国語辞典の使い方指導 ~とりあえず、見つけ出せるようになる所まで

初期指導が難しい


国語辞典を引くのは大人であっても、結構難しいです。
Q1:「別途」「ヘッダ」「ベット」「ベーコン」「へつらう」「別便」「別当」を国語辞典で出てくる順番に並び替えなさい。

「ん?」と、一瞬戸惑いませんか。
エクセルだったら・・・とか、役所の決まりでは・・・とか、辞典によって違うのでは・・・とか、色々と迷うところがあります。これを完答させるのはかなり難しいです。

言語能力の獲得のツールとして手に取る機会を早く増やすことを目的としているのでしょうか、国語辞典については、3年生で習うことになっています。
並び方を教える際に、パワーポイントで授業用のスライド(下図のような感じです)を作ってみましたので、ご利用ください。

【パワーポイント】 国語辞典 並び順.pptx


ルールとして教えるべきことは、
【原則】
①濁点・半濁点をとって五十音順にさがす(ならんでいる) ②清音→濁音→半濁音の順に並んでいる ③長音は母音として考える ④拗音・発音は後になる ⑤カタカナは後になる。
【ひとつの言葉に、いくつかの意味がある】
単なる「山」であっても、「地形上の山」「盛り上がりとしての山」「進行する物事における頂点」の他、詳しい辞書であれば10以上の意味があります。
【終止形で掲載されている】
「食べた」は「食べる」で掲載。(3年生に終止形を理解させるのはたいへんです)

指導時間が確保しにくい


上記の様なルールを、3年生の子供が正確に理解するかというと、かなり難しいです。上記のルールを理解させた上で、Q1のような正確な順番を問う問題がテストに出たりしますが、正答率はあまりよくないです。
すべてを理解してから始める必要はないと思います。使っているうちにだんだん理解が進んでくるので、たくさんの場面で使わせることが必要だと思います。ルールを覚えていなくても、使っているうちに勘が冴えてきて素早く探せるようになるものです。
調べた言葉にどんどん付箋を貼っていくという取り組みが脚光を浴びたことがあります。学習の積み重ねが可視化されることによって子供たちの語彙力が大きく伸びるそうです。(深谷先生の実践が有名です。下記リンク先は、英語辞典の話ですが・・・ご参照ください)

英語でも辞書引き!英語学習の柱「語彙力」を楽しくつける(教育技術×EDUPEDIA スペシャル・インタビュー第23回 深谷圭助先生)

しかし、ずっと辞典を触らせる機会を担保できるのかと言うと、そうでもないのが実情です。やることが多すぎて「理想はわかるけど、そこまで国語辞典の利用の推進に拘ってはいられない」という声が聞こえてきそうです。
「(20人以上の)子供たちが確実にできているのか」どうかを「1人の教師が確実に確認する」ことは、かなり難しいミッションです。3年生の国語はかなりタイトな時数でこなさなければならず、大雑把に一斉指導の中で、
「はいはいー、みんな、できたかなー、そろそろ次にいくよー」
と、流すような形で授業を進めがちです。光村の指導書では2時間が国語辞典の指導に割り当てられますが、この時間で「確実」を求められても私は「それは無理だ」と断言します。

せめて、目的の言葉を探すことができるように


そこで、とりあえず、全員がそこそこ、目的の言葉を国語辞典から見つけ出せるようにするためには、

Q2:「たわし」「のはら」「いどう」「サイト」を調べなさい。

という程度の課題を確実にクリアできる能力をつけてあげなければなりません。これでも、けっこう時間がかかりますし、てこずります。それまでに、「絵」と「尾」を比べたり、「矢」と「山」と「屋根」を比べたり、「蚊」と「蛾」を比べたりして、「どの順序で出てくるのか」というルールを押さえないと、なかなか

隙間時間でいいので、何度も確認作業をしてあげてください。言語能力が高くない子供は習熟には至りません。学校・学級によりますが、ざっと25%の子供が「50音」の前後関係を考えるのが苦手だと思います。そして、10%の子供はかなり習熟が難しいです。だから、あやふやになったまま、「そろそろ次にいくよー」になってしまわないように、「指導を詰める」という作業をしないと本当に力をつけたことにはなりません。

一対多の状況(一人の教師対大勢の子供)で詰めるには、コスパを上げるしかありません。

2時間分の授業で一通り教えた後に、とても簡便な方法で確認をします。シンプルだけれど、コスパが高い方法です。

1.黒板に調べる字を書く・・・「たわし」「のはら」「いどう」「サイト」など。問題数や難易度は子供たちの習熟状況を見ながら調節する。

2.調べたら数え棒を挟ませる。・・・「単語を探して見つけること」が目的なので、単に単語を見つけさせるだけに留める。
※ 数え棒がすぐに用意できなければ付箋等の代用でいいと思います。仕方なく鉛筆を挟むのであれば、けが防止のため、先を内側にして挟ませましょう。



3.数え棒を挟んだ辞書を持ってこさせて、教師が確認する。(確認作業をスムーズに進めるために、問題数は3~5問程度)

4.全問正解するまで頑張らせる。全問正解であれば終わり、次の課題へ(本を読むとか、宿題をさせるとか)。

5.どうしても問題が解けない子供には「ミニ先生(早くできた子供)」にヒントを出させてサポートをする。

この程度であれば、隙間時間(朝の時間や休み時間や下校時、授業の余った時間)で詰めることができます。この取り組みを5回ほど繰り返したことで、とりあえず50音順を頼ってなんとか子供たちが分かっていないのに、教師側の都合によって指導書が示す2時間で終わってしまうより、ずっといいです。

同じ辞書を40冊学校で揃える


子供たちが自前の様々な辞書を教室に持ち込んで愛着を持って学習し、それぞれの違いにも関心を持つという状況は面白いと思います。しかし、ある程度の力をつけるまで、初期指導の間は同じ辞書を使うのがいいと思います。「〇〇ページを見てください」と、同じものを見ることで情報共有ができてこそ、一斉指導はり立ちます。


そこそこの予算は必要ですが、初期指導時のためにクラスの人数分(MAX40?)の同じ辞書を一斉に購入しておくことをお勧めします。

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