1 はじめに
この記事は、2019年3月30日に広島市で開催された第10回問い立てラボ「主体的な学びを育む問いづくりセミナー」~問いをもつ喜び、問いから始まる学び場に~の様子を取材し、編集したものです。
イベント当日は、NPO法人ハテナソン共創ラボ理事長の佐藤賢一氏による、問いづくりのワークショップとセミナーが行われました。
第1回では、「ハテナソン」について佐藤氏が説明していたセミナー部分をご紹介します。
続きの記事はこちら↓
~第2回 ハテナソンを体験してみよう~
~第3回 ハテナソンの作り方~
2 ハテナソンとは
ハテナソン共創ラボでは、QFT(Question Formulation Technique)というアメリカで開発された質問づくりのメソッドを普及させることを1つのミッションにしています。
団体名のハテナソンというのは「ハテナ」と「マラソン」をつなげて作った新しい言葉で、
「ハテナをたくさん作るようなマラソン」という意味をこめています。
ハテナソンというのは、課題そのものを言語化する、つまり課題発見の営みとして位置付けることができると考えています。
課題がみんなにとって明確になると、次にそれをどう解決していけば良いかというアイデア探しや答え探しが始まります。その部分がアイデアをたくさん作るマラソン、つまりアイデアソンにあたります。上の公式でいえば電球の部分です。
そしてこの「課題」と「課題に対する解決策」を組み合わせると、行動が具体化します。それを実行するのがハッカソンです。ハッカソンという言葉は、最近では「世の中をより良くする」「ある現状を改善する」という意味で使われています。
学校教育の現場にこれらの営みをあてはめると、ハテナソンは「課題発見学習」あるいはオランダの研究者が提唱している「Question-driven Learning(質問駆動型学習)」に、アイデアソンやハッカソンは「PBL(問題解決型学習)」にあたるのではないかと考えています。
3 問いづくりとその前後
学習者に問いを立ててもらう前に、私がいつもお膳立てしておく事が2つあります。
1つ目は好奇心の喚起です。学習者に湧き上がるような「知りたい」という気持ちがなければ、いくら質問しやすい場が整っていたとしてもなかなかうまくいかないからです。
2つ目は知識の導入です。問いを立てると言っても、前提となる知識がないと立てようがないからです。
この2つをどう行うかということが、私にとっては問いづくり以上の課題だと思っています。
一方で、問いを作った後にそれをどのようにプロットしていけばいいのかということも大きな課題です。これは先ほどお話ししたアイデアソンの部分、つまり課題を解決するための学習のあり方として、生徒自身が作った問いをどのように掘り下げて次のステップに持っていくのか、というデザインの部分です。
この図では、左から右への時系列で先ほど説明した流れを表しています。
実際にこのような表を使うことで、1回の授業時間や取り組む期間などに関わらず質問駆動型の学び方を設計することができます。
私たちがハテナソンと表現しているのは、問いづくりとその前後の営みをまとめた部分のことです。QFTを使った問いづくりは、あくまでもハテナソンの一手法であると考えていただければと思います。
4 続きの記事
~第2回 ハテナソンを体験してみよう~
~第3回 ハテナソンの作り方~
5 プロフィール
佐藤賢一氏
京都産業大学総合生命科学部 生命システム学科 教授
専門分野:生命科学
6 編集後記
「ハテナソン+アイデアソン=ハッカソン」という考え方に目からウロコでした。実際のハテナソンの様子、さらにハテナソンの作り方も続きの記事でご紹介しておりますので、ぜひご覧ください。
(取材・編集:EDUPEDIA編集部 平原由羽)
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