中学地理〜東北地方の農業と漁業〜(自主学習用教材「こころの窓」第59回)

0
目次

1 はじめに

本記事は、東近江市の元中学校校長で現在は小学校講師を務める雁瀬徳彦さんが作成した「こころの窓」の内容を引用・加筆させていただいたものです。「こころの窓」は中学生向けの地理教材で、不登校の生徒や、学校に登校できても教室に居られず別室で過ごす生徒が一人で勉強できるように作られています。雁瀬さんの取り組みに関しては、こちらの記事もご参照ください。

本記事では、第59回「東北地方の農業と漁業」の内容について紹介しています(教材の本文は編集せずに掲載しております)。ほかの単元の記事をご覧になりたい方はこちら

2 「こころの窓」について

教材の一枚目を見ていただくと分かりますが、教材の文章を読むと歴史の流れがよく分かります。現在使用されている学校の教科書は写真も多くとても見やすいように思いますが、初めて歴史を学ぶ子どもたちにとって、とても難しい写真や資料です。また、教科書の文章には事実が羅列されているだけなので、歴史の事象がドラマティックであることや、当時の武将がどんな思いで戦いや政治を行っていたかという感動が伝わってきません。だから、不登校の子どもたちが学校の教科書だけを使って一人で勉強しようと思ってもなかなか続かないのです。

そこで、子どもたちが一人で楽しく歴史の勉強ができるようにプリントを作成しました。また、次のページには復習問題があります。ほかの教材だと、「794年に何がありましたか」という語句を答えさせる問題が主流です。このプリントには語句を答えさせる問題ではなく、「なぜ、都を奈良から京都に移したのですか」という問題が載っており、起こった事実に対して、その原因や結果について子どもたちに考えさせる問いになっています。

解説編

こんにちは。今日もこころの窓を開けてくれてありがとう。では一緒に勉強しましょう。

今日のお題は「東北地方の農業と漁業」です。

東北地方は昔から米作りが盛んに行われてきました。しかし、太平洋側では夏に「やませ」という冷たい風が吹くので、長い間冷害(れいがい・・・夏に気温が上がらず米がとれない被害)に悩まされてきました。そこで、長年、米の品種改良が行われて、宮城県産の「ひとめぼれ」など冷害に強い米が栽培できるようになったのです。

しかし、1970年代になると日本で米をあまり食べなくなったので、政府による減反政策(げんたんせいさく・・・米の生産を制限する政策)がはじまりました。そこで、今度は、冷害に強いだけではなく、おいしい米作りが研究され、秋田県産の「あきたこまち」などに代表される、銘柄米(めいがらまい)といわれる、よりおいしいブランド米が作られるようになったのです。東北地方の米作りは、何度も何度も苦しい時代を乗り越え、工夫と研究を重ねてきたのですね。

また、東北地方は昔から果物栽培もさかんです。下のグラフを見てください。たとえば、青森のりんごは日本の60%を生産していることが分かります。さくらんぼは山形県で80%、桃は福島県で22%、西洋なしは山形県で66%も生産しているのです。話は少し変わりますが、私も何回か直接、青森から津軽のリンゴを送っていただいたことがありますが、びっくりするくらい甘くておいしかったことを覚えています。

最後に東北地方の漁業について紹介します。以前にもお話ししましたが、東北地方の三陸(さんりく)海岸は、北から流れてくる寒流の千島海流(親潮・・・おやしお)と南から流れてくる暖流の日本海流(黒潮・・・くろしお)が混ざり合い潮目(しおめ)があります。ここには、寒流や暖流に乗って、さんまやかつおなどの魚がたくさんやってきます。さらに、三陸海岸は入り江が入り組んだリアス式海岸なので、良い漁港に恵まれたことも漁業がさかんに行われる大きな理由です。

また、入り江が入り組んでいるので波が静かなために、ここではかきやわかめなどの養殖業もさかんに行われています。そして、漁港のまわりには、たくさんの魚を缶詰やかまぼこなどの食品に加工する工場がたくさん集まっているのです。三陸海岸は、東日本大震災で大きな被害を受けましたが、少しずつ復興されはじめ、新しくつくられた美しい港がもどってきています。

お疲れー!では復習問題に進んでください。

復習問題

1.東北の米作りは、「やませ」や減反政策にどのように対応してきたか、その取り組みをまとめてください。

東北地方は昔から米作りが盛んに行われてきました。しかし、太平洋側では夏に「やませ」という冷たい風が吹くので、長い間冷害に悩まされてきました。そこで、長年、米の品種改良が行われて、宮城県産の「ひとめぼれ」など冷害に強い米が栽培できるようになったのです。しかし、1970年代になると日本で米をあまり食べなくなったので、政府による減反政策がはじまりました。そこで、今度は、冷害に強いだけではなく、おいしい米作りが研究され、秋田県産の「あきたこまち」などに代表される、銘柄米といわれる、よりおいしいブランド米が作られるようになったのです。

2.東北地方の果物栽培について、紹介してください。

東北地方は昔から果物栽培もさかんです。たとえば、青森のリンゴは日本の60%を生産しています。さくらんぼは山形県で80%、桃は福島県で22%、西洋なしは山形県で66%も生産しているのです。

3.東北地方の漁業についてまとめてください。

東北地方の三陸海岸は、寒流と暖流が混ざりあう潮目があります。ここには、さんまやかつおなどの魚がたくさんやってきます。また、入り江が入り組んでいるので波が静かな港が多く、かきやわかめなどの養殖業もさかんに行われています。そして、漁港のまわりには、たくさんの魚を缶詰やかまぼこなどの食品に加工する工場がたくさん集まっているのです。

3 ダウンロードはこちらから

こころの窓 第59回「東北地方の農業と漁業」

ほかの単元の記事もご覧になりたい方はこちら

4 おわりに

不登校の子どもたちにとって一番大切なことは、何が何でも学校に登校させることではなく、家であろうが別室であろうが自立の力をつけてあげることだと考えます。誰かに言われて取り組む学習を重ねるのではなく、自分で考えて自分で学習できる力をつけることが大切です。その上で、学力をつけていくことが「生きる力」につながっていくと思います。

この「こころの窓」は、一人で勉強するために作ったプリントです。閉ざした『こころの窓』を開けて、社会に出て行くための勉強をがんばってほしいと考えてこの題名をつけました。

不登校に悩む子ども達の力になることを祈っております。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次