中学歴史〜市民革命〜(自主学習用教材「こころの窓」第37回)

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目次

1 はじめに

本記事は、東近江市の元中学校校長で現在は小学校講師を務める雁瀬徳彦さんが作成した「こころの窓」の内容を引用・加筆させていただいたものです。「こころの窓」は中学生向けの日本史教材で、不登校の生徒や、学校に登校できても教室に居られず別室で過ごす生徒が一人で勉強できるように作られています。雁瀬さんの取り組みに関しては、こちらの記事もご参照ください。

本記事では、第37回「市民革命」の内容について紹介しています(教材の本文は編集せずに掲載しております)。ほかの単元の記事をご覧になりたい方はこちら

2 「こころの窓」について

教材の一枚目を見ていただくと分かりますが、教材の文章を読むと歴史の流れがよく分かります。現在使用されている学校の教科書は写真も多くとても見やすいように思いますが、初めて歴史を学ぶ子どもたちにとって、とても難しい写真や資料です。また、教科書の文章には事実が羅列されているだけなので、歴史の事象がドラマティックであることや、当時の武将がどんな思いで戦いや政治を行っていたかという感動が伝わってきません。だから、不登校の子どもたちが学校の教科書だけを使って一人で勉強しようと思ってもなかなか続かないのです。

そこで、子どもたちが一人で楽しく歴史の勉強ができるようにプリントを作成しました。また、次のページには復習問題があります。ほかの教材だと、「794年に何がありましたか」という語句を答えさせる問題が主流です。このプリントには語句を答えさせる問題ではなく、「なぜ、都を奈良から京都に移したのですか」という問題が載っており、起こった事実に対して、その原因や結果について子どもたちに考えさせる問いになっています。

解説編

元気にしてますか。では、そろそろ勉強をはじめましょう。

今日のお題は「市民革命(しみんかくめい)」です。

今日から少しだけ、世界の歴史が大きく変わるので、ヨーロッパとアメリカの歴史を勉強します。

日本が戦国時代の頃、ヨーロッパでは、国王が自分勝手な政治をする絶対王政(ぜったいおうせい)の時代が続いていました。これは、国王が領土を広げるためにまわりの国と戦争をしたり、貴族がぜいたくな暮らしをするために、農民から高い税金を取り上げたりしました。そのために、農民たちの不満はだんだんと高まっていきました。

そんな中で、まずはじめにイギリスで革命(かくめい)が起こりました。この革命というのは、身分の低い農民たちが、国を支配している国王を相手に反乱を起こし、国王を倒して農民(市民ともいいます)たちの国をつくることです。1642年にイギリスの国王チャールズ1世の勝手な政治に不満を持った市民が、反乱を起こし国王を倒しました。そして、市民の話し合いで政治を行うことができる、議会中心の国をつくりました。これを清教徒革命(せいきょうとかくめい)といいます。さらに、1688年に再び次の国王が勝手な政治をしたので、市民が反乱を起こして国王を追放しました。これを名誉革命(めいよかくめい)といいます。

また、1775年には、イギリス市民が新しい国づくりを目指して、アメリカへ移住して生活をしはじめました。しかし、いつまでも高い税金を取られたので、本国であるイギリスからの独立を目指してアメリカ独立戦争が起こりました。そして、1776年には、「独立宣言(どくりつせんげん)」を発表して、イギリスから正式に独立し、アメリカ合衆国が誕生したのです。イギリスはアメリカの実家(じっか)なんですね。

さらに、この独立戦争の影響を受けたフランスでも、革命が起こります。この当時フランスにはルイ16世という国王が、自分勝手な政治をしていました。そこで、この政治に不満を持った市民たちが、1789年にフランス革命を起こしました。そして、革命は成功し「フランス人権宣言」が発表されました。この革命で、ルイ16世とその王妃マリーアントワネットは処刑され、フランスでも、市民の話し合いで政治を行う国が生まれたのです。右に二つの宣言がありますが、比べてみると自由とか平等という言葉が書かれていますね。これらは革命によって、市民がつかんだ権利なのですね。それから、この四つの革命と戦争をあわせて、市民革命といいます。

このフランス革命には少し続きがあり、革命は成功しますが、革命が広がるのを恐れた周りの国から、フランスは攻撃を受けることになるのです。しかし、そこにあの有名な英雄、ナポレオンが登場し、攻撃をはねのけてフランスは平和を取り戻すのです。

は~い。ではいつもの復習問題にチャレンジしてください!

復習問題

1.イギリスの清教徒革命とは、どのようなものかまとめてください。

1642年にイギリスの国王チャールズ1世の勝手な政治に不満を持って市民が反乱を起こし国王を倒しました。そして、市民の話し合いで政治を行うことができる、議会中心の国をつくりました。これを清教徒革命といいます。

2.アメリカの独立戦争とは、どのようなものかまとめてください。

1775年に、イギリス市民が新しい国づくりを目指して、アメリカへ移住して生活しはじめました。しかし、いつまでも高い税金を取られたので、本国であるイギリスからの独立を目指してアメリカ独立戦争が起こりました。そして、1776年には、「独立宣言」を発表して、イギリスから正式に独立し、アメリカ合衆国が誕生したのです。

3.フランスのフランス革命とは、どのようなものかまとめてください。

フランスにはルイ16世という国王が、自分勝手な政治をしていました。そこで、この政治に不満を持った市民たちが、1789年にフランス革命を起こしました。そして、革命は成功し「フランス人権宣言」が発表されました。

3 ダウンロードはこちらから

こころの窓 第37回「市民革命」

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4 おわりに

不登校の子どもたちにとって一番大切なことは、何が何でも学校に登校させることではなく、家であろうが別室であろうが自立の力をつけてあげることだと考えます。誰かに言われて取り組む学習を重ねるのではなく、自分で考えて自分で学習できる力をつけることが大切です。その上で、学力をつけていくことが「生きる力」につながっていくと思います。

この「こころの窓」は、一人で勉強するために作ったプリントです。閉ざした『こころの窓』を開けて、社会に出て行くための勉強をがんばってほしいと考えてこの題名をつけました。

不登校に悩む子ども達の力になることを祈っております。

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