【大学生インタビュー】特集:教員を目指す私たちが、学習支援の経験で得たもの①

今日から連続4回で、教員を目指し、NPO法人Learning for Allで学習支援ボランティア教師として活躍していた方々の特集をお届けします。教員を目指す彼らが、塾講師でも家庭教師でもなく、学習支援ボランティア教師として活動するなかで得たものは何だったのでしょうか。「教員を目指すにあたって、今のうちに力をつけたい」と思っている方、必見です。

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1人目は、早稲田大学教育学部4年生の中村瑠美さんです。中村さんは千葉県の教員採用試験に合格しており、来年4月から教壇に立つ予定です。

【インタビュー】 

ーー中村さんが教員を目指したきっかけは何ですか?

中村:きっかけは、小学校の担任の先生との出会いです。その先生は失敗を恐れずチャレンジすることの大切さを教えててくれたり、自分でも気づいていなかった得意な分野を見出してくれたりと、その後の私の生き方に大きな影響を与えてくれました。

この経験から、人の成長を近くで見守り、支える教員の仕事に魅力を感じ、志すようになりました。

大学進学後は周りに教員志望者が少なかったこともあり、進路に迷った時期もありましたが、学習支援で子どもが成長する姿を目の当たりにし、教員への想いを新たにしました。

ーー学習支援ボランティア教師として学んだことは何ですか?

中村:次の2つのことは、私にとって大きな学びでした。

①理想状態を描くこと

Learning for Allの学習支援では、毎回事前に指導案を作成するのですが、そのなかに「子どもの理想状態」という欄があります。例えば朝の挨拶や演習問題の丸つけ、休憩時間に至るまで、指導のあらゆる場面で子どもが何を考え、どんな気持ちになり、どんな発言や表情をするか等、「こうなってほしい、こうあるべきだ」という姿を描きます。

子どもの理想状態が明確に描けていると、教師としてどのように支援していけばよいかを考えやすくなるのに加え、その理想状態が褒めたり期待値をかけて叱ったりする時の基準になります。

教育実習に行った際にも生徒の理想状態を意識しながら授業を設計していたところ、指導教諭の先生からもとてもよい心掛けだと言っていただきました。

②子どもの肯定的な意図をくみ取ること

子どものどんな行動にも、「〇〇をしたい、できるようになりたい」という肯定的な意図が隠されています。例えば演習時間に隣の友だちにちょっかいを出してしまう子がいた時、表面だけをみると、その子は集中力のない子に見えるかもしれません。

しかし、もしかしたら解いている問題のレベルが合っておらず、「もっと難しいことにチャレンジしたい」と思っているかもしれません。

あるいは、友だちにばかり構っている先生に対して、「もっと自分のことも見てほしい」というアピールをしているのかもしれません。

学習支援の研修や毎回の指導を通して、子どもたちの言動を表面的に解釈するのではなく、その奥に隠された感情や欲求、意図をくみ取る力が身についたと思います。

また、それぞれの子どもの肯定的な意図にそって、その後自分が取るべき行動が見えるようになりました。

ーー学習支援ボランティア教師を経験する前と後で変わったのはどんな点ですか?

中村:次の2つのことだと思っています。

①子ども目線に立つようになりました

「子ども目線」の姿勢が身に染みついたことが大きいと思っています。子どもたちを一般的な型にあてはめるのではなく、常に「目の前の子どもだったらどうか」を軸として考えるようになりました。

ロールプレイを通して、子どもになりきって気持ちを考えたり、問いかけによって本当の躓きがどこにあるのかを見極めたり、研修では子どもによって物事の捉え方が違うということを学んだりと、子どもを起点とした指導設計の方法をたくさん学ぶことができました。

「自分がよいと思う指導」と「その子どもにとってよい指導」は違います。学習支援に参加していなかったら、子ども目線を考えず、自分がわかりやすいと思う独りよがりの授業をしていたかもしれないと思うと、怖くなります。

②限界を決めてはいけないと気づきました

子どもたちは時として、こちらが想像した以上の輝きを見せてくれます。

私が担当した生徒に、不登校が続いて小学校段階から学習遅滞を抱えており、定期試験の点数はいつも1桁台だった中3の女の子がいます。

志望校合格のために嫌いな勉強を頑張って、初めて順位を上げることができた時、彼女が「勉強の力ってすごい、もっと頑張りたい」と口にしたのです。それ以来「ちょっと多いかな?」と思うような量の教材や宿題も、すべて取り組んでくるようになりました。

また、大きな学習遅滞を抱え、保護者の方からも褒められた経験が少ないため、自己肯定感が低かった中1の女の子は、初めはネガティブな発言ばかりしていましたが、途中から「私もやればできる!」と笑顔を見せてくれるようになりました。

他にもいろんな場面に出会うなかで、こちらが勝手に限界を決めて、子どもの可能性を伸ばすチャンスを逃してはいけないと強く感じるようになりました。

ーー教員採用試験に向けて、どんなことをしましたか?

中村:筆記試験対策は、まずは過去問を5年分くらい解いてみました。

自治体によって傾向が異なるため、自分が受験する自治体ではどの分野からの出題が多いのか、出題形式にはどのような傾向があるか等を分析・把握してから、必要なことを重点的に勉強しました。また、ノートに問題のコピーを貼って余白に解説や関連事項を書き込み、見返しやすくする等工夫しました。

また、 毎朝新聞を読み、教育関連の記事を切り取ってノートに貼るようにしていました。これは教育時事問題の対策になるだけでなく面接で話す材料としても役立ちました。

単なる試験対策としてだけではなく、これから自分が携わる分野についての知識を増やすという面においても重要な取り組みのひとつになったと思います。

面接対策は、実際に模擬面接をやってみることが必要です。私は主に大学の教員就職指導室で、現場経験のある先生方に面接練習をしていただきました。さらに、友だち同士でも日程を合わせて練習をしました。

話す内容についてはもちろん、態度や声の大きさ、癖など、自分ひとりでは気づけないことを指摘してもらえました。

また、他の人が面接練習をしているところを見るのも効果的です。よい意見を参考にしたり、自分だったらどうするかを考えたりすることで、より広い視野を得ることができたと思います。

ーー現在、中村さんはどのような教員を目指していますか?

中村:子どもの良いところだけに目を向けて満足するのではなく、厳しい現実とも向き合い、責任を持って共に歩んでいく教員になりたいと思っています。

今まで学習支援を通して出会った子どもたちの多くは、大きな学習遅滞を抱えていたり、家庭環境が複雑で経済的にも困難を抱えていたりしました。

私には子どもたちに出会った責任、そんな現状を知った責任があると思っています。どんな子どもたちも可能性を秘めていて、よりよく生きたいと思っているはずです。遠くから応援するだけでなく、伴走者となることが必要だと感じています。

教員は楽しいだけの職業ではないし、学校現場では簡単にいかないこともたくさんあると思います。正直不安も大きいです。

それでも、学習支援を通して学んだたくさんのことを胸に、他の先生方やご家庭、地域とも連携しながら、自分ができることに精いっぱい取り組んでいこうと思います。

次回も、NPO法人Learning For All でボランティアをしながら教師を目指している方のインタビューをお送りします!

特集:教員を目指す私たちが、学習支援の経験で得たもの②

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