推理したい」「考えてみたい」という気持ちを起こすこと
子どもたちが自分から「推理したい」「考えてみたい」と思うように、授業に子どもたちを引き込むことが大切です。そのためには、導入の際に、推理ドラマの話をしたり、「あなたたちの知っている推理の話を教えて」と話を振ってみたりすることがポイントです。

②考えることのおもしろさを体験させること
問題を考える中で、子どもたちにワクワクする体験をさせることが大切です。
この体験によって、考えることのおもしろさもわかるようになります。そのためには、表を提示することで、子どもたちが推理しやすいようにすることがポイントです。

➂説明すること、学び合うこと
答えがわかった子に対しても、「みんながわかるように説明すること」まで求めることで、さらに理解を深めることができます。また、この過程によって、子どもたちの間に「学び合いの姿勢」を生むことができます。

指導上の工夫

問題1

・「あきら」「かつや」「さとし」「たいき」この4人の頭文字は、「あ→か→さ→た」になっていることを子どもが発見すると、「ここでも推理をしているね」と確認することで、推理を身近に感じさせる。
・「わかった人?」と、挙手させる。
・わかった人には、「解き方を説明できるかな?」、「どうやったらわかりやすく説明できるか考えてみよう。」と指示する。
・まだわからない子のために、考える時間を確保する。
・子どもの実態をみて、子どもがわかりやすい表を考えつくことが難しい場合は、表はヒントを出しながら子どもと一緒に考える中で、教師から提示していく。
・自分で表が書けた子がいれば、子どもを指名して、黒板に表を書かせる。
・黒板の答えに間違いがあれば、その間違いをみんなで正す。一緒に考える。
・間違いを正す際には「違うと思う理由」を説明させる。
・最後に、表の作り方のポイント(わかっているところだけ書いていくといいこと)を確認し、問題2につなげる。問題1は、表を使うとわかりやすいということを気づかせるための課題である。

問題2

・1と同様、考える時間を確保する。
・1で扱った表の考え方を使って推理できるとよい。
・みんながわかってきたら、隣同士で解き方を説明し合う時間を取ることも効果的。

振り返り

・この授業のめあてとしてはじめにみんなに認識させた、「推理すること」「整理して考えるということ」がわかったかどうか確認する。

3 実践者プロフィール

和田秀夫先生
関西算数授業研究会 会長
関西算数授業研究会編著『「数学的に考える力」を育てる実践事例30』(東洋館出版社)にて実践事例を掲載。

関西算数授業研究会のホームページはこちらhttp://mathmath.jp/

4 編集後記

子どもたちが、推理すること、考えることを楽しんでいる様子をみて、この実践は、算数のおもしろさを伝えるのにピッタリな実践だと思いました。算数のおもしろさを知って、自分から「考えたい」と思うことは、子どもたちの学びを高める何よりの原動力になるのではないでしょうか。また、子どもたちを楽しませるだけでなく、説明の段階を設けることで、子どもたちの理解を深め、学びを高めている点にもこの実践の工夫を感じました。
(編集・文責:EDUPEDIA編集部 森七恵)

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