中学地理〜EUのしくみと課題〜(自主学習用教材「こころの窓」第16回)

1 はじめに

本記事は、東近江市の元中学校校長で現在は小学校講師を務める雁瀬徳彦さんが作成した「こころの窓」の内容を引用・加筆させていただいたものです。「こころの窓」は中学生向けの地理教材で、不登校の生徒や、学校に登校できても教室に居られず別室で過ごす生徒が一人で勉強できるように作られています。雁瀬さんの取り組みに関しては、こちらの記事もご参照ください。

本記事では、第16回「EUのしくみと課題」の内容について紹介しています(教材の本文は編集せずに掲載しております)。ほかの単元の記事をご覧になりたい方はこちら

2 「こころの窓」について

教材の一枚目を見ていただくと分かりますが、教材の文章を読むと歴史の流れがよく分かります。現在使用されている学校の教科書は写真も多くとても見やすいように思いますが、初めて歴史を学ぶ子どもたちにとって、とても難しい写真や資料です。また、教科書の文章には事実が羅列されているだけなので、歴史の事象がドラマティックであることや、当時の武将がどんな思いで戦いや政治を行っていたかという感動が伝わってきません。だから、不登校の子どもたちが学校の教科書だけを使って一人で勉強しようと思ってもなかなか続かないのです。

そこで、子どもたちが一人で楽しく歴史の勉強ができるようにプリントを作成しました。また、次のページには復習問題があります。ほかの教材だと、「794年に何がありましたか」という語句を答えさせる問題が主流です。このプリントには語句を答えさせる問題ではなく、「なぜ、都を奈良から京都に移したのですか」という問題が載っており、起こった事実に対して、その原因や結果について子どもたちに考えさせる問いになっています。

解説編

今日も「こころの窓」を開けてくれてありがとう。

今日のお題は、「EUのしくみと課題」です。

今から100年以上も前は、世界の中心はイギリスやフランスなどのヨーロッパの国々だったのです。しかし、第二次世界大戦後はアメリカや日本が経済的に大きな力を持つようになり(お金持ちの国になった)、イギリスやフランスは世界の中心ではなくなっていったのです。そこで、ヨーロッパの国々は、アメリカや日本に対抗するためにEU(ヨーロッパ連合)というグループをつくったのです。

下のグラフはEUとアメリカ合衆国と日本を比較したものです。

これを見ると分かりますが、EUは人口ではアメリカを抜き、GDPもアメリカとほぼ同じまでに成長したのです。ちなみに、このGDPとは、国内総生産といい、その国内で生産されたすべてのものの総額を表した数字のことです。つまりGDPを見れば、その国や地域でどれだけのものを生産したかを知ることができ、お金持ちなのかそうでないのかが一目で分かるのです。

このEUの国々では、パスポートなしで国を行き来できるようになりました。また、今までは各国によって通貨(その国で使われているお金の単位)が違いました。たとえば、イギリスではポンド、フランスではフラン、ドイツではマルクというように、通貨が違ったのです。通貨が違うと、貿易をするときにとても不便でした。しかし、EUに加盟している国は、ユーロという共通の通貨に変えたのです。そうすることで、貿易がとても便利になったのです。

しかし、ここ何年か前からイギリスがこのEUを離脱(りだつ・・・組織から脱退すること)しようと考えはじめました。元々1993年につくられた頃のEUは、西ヨーロッパを中心にくられたために、お金持ちの国と貧しい国との差がほとんどなかったのです。しかし、2000年代に入ってソ連が崩壊すると、ソ連の指導を受けてきた東ヨーロッパの国々が独立してこのEUに加盟してきたのです。東ヨーロッパの国々は、まだまだ経済的に豊かではなかったので、西ヨーロッパのお金持ちの国と東ヨーロッパの国との貧富(ひんぷ)の差が大きくなりました。そして、東ヨーロッパの安い賃金で働く人々が、イギリスなどの国々に移り住んできたのです。そうすると、それまで高い賃金で働いてきたイギリスの人々の仕事がなくなっていったのです。だから、イギリスはEUを脱退しようとしているのですよ。

イギリスの考え方も分かりますが、東ヨーロッパの人たちも自分たちの国を豊かにしたいと考えているので、なかなか難しい問題だと思います。お互いに助け合いながら、すべてのヨーロッパの国々が豊かになるような方法を考えていくことが大切ですね。

は~い、お疲れ! では、復習問題に進んでください。

復習問題

1.なぜ、EUをつくったのか。その目的をまとめてください。

かつてはイギリスやフランスが大きな力を持っていたのです。しかし、第二次世界大戦後はアメリカや日本が経済的に大きな力を持つようになり、イギリスやフランスは世界の中心ではなくなっていったのです。そこで、イギリスやフランスをはじめとするヨーロッパの国々は、アメリカや日本に対抗するためにEU(ヨーロッパ連合)というグループをつくったのです。

2.GDPとは何ですか。説明してください

このGDPとは、国内総生産(こくないそうせいさん)といい、その国内で生産されたすべてのものの総額を表した数字のことです。つまりGDPを見れば、その国や地域でどれだけのものを生産したかを知ることができ、お金持ちなのかそうでないのかが一目で分かるのです。

3.イギリスがEUを離脱(りだつ・・・脱退すること)しようとしている理由をまとめてください。

元々1993年につくられた頃のEUは、西ヨーロッパを中心にくられたために、お金持ちの国と貧しい国との差がほとんどなかったのです。しかし、2000年代に入ってソ連が崩壊すると、ソ連の指導を受けてきた東ヨーロッパの国々が独立してこのEUに加盟してきたのです。東ヨーロッパの国々は、まだまだ経済的に豊かではなかったので、西ヨーロッパのお金持ちの国と東ヨーロッパの国との貧富の差が大きくなりました。そして、東ヨーロッパの安い賃金で働く人々が、イギリスなどの国々に移り住んできたのです。そうすると、それまで高い賃金で働いてきたイギリスの人々の仕事がなくなっていったのです。だから、イギリスはEUを脱退しようとしているのです。

3 ダウンロードはこちらから

こころの窓 第16回「EUのしくみと課題」

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4 おわりに

不登校の子どもたちにとって一番大切なことは、何が何でも学校に登校させることではなく、家であろうが別室であろうが自立の力をつけてあげることだと考えます。誰かに言われて取り組む学習を重ねるのではなく、自分で考えて自分で学習できる力をつけることが大切です。その上で、学力をつけていくことが「生きる力」につながっていくと思います。

この「こころの窓」は、一人で勉強するために作ったプリントです。閉ざした『こころの窓』を開けて、社会に出て行くための勉強をがんばってほしいと考えてこの題名をつけました。

不登校に悩む子ども達の力になることを祈っております。

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