【大学生インタビュー】特集:教員を目指す私たちが、学習支援の経験で得たもの③

教員を目指し、NPO法人Learning for Allで学習支援ボランティア教師として活躍していた方々の特集をお届けする第3回目。教員を目指す彼らが、塾講師でも家庭教師でもなく、学習支援ボランティア教師として活動するなかで得たものは何だったのでしょうか。

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「教員を目指すにあたって、今のうちに力をつけたい」と思っている方、必見です。

3人目は、学生時代に学習支援ボランティアを経験し、現在東京都の公立中学校で教員を勤めている 細田詠平さん です。

【インタビュー】 

ーー教員として4年目の今、細田さんが感じていることや大切にしていることはどんなことですか?

細田:まず最初に感じていることは、教師という職業は本当に「贅沢な」仕事だということです。

子どもの反応を直に見ることができる。どれだけ注いでも、それ以上のものが返ってくる。本当に素晴らしく、教師として充実した日々を送らせていただいています。

教師として大切にしていることはたくさんありますが、強いてあげると2つあります。

1つは、人の良いところをたくさん見つけることです。これは子どもに対してだけでなく、自分に対しても同様です。

自分の良いところをたくさん知っている先生、子どもの良いところをたくさん見つけられる先生が良い先生だと思っています。自分の良いところをたくさん知っていると、自分に自信を持つことができます。

自分に自信を持っている人は、相手にも自信を持たせてあげることができます。自己肯定感によって人の可能性は大きく広がるので、自分に自信を持ち、子どもに対してもたくさん自信を持ってもらいたいと思っています。

2つ目は、子どもたちに対して「ありがとう」と「ごめんなさい」をきちんと言うことです。

当たり前のことですが、完璧な人間はいませんし、完璧な教師はいません。だからこそ、「ありがとう」は当然のこととして、失敗してしまったらきちんと「ごめん」と言える教師でありたいと思っています。

子どもたちに対して虚勢を張ったり、自分を大きく見せようとするよりも、そうやって弱みを見せられて、正直にそれを認められる先生が子どもにも好かれると感じています。

よくない指導をしてしまった日、よくない言葉を発してしまった日は、夜に子どもの家に電話してでも謝るようにしています。

教師と子どもたちの関係の基本は、人間関係であり信頼関係です。ですので、子どもに対しても、その基本を大切にすることを心がけています

ーー学習支援ボランティア教師の経験が、教員となった今にどう活きていますか?

細田:「本気で人の成長を信じ、全力で向き合う」という経験が、何よりの武器になっています。教師は集団指導と言われますが、これは集団指導という名の30人一人ひとりとの個別のやりとりの集合です。

30人の子どもたちにとっては、先生は一人。個別指導と同じくらいに一人ひとりに時間を割くことはできないけれど、一人ひとりのことをきちんと見るようにしています

子どもたちも、そういう先生を見たときに「信用したい」「ついていきたい」と思ってくれます。

この、一人ひとりをきちんと見るという習慣は、まさに学習支援で徹底的に身につけた習慣です。Learning for Allの学習支援では、担当の子どものことを考えに考えて指導案を書き、準備をし、指導に臨みます。

一人の子どもにしっかりと向き合い、その反応を大切にしながら授業を進めた経験があるからこそ、教員となった今も30人一人ひとりの反応を感じとり、それを全体に還元しながら授業を進めることができています。

ーー学習支援ボランティア教師として学んだことは何ですか?

細田:教師になるために必要な心構えを多く学ぶことができましたが、特に次の3つは、今も大切にしていることです。

①「振り返り」をすること

Learning for Allの学習支援では、毎回2、3時間指導をした後、同じくらいの時間をかけて振り返りをしていました。これだけ時間をかけて細かく振り返りをすることで色んな気づきがあり、多くを学ぶことができました。

自分が何をしたいのか、相手にどうなってほしいのかが明確になる。そうすると、やりたいことがはっきりするので、効果的なアクションがとれます

また、指導時間中の自分の指導を見てフィードバックをくれるメンターがいましたが、その存在もとても大きかったです。

人に、できてない自分を見られるのは嫌ですが、Learning for Allには賞賛の文化というものがあるので、必ず良いところを褒めてもらえます。自分でも気づかない良いところをたくさんみつけて言ってもらえることは、大きな自信につながります。

