1 はじめに
こちらの記事は、静岡県で30年間以上続く教員サークル、シリウスのホームページに掲載されている教育実践法の一つをご紹介しています。
http://homepage1.nifty.com/moritake/
2 実践内容
新聞紙で陣取り合戦
面積という概念が生まれてきた背景を考え、単位の持つ良さについて触れる学習をしました。
<発問1> 昔の人々は戦いによって何かを取ったり取られたりしていたんだけれど、何を取り合っていたか知っていますか?(※青色=教師の指示・発問/以下同様)
- 国
〈国〉という返事があったので、戦争によって領土を取ったり・取られていたりしていたことを話しました。
<発問2> 広さを表すときに国ごとに表し方が違っていたら比べやすいでしょうか?
- バラバラだと分からない
- どっちが広いか分からない
そこで新聞紙を使った陣取り合戦をすることを通して、単位の生まれた背景を追体験することにしました。
【指示1】 新聞紙を使って陣取り合戦をしよう。
◆やり方
- 4人一組で行う。新聞紙は見開き一枚を使用する。
- じゃんけんをして好きな四隅を選びスタート地点を決める。
- じゃんけんをして勝ったら(一位を決めずに勝者は複数でも可、)自分の四隅から記事や広告を四角形一つ分囲む。。
- 誰か一人が「もうこれ以上陣地を増やせない」状態になったら終了。
子ども達は、こんなゲームが大好きです。中には「それは僕が先にとった所だよ」「そっちは取らないで。私がとれなくなっちゃう。」ともめごとが起こっています。一通りゲームが済んだところで、
<発問3> 誰が一番広い陣地を取れたかわかりますか?
とても入り組んだ形をしているので、ぱっと見ただけではわかりません。またハサミで切っても、これまた複雑な形をしているので、比べることができません。どうしても計算するしかないのです。
【指示2】 何c㎡の新聞紙をとれたか計算をしてみよう。長さは切れのよい数字としcmまでとしてください。
取った陣地の形をノートに写し、辺の長さを図りながら計算していきました。新聞紙の形の小さな四角に分けて、それぞれの面積を足し合わせていく方法をとった子が多かったです。量の加法性、量の保存性を自然と使っています。
計算終了後「陣取りをしたら争いが起こったでしょう」(うん)
「見ただけではどちらが広いか比べられなかったでしょう?」(うん)
と昔の人の生んだ知恵を振り返りました。
【指示3】 面積の学習をした感想
- 陣取り合戦では面積がどのくらいあってどちらが大きいかで争うところもあったから、そういうことが起きないように面積や単位があると思いました。いちばん最初面積の授業をやったときもAとBのどちらが大きいか分からなくて、いろんなやり方をやったけれど、私は分からなかった。面積というものが分かって計ったら、すぐに分かりました。面積を図るというのはすごく大切だと思います。今の時代に何もなかったら家も建てられないし何もできないからです。
- 見た目では大きさが分からないので、昔の人は面積ということにしました。勝てば勝つほど自分の国が大きくなって、誰がいちばん大きいか分からないからc㎡などにして広さが分かるようになりました。
3 プロフィール
静岡県教育サークル シリウス
1984年創立。
「理論より実践を語る」「子どもの事実で語る」「小さな事実から大きな結論を導かない」これがサークルの主な柱です。
最近では、技術だけではない理論の大切さも感じています。それは「子どもをよくみる」という誰もがしている当たり前のことでした。思想、信条関係なし。「子どもにとってより価値ある教師になりたい」という願いだけを共有しています。
4 書籍のご紹介
「教室掲示 レイアウトアイデア事典」(明治図書2014/2/21発売)
「学級&授業ゲームアイデア事典」(2014/7/25発売)
「係活動システム&アイデア事典」(2015/2/27発売)
「学級開きルール&アイデア事典」(2015/3/12発売)
5 編集後記
面積の考え方を難しく歴史を振り返るのではなく、生まれた根拠を実体験してもらうことで、その便利さを理解できたのではないでしょうか。
(編集・文責:EDUPEDIA編集部 河村寛希)
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