【大学生インタビュー】特集:教員を目指す私たちが、学習支援の経験で得たもの②

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教員を目指し、NPO法人Learning for Allで学習支援ボランティア教師として活躍していた方々の特集をお届けする第2回目。教員を目指す彼らが、塾講師でも家庭教師でもなく、学習支援ボランティア教師として活動するなかで得たものは何だったのでしょうか。

*NPO法人Learning for Allについてはこちら
http://learningforall.or.jp

「教員を目指すにあたって、今のうちに力をつけたい」と思っている方、必見です。

2人目は、筑波大学大学院教育研究科修士2年の天久由理さんです。天久さんは、千葉県の中学校教員に内定しており、来年4月から教壇に立つ予定です。

【インタビュー】 

ーー天久さんが教員を目指したきっかけは何ですか?

天久:学部在学時に塾講師のアルバイトを始めたことをきっかけに、教員になりたいという気持ちが芽生えました。

しかし、自分の子どもたちへの接し方や授業方法になかなか自信が持てず悩んでいたところ、Learning for Allの研修が充実しているという噂を聞き、参加を決めました。

Learning for Allでは、研修や実践の場において学んだことが多くありましたが、何より、そこでの「教師として生徒の成長の過程に立ち会えた経験」がとても大きな決断のきっかけになったと思います。

私が担当した中学1年生の生徒は、定期テストの目標点数を聞いても「別に…」と答えるような子どもで、勉強に興味がないことを前面に押し出してくる彼と接することが正直ちょっときついと思ったこともありました。

それでも、少しずつ指導している内容が学校の勉強に追いつき、彼の中で変化が起こったように見えたのがとても印象的でした。

そんな彼がある日「建築家になりたい」という夢を打ち明けてくれたんです。そこで私の大学の工学部のパンフレットを彼に渡し、興味津々の彼と一緒に見ることができたのは、忘れられない思い出です。

こうした経験から、子どもの変容に立ち会える職に就きたいという気持ちがさらに強くなり、教員を志望するようになりました。

ーー学習支援ボランティア教師として学んだことは何ですか?

天久:たくさんあるのですが、特に大きかったのは、次のことです。

①子ども目線に立つことの大切さと難しさ

子どもと関わるなかで、「子どもの目線に立つ」ということがとても重要だと学びました。

例えば教材を作る時にも、子どもがどこで躓きそうかを考えながら作ることを教わりました。もちろん子どもは自分とは違う人なので、気持ちを100%理解することはできないし、よかれと思ってやったことが裏目に出てしまうこともあります。

ただ、だからこそ、やはり子ども目線を常に心がけることが、教師の姿勢として重要なことだと学びました。

②課題解決に向けた粘り強さ

困難を抱えた子どもたちの課題を解決するため、教師に必要なことの一つとして課題解決の方法を学ぶことができました。これは私にとって非常に大きな学びになりました。

それまでにない子どもたちの課題に直面し、狭い自分の視野だけでは「どうしてできないの?」と否定的な感情のみを持ってしまった時もありました。

でも、そんな時はまず「子ども目線」に立ち返り、課題解決に向けて課題の要員を一つひとつ考えていくことからスタートしました。

そして、教師、スタッフ、担当の子ども自身と試行錯誤しながら課題に向き合う経験をたくさん積むことができました。この課題解決に向けて粘り強く取り組む姿勢は、これからの教員生活にも活きると思っています。

ーー学習支援ボランティア教師を経験する前と後で変わったのはどんな点ですか?

天久:子どもに対しての接し方が変わったことと、自分一人でなんでもしようとしなくなり、周囲の人たちと協働することの大切さを学んだことです。

①子どもに対しての接し方が変わりました

学習支援ボランティア教師を始める前の自分は、「人に嫌われたくない」という気持ちがとても強かったように思います。そのために、「これを言ったら嫌われてしまうかもしれない」とつい遠慮してしまい、子どもに対して適切な行動がとれなかったこともありました。

しかし学習支援を通して子どもと深く関わる中で、「表面上のやり取りばかりしていてはだめだ」と感じ、子どもと本気で向きあう覚悟ができました。

それは、時に、私の思いをまっすぐ伝えることであったり、怖くても子どもの本音を聞くことであったり、子どもと一緒に考えたりすることにつながりました。

どれもボランティア教師を経験する前の自分にはなかった行動だと思っています。

②「人の力を借りる」ことができるようになりました

以前の私は、どこか人の力を借りることに消極的な面があり、自分の力だけでやり遂げることがベストだと思っていた節がありました。

LFAでの学習支援を通して、教室のスタッフや他の教師仲間たちに、自分では気づかない点をたくさん教えてもらったり、難しい課題を解決するために協力してもらったことが何度もありました。

そのような経験を重ねるうちに、「人の力を借りることで、自分だけでは成し遂げられないことも成し遂げられる」と思うようになりました。

ーー教員採用試験に向けては、どんなことをしましたか?

天久:それほど特別なことはしていないと思いますが、教師になりたいという思いが強かったので、対策は早めから計画的にやりました。

具体的には、筆記試験対策は受験する県の過去問を解き、大まかな傾向を把握してから市販の暗記用テキストを使って過去問の傾向に沿った範囲を重点的に勉強しました。専門科目(国語)に関しては、過去問を時間通りに解くことを繰り返しました。

面接対策では、まず、志望書(志願書)の内容をじっくりと考えながら、自分が教員を志望したきっかけやどのような教員をめざしているのかといったことを整理していきました。また、大学の同期と何度か面接練習・模擬授業練習を重ねました。

ーーこれから、どんな教員を目指していきたいですか?

天久:子どもの心の声に、常に耳を傾け、一緒に悩み寄り添える教師でいたいです。教師という立場に立つと、正直、見聞きすることがつらくなるような現実もあると思います。

また、難しい年頃にある中学生の子どもたちは、なかなか「先生」という立場の人に本音を話しづらい面もあると思います。これまでは「学生」だったからこそ子どもたちが率直に話してくれたことも、実際に教師になると同じようにはいかないことも出てくると思います。

ですので、まずは私自身が子どもたちに本音で向き合い、安心して悩みを相談してもらえる存在になりたいと思います。

ひとりでやれること、考えられることには限界がありますが、たくさんの人々を巻き込むことで一人では解決できない課題も解決できる可能性が広がります。

周りの人に悩みを共有するのは勇気のいることですが、子どもたちのよりよい未来のために、周囲の先生方の力をお借りする、巻き込める、そんな強さをもった教師を目指したいです。

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次回も、NPO法人Learning For All でボランティアをしながら教師を目指している方のインタビューをお送りします!

過去のインタビューはこちら
特集:教員を目指す私たちが、学習支援の経験で得たもの①

*NPO法人Learning for Allについてはこちら
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