1 はじめに
本記事は、東近江市の元中学校校長で現在は小学校講師を務める雁瀬徳彦さんが作成した「こころの窓」の内容を引用・加筆させていただいたものです。「こころの窓」は中学生向けの地理教材で、不登校の生徒や、学校に登校できても教室に居られず別室で過ごす生徒が一人で勉強できるように作られています。雁瀬さんの取り組みに関しては、こちらの記事もご参照ください。
本記事では、第8回「アジアの自然」の内容について紹介しています(教材の本文は編集せずに掲載しております)。ほかの単元の記事をご覧になりたい方はこちら。
2 「こころの窓」について
教材の一枚目を見ていただくと分かりますが、教材の文章を読むと歴史の流れがよく分かります。現在使用されている学校の教科書は写真も多くとても見やすいように思いますが、初めて歴史を学ぶ子どもたちにとって、とても難しい写真や資料です。また、教科書の文章には事実が羅列されているだけなので、歴史の事象がドラマティックであることや、当時の武将がどんな思いで戦いや政治を行っていたかという感動が伝わってきません。だから、不登校の子どもたちが学校の教科書だけを使って一人で勉強しようと思ってもなかなか続かないのです。
そこで、子どもたちが一人で楽しく歴史の勉強ができるようにプリントを作成しました。また、次のページには復習問題があります。ほかの教材だと、「794年に何がありましたか」という語句を答えさせる問題が主流です。このプリントには語句を答えさせる問題ではなく、「なぜ、都を奈良から京都に移したのですか」という問題が載っており、起こった事実に対して、その原因や結果について子どもたちに考えさせる問いになっています。
解説編
今日の気分はどうですか。では、今日も一緒にがんばりましょう。
今日のお題は「アジアの自然」です。
下の地図を見てください。アジアを代表する自然と言えば、なんといっても㋐のヒマラヤ山脈が有名です。ここには世界一高い山であるエベレスト山をはじめ8000m以上の山々が連なっています。そのために、このあたりは「世界の屋根」と呼ばれているのですよ。
さらには、中国を流れる㋑の黄河(こうが)と㋒の長江(長江)がアジアを代表する大きな川です。
ところで、最近よくテレビに出てくる北朝鮮(きたちょうせん・・正式には朝鮮民主主義人民共和国といいます)という国を知っていますか。地図では赤色で表された国です。突然ミサイルを撃ったりアメリカと口ゲンカをしたりするので少し心配な国ですね。また、その下の大韓民国(だいかんみんこく・・・略して韓国)という国があります。日本に一番近い国です。音楽やいろいろな文化の交流がとても盛んで、これからもずっと仲良くしていきたい国ですね。
それから、地図を見ると大陸から吹く冬の風(寒い風)と、海から吹いてくる夏の風(暖かい風)と書いていますね。これを季節風(きせつふう)といいます。日本はこの風のおかげで四季(しき・・・春夏秋冬)があるのですよ。
また、アジアといっても広いので、いくつかに分かれています。たとえば日本や韓国や北朝鮮や中国があるところは東アジアといいます。そして、タイや、シンガポールやインドネシアの地域を東南アジアといいます。さらには、インドのあたりは南アジアといい、イランやサウジアラビアがあるところを西アジアといいます。このアジアには世界の半分以上の人々が住んでいるのです。
どうでしたか。では、いつものように復習問題にチャレンジしてください!
復習問題
1.ヒマラヤ山脈の特長をまとめてください。
このヒマラヤ山脈には、世界一高い山であるエベレスト山をはじめ、8000m以上の山々が連なっています。そのために、このあたりは「世界の屋根」と呼ばれているのです。
2.季節風について説明してください。
大陸から吹く冬の風(寒い風)と、海から吹いてくる夏の風(暖かい風)で、夏と冬で吹く方向が変わるこの風を季節風といいます。日本はこの風のおかげで四季(春夏秋冬)があるのです。
3.アジアを四つの地域に分けて説明してください。
日本や韓国や北朝鮮や中国があるところは東アジアといいます。そして、タイや、シンガポールやインドネシアの地域を東南アジアといいます。さらには、インドのあたりは南アジアといい、イランやサウジアラビアがあるところを西アジアといいます。また、このアジアには世界の半分以上の人々が住んでいるのです。
私たちの国である日本は、このアジアの東の端に位置しています。だから、お隣の韓国や中国とは長いお付き合いをさせていただいています。かつて、ヨーロッパ(イタリア)人のマルコポーロという人が、日本のことを「黄金の国ジパング」として、ヨーロッパに紹介をしてくれました。以来、世界中の人々がこの日本に憧れて、たくさんの人々がやってきたのですよ。
3 ダウンロードはこちらから
こころの窓 第8回「アジアの自然」
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4 おわりに
不登校の子どもたちにとって一番大切なことは、何が何でも学校に登校させることではなく、家であろうが別室であろうが自立の力をつけてあげることだと考えます。誰かに言われて取り組む学習を重ねるのではなく、自分で考えて自分で学習できる力をつけることが大切です。その上で、学力をつけていくことが「生きる力」につながっていくと思います。
この「こころの窓」は、一人で勉強するために作ったプリントです。閉ざした『こころの窓』を開けて、社会に出て行くための勉強をがんばってほしいと考えてこの題名をつけました。
不登校に悩む子ども達の力になることを祈っております。
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