光村「星の花が降るころに」を質問づくりで

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目次

1 概要

「質問づくり」の手法を使って、中学1年生の国語科において、「星の花が降るころに」の授業をしました。生徒が、自ら設定した問いに答えるために文章を読み込みながら、目標を達成することを目指しました。

2 指導者のねらい

この教材は「つながりの中で」という単元に属しています。
 目標は2つです。
①文章を、場面の展開や登場人物の描写などに着目して読み取る。(文章のつながりを読む)
②登場人物のものの見方や考え方について、自分の考えをもつ。(自分の考えとつなげる)

3 対象

 中学1年生

4 参考図書

質問づくりについては、以下の図書が参考になります。

5 内容(全4時間)

1時間目
 質問づくりの導入。
 意義の説明、4つのルールを示し、ルールについて検討、質問づくり……の流れ。質問の焦点は、「一生の友達」に関するもの。

2時間目
 本文の通読(範読)。
 穴埋め式のワークシートを使い、場面の展開を確認する。
(この時間で「場面の展開に着目して読む」の下地を作っている)

3時間目
 主人公の変化をおさえる。
 5つの質問を示し、それに対する答えを個人で考える→班で話し合う→全体で共有。

 質問の内容
⑴冒頭部で、「銀木犀」は「私」にとってどんな意味があるか。
(補助発問:ただの木?違うなら、どうして?)
⑵なぜ「銀木犀の花」が入った袋が「お守り」なのか。
(補助発問:お守りには、願いを込めるもの。この場面では、どんな願いが込められている?)
⑶「サッカーボールは縫い目が弱い。……」から得られる人間関係の教訓
⑷掃除のおばさんの話から得られる人間関係の教訓
⑸「花を捨てた」「木から出た」は、私がこれからどうすることを示しているか。

 5つの質問全てについて話し終わった班には、「おまけの話題」としてこれからどうなるか、などの話すと楽しいテーマを示しておいた。

 班での話し合いの様子を見ながら、進捗状況を確認。
 全班が全て発表すると時間がかかるので、こちらから「◯班は⑵を答えて」などと指名する。「違う意見が出た班はある?」と訊くことで、異なる見方を全体で共有できる。間違いがあったときも、そこで改めて正せる。

 最後に「象徴」の説明をして、銀木犀やサッカーボールが友情を象徴していることを伝える。
(この時間が、「登場人物の描写に着目して読み取る」と関連している)

4時間目

 質問づくりで選んだ3つの質問に、「成長した『私』が答えたらどう答えるか」を予想する。

 生徒たちは「一生の友達って何か」や「どうなれば一生の友達か」、「あなたは中学時代の友達は一生の友達ですか」のような質問を作ってくる。「成長した『私』」が答えるという設定のため、気恥ずかしい質問でも答えを考えやすく、文章を読み返しながら話をすることになる。
 話し合いの中で理由を問わせることで、考えが深まることを期待した。
 この時間が、「自分の考えとつなげる」時間となる。

6 内容(生徒の反応)

・質問づくりについては、おおむね好評であった。
 「質問の仕方を学べた」「閉じた質問と開いた質問がわかった」という学びの手応えを感じている振り返り、「質問について考えてみたい」「答えを知りたい」「次の授業が楽しみ」という意欲の高まりが表れている振り返りなどが見られた。中には、「たくさん質問を考えて疲れた」「何をしているのかよくわからなかった」という振り返りもあった。

・3時間目の学習は、有効であった。
 何気ない描写から人物の気持ちや考えを読み取れる、という手応えを感じている振り返りが複数あった。具体的な質問を挙げたため、そこに着目して考えやすかった。

・4時間目の学習も、文章に基づいて行われた。
 先行クラスでは3と4を逆で行ったのだが、これはあまりうまくいかなかった。3時間目の後に「質問の答えを考える」活動を持ってくることで、文章への理解が深まり、「ここにこう書いてあるから夏実と『私』は仲直りはしないはず」「するはず」といった議論が生まれていた。

7 内容(評価について)

3、4時間目のノートの記述から、評価することができる。
 また、単元末に読みの小テストやノートまとめを行い、定着度合いを測っている。

8 課題

・1時間目で示した質問の焦点が、生徒にとって少しイメージしにくいものであり、無理やり質問を出した結果、本当に幅広いものになった。もっと焦点化しても良かった。

・3時間目では、こちらから質問を示している。
 時間の短縮にはなったが、本来はその内容を、生徒自身に見つけさせる授業をしたい。

・4時間目の振り返りの内容を「この教材で学んだ『読むコツ』」などとし、そこで評価してもよかったかもしれない。

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