1 はじめに
平成28年度、公立中学校(3年生)・国語科で教育実習を行った大学4年生の実習体験談です。授業の進め方や教師としての心構えなど、教育実習で学んだことや、実習を通してみえた課題について紹介します。
・教科・単元:国語科・『「批評」の言葉をためる』(教科書『光村図書 国語3』)
・期間:2016年6月(3週間)
2 教育実習を通して学んだこと
①授業の工夫
1つ目は、教科書を使用した(評論文の)授業の型です。
教育実習前から、大学の学校インターンシップや教育NPOで実際に授業をする経験は多かったのですが、教科書を使わないオリジナル授業ばかりをやっていたので、通常の教科書教材を扱う授業を行ったことがほとんどありませんでした。教育実習で初めて行うことができて良かったです。
教科書教材を扱う場合でも、今まで蓄積してきた知識を生かしてオリジナル教材も取り入れた授業をすることができました。教師の工夫次第で単元の中にオリジナル教材を使用することが可能だと確認することができたのも良かったです。実習で行った評論文の授業では、「教科書の本文で学んだ考え方を、オリジナル教材で実践して理解を深める」という授業の型を作ることができました。
②自分の武器を持つこと
2つ目は、教師としての姿勢です。実習中に進路指導の先生から講話があり、その時に次のような言葉を教わりました。
「教師はどれだけ生徒から信頼されるかが、学級経営や授業運営などにも影響する。生徒からの信頼を得るために、自分の武器を持つことが大切」
その武器は部活だったり、社会人経験を生かしたものだったり、「先生がおもしろい、魅力的だ」と思ってもらうことなら何でも良いということでした。私は、授業を自分の武器にしたいと思います。全員が授業に参加し、自分が学んでいるという実感を持ち、国語って面白いと思ってもらえる授業を目指したいです。
(授業用に作成したプリント例)
③AさせたいならBと言う
3つ目は、子どもたちへの伝え方です。
例えば、要約をする授業で、生徒に「要約してください。」と言うのではなく、「筆者の言いたいことはどこに書かれてあるかな?」「具体例はどこにあるかな?」などと聞いていって、気付いたら要約がなされているように指導するべきだ、と指導教諭の先生から教わりました。
つまり、こちらがやってもらいたい事を直接言うのではなく、生徒が分かりやすい具体的な指示を積み重ね、それが目標に進んでいくように伝える、ということです。これは、授業だけでなく、生徒指導でも通ずるところなので、大事にしたいです。
④学校だからこその学び
4つ目は、学校だからこそできる集団での学びの大切さです。
私が実習全体を通して感じたことは、「学校だからこそできることが、実はたくさんあるのだな」ということです。それは、集団の中での学びです。
子どもたちは教師からの教え以外にも、集団でお互いに意見交流をすることで様々なことを学びます。また、生徒指導でも、1人の子どもだけに直接言えば良いものをあえて全体に言うことで、当事者の子どもが嫌な思いをしなかったり、クラス全体でもここが大切なことなのだと共有できたりします。
これからは個人の基礎学力以上に、集団でのコミュニケーションが大事になる時代になるので、学校という場所はこれまでよりもはるかに重要な場所になると感じました。
3 今後の課題
授業の基本
教育実習前に大学の学校インターンシップや教育NPOで実際に中学校・高校で国語の授業を行いましたが、上記の活動では通常の教科書を扱う授業をやっていませんでした。上記でも書いたことと重なりますが、教科書の本文をどのように読解させるか、といった授業の基本を考えることが難しかったので学んでいきたいです。
信頼関係を築く難しさ
実習で苦労した点は、生徒との信頼関係づくりです。実習中は、次の2つを意識して生徒と関わりました。
- 生徒がいる場所に自分もいること
- 自分から生徒に話しかけること
しかし、自分から話しかけることができましたが、生徒から話しかけてくれることは少なかったです。生徒との信頼関係があまりできていなかったのだと思います。生徒から信頼される教師になるために、自分はどのような武器を持っていくのか、今後の課題です。
4 これから実習へ行く人へメッセージ
2つあります。
1つ目は、教育実習での目標を1つ作ることです。私は、「先生になっても使える授業の型を身につけたい」という目標を持って実習に臨みました。そして、普段から張っていた国語授業のアンテナを生かして、自分なりの型を作って、実践することができました。授業でも生徒との関わりでも何でも良いので、目標があると充実した実習になると思います。
2つ目は、実習期間で自分がやりたいと思うことを全部やることです。実際に先生になった時のことを考えて、「時間がないからこれはできないだろうな」と思うかもしれません。しかし、実習生といえど、子どもたちにとっては「先生」なので、実習中でもできること、実習中だからこそできることを全力でやってみると良いと思います。私は、実習の打ち合わせ前に、担当の先生から「実習中にやってみたいことをたくさん考えてきて下さい。」と言われていたので、学級通信やオリジナル授業など自分がやりたいことを挙げて、実際に実習中にやることができました。
教育実習は、自分のやりたい実践や目指す先生に向かう第一歩になります。悔いのないように、がんばって下さい。
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