中学地理〜アフリカ連合(AU)〜(自主学習用教材「こころの窓」第20回)

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目次

1 はじめに

本記事は、東近江市の元中学校校長で現在は小学校講師を務める雁瀬徳彦さんが作成した「こころの窓」の内容を引用・加筆させていただいたものです。「こころの窓」は中学生向けの地理教材で、不登校の生徒や、学校に登校できても教室に居られず別室で過ごす生徒が一人で勉強できるように作られています。雁瀬さんの取り組みに関しては、こちらの記事もご参照ください。

本記事では、第20回「アフリカ連合(AU)」の内容について紹介しています(教材の本文は編集せずに掲載しております)。ほかの単元の記事をご覧になりたい方はこちら

2 「こころの窓」について

教材の一枚目を見ていただくと分かりますが、教材の文章を読むと歴史の流れがよく分かります。現在使用されている学校の教科書は写真も多くとても見やすいように思いますが、初めて歴史を学ぶ子どもたちにとって、とても難しい写真や資料です。また、教科書の文章には事実が羅列されているだけなので、歴史の事象がドラマティックであることや、当時の武将がどんな思いで戦いや政治を行っていたかという感動が伝わってきません。だから、不登校の子どもたちが学校の教科書だけを使って一人で勉強しようと思ってもなかなか続かないのです。

そこで、子どもたちが一人で楽しく歴史の勉強ができるようにプリントを作成しました。また、次のページには復習問題があります。ほかの教材だと、「794年に何がありましたか」という語句を答えさせる問題が主流です。このプリントには語句を答えさせる問題ではなく、「なぜ、都を奈良から京都に移したのですか」という問題が載っており、起こった事実に対して、その原因や結果について子どもたちに考えさせる問いになっています。

解説編

こんにちは。

今日も「こころの窓」を開けてくれてありがとう。では、一緒に勉強を始めましょう。

今日のお題は「アフリカ連合(AU)」です。

長い間、ヨーロッパの植民地として発展が妨げられてきたアフリカですが、独立してからもアフリカの国々は、なかなか国を豊かにすることができませんでした。そこで、2002年(平成14年)にヨーロッパのEU(ヨーロッパ連合)をモデルにして、アフリカ連合(AU)を結成しました。このAUには、アフリカの55のすべての国が加盟しています。アフリカはたくさんの部族からできている国が多いので、部族間の争いや国同士の争いがたくさんありました。また、エイズをはじめとした、たくさんの病気も広がっていたのです。そうした争いや病気をアフリカ全体が協力して、なくしていくためにつくられたのです。そうして、国が豊かになるような取り組みをアフリカ全体で始めたのです。

しかし、AUが結成されても、まだまだたくさんの課題がアフリカにはあります。たとえば、人口の増加が止まりません。人口が増えるのに対して食料が足らないので、いわゆる食糧不足が続いているのです。また、農村から仕事を求めて都市に移り住む人たちが増え、安い給料で働く人たちが不衛生な家に住み、スラム化も進んでいるのです。

それからもう一つ、長い間、黒人の人たちを苦しめてきた政策(せいさく)があります。それが、南アフリカ共和国で行われてきた「アパルトヘイト政策(人種隔離政策・・じんしゅかくりせいさく)」です。これは、国の政策として黒人を差別してきたのです。人々が住むところも学校も駅もすべて黒人と白人を分けて生活させたのです。白人はぜいたくな暮らしや美しい学校で勉強させているのに、黒人には貧しい生活と環境の悪い学校や病院しか与えなかったのです。この政策は世界中から批判されましたが、なかなか改革することができませんでした。しかし、1994年に黒人のマンデラ大統領が就任すると、この政策を徹底的に廃止しました。現在でもまだ少し差別が残っているようですが、政策としてのアパルトヘイトはなくなったのです。

ここで、これからアフリカがもっと発展し、平和な国づくりをしていくために何が必要なのかを考えてみます。これは私の意見ですので皆さんも一緒に考えてみてください。まず人口の増加を抑える取り組みが大切です。そうすることで、みんなに食べ物が行き渡り食糧不足がなくなります。次に、学校を建てて将来を担っていく子ども達に、しっかりと学力をつけることです。勉強をした賢い子ども達は、自分の国を豊かにするために必ず働いてくれます。そして、病院や医療機関を充実させて、アフリカに広がるたくさんの病気を減らすことです。こうした取り組みをしていくためには、当分の間はアメリカや日本やヨーロッパの豊かな国からの援助をしっかり受けることが大切です。同じ国の中に極端なお金持ちの人と、極端に貧しい人たちがいっしょに住んでいる間は、国は豊かになることはないと思います。

誰もが、まずしっかりとご飯を食べることができ、安全で安心できる家に住み、暑さや寒さを防ぐことができる衣服を着ることができるようになれば、後は時間と共に国は豊かになっていくと思います。

今日の勉強はどうでしたか。では、復習問題に進んでください。

復習問題

1.アフリカ連合(AU)とはどんな組織ですか。説明してください。

このAUは、アフリカの55のすべての国が加盟しています。アフリカはたくさんの部族からできている国が多いので、部族間の争いや国同士の争いがたくさんありました。また、エイズをはじめとしたたくさんの病気も広がっていたのです。そうした争いや病気をアフリカ全体が協力してなくしていくためにつくられたのです。そうして、国が豊かになるような取り組みをアフリカ全体が取り組み始めたのです。

2.南アフリカ共和国のアパルトヘイトの政策と現在の様子についてまとめてください。

これは、国の政策として黒人を差別してきたのです。人々が住むところも学校も駅もすべて黒人と白人を分けて生活させたのです。白人はぜいたくな暮らしや美しい学校で勉強させているのに、黒人には貧しい生活と環境の悪い学校や病院しか与えなかったのです。この政策は世界中から批判されましたが、なかなか改革することができませんでした。しかし、1994年に黒人のマンデラ大統領が就任すると、この政策を徹底的に廃止しました。現在でもまだ少し差別が残っているようですが、政策としてのアパルトヘイトはなくなったのです。

3.アフリカがさらに発展していくためには、どんな取り組みが必要か自分の意見をまとめてください。

まず人口の増加を抑える取り組みが大切です。そうすることで、みんなに食べ物が行き渡り食糧不足がなくなります。次に、学校を建てて将来を担っていく子ども達に、しっかりと学力をつけることです。勉強をした賢い子ども達は、自分の国を豊かにするために必ず働いてくれます。そして、病院や医療機関を充実させて、アフリカに広がるたくさんの病気を減らすことです。こうした取り組みをしていくためには、当分の間はアメリカや日本やヨーロッパの豊かな国からの援助をしっかり受けることが大切です。

3 ダウンロードはこちらから

こころの窓 第20回「アフリカ連合(AU)」.docx

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4 おわりに

不登校の子どもたちにとって一番大切なことは、何が何でも学校に登校させることではなく、家であろうが別室であろうが自立の力をつけてあげることだと考えます。誰かに言われて取り組む学習を重ねるのではなく、自分で考えて自分で学習できる力をつけることが大切です。その上で、学力をつけていくことが「生きる力」につながっていくと思います。

この「こころの窓」は、一人で勉強するために作ったプリントです。閉ざした『こころの窓』を開けて、社会に出て行くための勉強をがんばってほしいと考えてこの題名をつけました。

不登校に悩む子ども達の力になることを祈っております。

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