宿泊行事(キャンプ・林間学校)を成功させる

46
目次

1 宿泊行事はたいへん

修学旅行・キャンプ・林間学校・・・宿泊行事は短期間での勝負になります。学年全体で動くため、スタッフのチームワークも試されます。子供たちが安全に楽しく数泊を共にするにはどのように活動させればいいのか。雨にたたられてプログラムの変更を迫られる場合もあります。多数のけが人や病人が出て、立ち往生してしまう場合もあります。テンションが上がって浮かれがちになる子供もいれば、親元を離れて団体行動をするのが不安で仕方ない子供もいます。コミュニケーション能力が低下している子供たちが狭い部屋で寝食を共にすることはたいへん難しくなってきています。

2 ブレインを助けるスタッフ

まず、宿泊行事を主になって仕切る中心になる教師が決まっていると思いますので、その教師をスタッフが全員で支えるようにしなくてはなりません。宿泊行事を仕切るのはかなり大変な仕事なので、主になる教師はブレインであって、スタッフは手足であると考えるべきです。主になる教師はタイムスケジュールをじっと管理して、宿泊先との相談事も天気の動向をチェックしながら考えなくてはなりません。主になる教師がバタバタ動くようであれば、失敗です。主になる教師には「ブレインは、ブレインですよ。動かなくていいですからね」と、誰かが言ってあげましょう。

3 何が楽しい?


 ふざけて楽しい
 真面目にがんばって成長して楽しい
事前のオリエンテーションで黒板などに書くといいでしょう。
そして、子供に聞いてみます。
「『ふざけて楽しい』は、〇ですか、×ですか。『真面目にがんばって成長して楽しい』は、〇ですか、×ですか。」
・・・学年のカラーによって様々な反応が返ってくるでしょう。
「『真面目にがんばって成長して楽しい』は絶対に〇だよねえ。○○へは、勉強をしに行くのです。」
と、まず、釘を刺しましょう。
「『ふざけて楽しい』は、△です。どんちゃん騒ぎをしに行くのではありません。勉強をしに行くのです。だけれど、時々はふざけて楽しいもありでしょう。でも、ずっとふざけっぱなしでは、勉強にならないどころか、トラブルが起きたり、けが人が出たりして、この大切な行事が台無しになってしまいます。そうならないために、ふざけすぎには気を付けて下さい。」
と、切り替えができるように約束をしておきます。

4 ハンドサイン

宿泊行事は班行動で活動することが多く、学年全体で集合する時にはハンドサインで静かに素早く整列させるようにするといいと思います。普段から習慣づけておきましょう。

静かに素早く整列1

5 ドアは開けたまま

部屋のドアが閉まっていると、密室になっている気がして、子供たちはトラブルを起こしやすくなります。これは、「先生たちの経験上、いじめや怪我などのトラブルを防ぐために、ドアは開けたままにしておきます」と宣言して、子供たちを納得させましょう。

6 整理整頓の徹底

子供たちの部屋がきれいに整理整頓されているかどうかが、宿泊行事の成否を左右します。1泊2日ぐらいなら何とかなりますが、2泊となると整理整頓ができていないと全体の乱れとなってマイナス方向へと響いてきます。食事で食堂に集まる前など、どこかプログラムの区切りの場面で必ず部屋チェックを入れましょう。「部屋を出る前に必ずバッグの中に荷物が入ってチャックができていなければならない」などというルールを作っておきましょう。できていない班に合わせて待っているとプログラムが遅れるので、部屋を出る前にチェックするとか、部屋を出た後、スタッフがバッグに入っていないものを取り上げるなど、工夫が必要です。整理整頓ができていたら、きれいな部屋の班を発表して褒めてあげましょう。

7 寝静まらない場合は

子供たちはテンションが高くなっているので、寝静まらない場合が多々あります。そんな時にはどこかの部屋を犠牲にして、怒鳴らないと仕方がない場合もあります。場合によっては騒いでいる首謀者を部屋から出して隔離しなければならない場合もあるでしょう(体罰にならない程度に)。1泊2日ぐらいの宿泊行事であれば、ある程度はやむを得ないかもしれませんが、人の迷惑にならない程度にすることが大事であることは、重々注意しておかなくてはなりません。

8 怒鳴ることも必要だが

短期間勝負なので、規律が乱れてきたときに怒鳴ることも必要かもしれません。しかし、怒鳴ってばかりはいけません。

怒鳴る(脅す)は三流?

子供にとっては怒鳴られに宿泊行事に参加したわけではないので、怒鳴るにしても1日目~2日目午前までです。後は、褒めることができるよう、上手に持っていかなければなりません。それには、上記した部屋の整理整頓がいいでしょう。整理整頓は宿泊行事でほめてあげることができるよい題材です。

9 相談するときは必ず円になって座る

班長からの伝達や、スタンツなど出し物の相談をする時等、子供たちで話し合わせるときは必ず円になって座って班長を議長として進めるように言っておきましょう。円にならないと、話し合いが進ます、それによってさらにトラブルやストレスが引き起こされます。

10 部屋で静かに過ごすために

待機時間やフリータイムで暇を持て余したときに、トラブルが起こることが多いです。静かに部屋で過ごすにはトランプでもするのが一番です。しかし、最近の子供はTVゲームをして遊ぶことが多く、トランプで遊ぶなどということがあまりないようです。「ウノ」ぐらいならルールも簡単なのですぐにできるようですが、「大富豪」となると知らない友達にルールを説明するのが難しいようで、うまくいきません。できれば、宿泊行事に出る前に学校で「大富豪大会」でもしておくといいでしょう。「大富豪」もローカルルールがいろいろあるので、一番シンプルなルールに統一しておけば、いつでも誰とでも短時間で手軽に遊べるので助かります。

11 マイナス発言をプラス発言に引っ張る

宿泊行事のプログラムの中には、キャンプファイヤーなど、盛り上がって欲しい場合もありますし、山登りなど我慢強く頑張ってほしい場合もあります。そんな時、盛り上がりに水を差すような言葉を吐く、頑張ることを否定するような「マイナス発言」が出てくると、宿泊行事全体に失敗感が漂ってしまいます。
「マイナス発言はやめてくださいね。宿泊行事では、頑張ったり我慢したりしなければいけないことがたくさんあります。また、盛り上がらないといけないこともたくさんあります。『つまらない』と思うのはその人の勝手ですが、それを口に出すと全体のムードが下がってしまいます。口に出さずに胸の中にしまって、『がんばれー』と応援し合えるようにしましょう。みんなの口からプラスの方向の発言が出るようになってほしいと思います。」
などと、十分に釘を刺しておく必要があります。宿泊行事全体がプラスのムードで包まれるように、スタッフ一丸となって前向きな演出を心がけましょう。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次