自分のできていないところについても、指摘するだけでなく、どうしたらもっと良くなるかを一緒に考えてもらえるので、メンターは本当に有難い存在でした。

フィードバックや振り返りによって、着実に成長したという実感があります。

②「場の傾聴」をすること

細田:研修で、傾聴には3つあると教わったことが役に立っています。

1つめが「自分の声」を聞くこと。

2つめが「相手の声」を聞くこと。

3つめが「場の声」を聞くことです。

当初私は、1つめ、つまり自分の本当の気持ちに耳を傾けることは得意でしたが、他の2つは苦手でした。

しかし学習支援の活動を続けるなかで、この2つの重要性を身にしみて感じました。

自分の悩んでいることを傾聴してもらえて安心した経験から、自分ももっと「相手の声」を聞きたいと思うようになりました。また、場の空気が良いと安心して心を開いたコミュニケーションをとることができます。

自分の想いを互いにきちんと伝え合うことができますが、その一方で、空気が悪いと同じことをやっているように見えても表面的なやりとりに終わってしまい、全く違う結果になります。

このことから、「場の声」も意識するようになりました。これは人間関係の構築や教室運営の際にもとても大事なことです。

③「メッセージング(想いを伝えること)」

ボランティア教師や教室運営スタッフとして、子どもや他のボランティア教師と向き合っているなかで、誰しも他人から嫌われたくないという思いを強く持っているということがよく分かりました。

せっかく人間関係を築いたからこそ、「この子に嫌われたくない」「気まずい関係になりたくない」という意識が働き、自分の想いを押し込めてしまいがちです。しかし一方で、本当に相手に大きな変容・成長をもたらすためには、そうした上辺だけの付き合いではなく、心から思っていることを伝えることが必要だということも痛感しました

子どもに想いを伝えたこと、教師に想いを伝えたこと、たくさんの経験を積んだ結果、「自分が手を抜いたり嘘をついたりしていなければ、想いは絶対に伝わります。

多少怖くても、想いをきちんと相手に伝えることが相手に響くコミュニケーションの根源だ」と気づくことができました。

今後の展望を教えてください

細田:職員室、日本の公教育をもっと明るくしたいと思っています。ちょっと大それた目標で恐縮ですが。。。(汗)教教育の最前線で子どもと向き合っている教員の方々は、みんな本当に素晴らしく、一生懸命な方ばかりです。

公教育を外から見ていた時は、「公教育を変えたい!」と思っていましたが、現場に入った今思うことは、現場の先生方の多くは、今できることを最大限にやっていらっしゃるということです。もちろん、まだまだやるべきことはありますし努力の余地はあると思います。それでも「まあこの程度だろう」というような気持ちで仕事をされている方はまずいないと言ってよいでしょう。

それでも落ちこぼれてしまう子がいたり、様々な問題が生じてしまっているのは、制度の問題であったり社会的認識の問題であることも少なくはないと感じています。それに対しては、教師として歯がゆく感じることもあるので、なんとかしたいですね。

現場に入ってすぐの頃は、何もわからないままにとにかく色々やってみて、たくさん失敗もしましたが、今は一つひとつ、自分にでできることを積み重ねているところです。

最近やった取り組みのひとつに、学習計画表づくりがあります。

まず定期テストの3週間前から子どもたちに自分の目標やルール、やることリストを作ってもらい、次に自分の現在の生活パターンをグラフやパーセンテージを用いて分析させます。

これにより、子どもたちは自らいかに学習時間が不足しているか、学習時間が偏っているか、隙間時間が多いかに気づくことができます。そこで、自分で立てた目標ややることリストに合わせて生活パターンを改善し、日々の記録を書いてもらいます。

また、テスト後には振り返りシートややる気グラフを書いて自分の学習を振り返ってもらいます。この取り組みをした定期テストでは、9教科合計900点満点中、学年平均が100点あがりました。現在は、この学習計画表が他の学年にも浸透しています。

学校の先生は皆一生懸命ですが、ともすると、一人で頑張ることが非常に多く、素晴らしい取り組みが小さい範囲で収まってしまっていることもあります。

先生方がお互いに信頼関係を築くと、学年全体・学校全体でできることも広がります。学校内でも、もっと実践を共有したり、賞賛し合ったりする文化を広げたいと思っています。まずは自分のできるところから、少しずつそうしたポジティブな文化をつくっていきたいと思っています。

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次回、NPO法人Learning For All の職員の方のインタビューをお送りします!

過去のインタビューはこちら
特集:教員を目指す私たちが、学習支援の経験で得たもの①
特集:教員を目指す私たちが、学習支援の経験で得たもの②

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