原稿用紙の使い方を教える ~GIGA端末も活用して

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 何をいつ教えるのか

学校現場では、何をいつ教えるのかがハッキリしていないことが多いです。作文指導も何だかあいまいで、原稿用紙の使い方のルールとそれを教えるタイミングがハッキリしません。「題名は2、3文字下げる」「会話文は行を変える」など、ひととおりのルールの中にも「絶対守らなければならない」というわけでもないものもあります。例えば、「名前と本文の間を1行空ける」「カギかっこが2行以上にわたった場合、2行目の一番上のますはひとマス空ける」等は、教師によってルールがまちです。「適宜、句読点で文章を区切る」ことは大切ですが、特に正解があるわけでもありません。
そして「ルールをいつまでに、徹底して守れるようにするのか」ということについて、共通認識もありません。文字を書くことがやっとという子供が少なからずいる1年生時にあれこれルールを教えるのは難しく、定着しにくいです。
私は、低学年の間に少しずつ教えて3年生の終わりぐらいまでには原稿用紙の使い方が身についているというぐらいのペースが妥当かなと思っています。そうしたロードマップが教師の中で共有されていないといつまでもグズグズとできない子供が存在します。
作文指導にはかなりの労力が必要です。昔は学年の終わりに文集を書かせるなど、作文指導に力を入れる学校・教師が多かったのですが、多忙化が進むにつれて、そうした実践を続けるのが難しくなってきています。そのせいか、卒業文集の時に急に「正しい原稿用紙の使い方」と「気持ちがあらわれて、まとまりのよい文の書き方」が求められるため、教師側の指導と添削が大変なことになってしまっています。

 作文指導には手間がかかる

「原稿用紙の使い方のルール」「文法や比喩表現・慣習などのテクニック」「論理的な文章を書く技量」「描写や心情の表現の充実・・・」
等々、つけてあげるべき力はたくさんあります。教科書でも各学年に応じて作文教材を掲載していますが、指導方法が確立されているわけでもありません。私もあれやこれやと作文指導をしてきましたが、(コスパよく)確実に成果が上がったと思えることは、なかなかありません。
作文を書く事が苦手・好きでない子供たちは、原稿用紙の使い方のルールが守られていないことを指摘されると、余計に作文を嫌いになってしまいます。教師によって赤ペンが入れられて真っ赤になった原稿用紙を返却されても、嬉しくないですね。教師側も、「主語を2回使っている」「句読点が打てていない」「そして、そして、そしてと、やたらに重複が多い」「平仮名ばかり」等々、文法上の問題等に加えて、原稿用紙の使い方のルールまでを添削しようとすると、たいへんな労力になってしまいます。文章の内容が充実していればまだしも、やる気のない「書けと言ったから書いただけ」といった心ない手抜きの文章を添削するのは心が折れる仕事です。

 文章を書くことと原稿用紙の使い方のルールを覚えることを分ける

そこで、数多の指導の内容の中から、原稿用紙の使い方のルールだけを抽出して、指導するようにします。3年生の後半になれば理解力が上がり、定着しやすくなると思います。一度しっかりと確認する機会を設けるのが良いと思います。どこかの段階で、ほぼ全員ができるようになるまで詰めて指導しておけば、その後の作文指導がスムーズに行われるようになると思います。「詰める」指導に関しては下記↓↓↓リンク先をご参照ください。

学力保障 ~違いを分からせること、詰めること

指導の要点はネット上にも蓄えられているので、利用するといいと思います。例えば下記↓↓↓のサイトの解説はとても分かりやすく書かれています。

原稿用紙の使い方(Z会)

 GIGA端末を利用して

本記事では、下記のファイルを提供します。

原稿用紙の使い方.zip

ファイルの中には下記の様な文章がこうせいされていない形でワードファイルの原稿用紙モードに貼り付けられています。

少しあげるよ 山本花子
学習園にうえていた野菜が大きくなりました。キュウリ・カボチャトマトができました。山田くんのトマトはかれていて、「毎日水をあげたのに。」とかなしい顔をしていました。田中くんは、「ぼくのを少しあげるよ。ぼくのトマトはけっこうたくさん育っているからね。」となぐさめていましたわたしも山田くんに少しあげようと思います。

こうした文章をGIGA端末を利用して校正させます。ワードには、原稿用紙機能があり、この一文に改行したり句読点を打ったりして構成させることで、ルールを理解させます。
※「Windows端末かつワード搭載」でない環境についてこの方法ができるかどうかは分かりません。

紙ベース(手書き)で同様の校正作業をさせることもできますが、時間がかかりますし、子供の負担感が大きいです。校正を失敗した子供に再度、校正させるとなると、たいへんな時間のロスが生じます。ワード上で校正させると、子供は楽です。教師も「一斉に」「何度も」問題を配布できるので楽です。
1回目は教師が正解を提示・解説しながら自己採点させ、2・3回目は教師がチェックする。4回目ぐらいには、手書き(原稿用紙+鉛筆)で校正させてもいいかもしれません。これぐらいのペースで進めると、かなりの確率で原稿用紙の使い方のルールを徹底することができます。手書きでやると時間がかかって繰り返してできない指導も、ワードを使うことによって短い時間で力をつけることができます。
前述したように、3年生ぐらいであれば、原稿用紙の使い方のルールを習得しやすいですし、パソコンで校正する能力も修得しやすいと思います。作文指導に限らず、どこかの時点でほぼ全員ができるように詰めることで、次に控えるワンランク上の指導が可能になってきます。ちょっとした取組みではありますが、きちんと詰めてゆくことはとっても大切な過程であると思います。

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