1 はじめに
本記事は、東近江市の元中学校校長で現在は小学校講師を務める雁瀬徳彦さんが作成した「こころの窓」の内容を引用・加筆させていただいたものです。「こころの窓」は中学生向けの地理教材で、不登校の生徒や、学校に登校できても教室に居られず別室で過ごす生徒が一人で勉強できるように作られています。雁瀬さんの取り組みに関しては、こちらの記事もご参照ください。
本記事では、第24回「アメリカの文化とヒスパニック」の内容について紹介しています(教材の本文は編集せずに掲載しております)。ほかの単元の記事をご覧になりたい方はこちら。
2 「こころの窓」について
教材の一枚目を見ていただくと分かりますが、教材の文章を読むと歴史の流れがよく分かります。現在使用されている学校の教科書は写真も多くとても見やすいように思いますが、初めて歴史を学ぶ子どもたちにとって、とても難しい写真や資料です。また、教科書の文章には事実が羅列されているだけなので、歴史の事象がドラマティックであることや、当時の武将がどんな思いで戦いや政治を行っていたかという感動が伝わってきません。だから、不登校の子どもたちが学校の教科書だけを使って一人で勉強しようと思ってもなかなか続かないのです。
そこで、子どもたちが一人で楽しく歴史の勉強ができるようにプリントを作成しました。また、次のページには復習問題があります。ほかの教材だと、「794年に何がありましたか」という語句を答えさせる問題が主流です。このプリントには語句を答えさせる問題ではなく、「なぜ、都を奈良から京都に移したのですか」という問題が載っており、起こった事実に対して、その原因や結果について子どもたちに考えさせる問いになっています。
解説編
こんにちは。今日の気分はどうですか。では、今日も一緒にがんばりましょう。
今日のお題は「アメリカの文化とヒスパニック」です。
アメリカ大陸は、1492年にコロンブスが新大陸として発見したのです。コロンブスはインドへの航路を探すために探検に出たのですが、その途中に偶然このアメリカ大陸を発見したのです。だから、今でも当時の先住民をインディアン(インドの人)と呼ぶのです。こんな歴史からアメリカは始まります。
下の絵は、ニューヨークのマンハッタンと自由の女神です。アメリカ合衆国という国は、自由と夢を求めていろんな国から人々が集まり、世界の最先端の文化がたくさん生まれたのです。
たとえば、アメリカの自動車会社フォード社をつくったヘンリー・フォードは、ガソリンで動く車の開発に乗り出しました。何度も何度も失敗を重ねましたが、友人であったエジソンに「必ず成功するからがんばれ」と励まされ、とうとうガソリンで動く自動車を開発したのです。さらにそれを大量生産できる方法も開発し世界中に売り出したのです。
また、今では誰もが利用している、通信販売やインターネットショッピングがスタートしたのもアメリカなのです。
さらに、スポーツでは野球やアメリカンフットボールなどがテレビ中継され、世界中にその人気が広がったのもアメリカから始まりました。アメリカの野球といえば、アメリカ大リーグが有名ですね。日本の野球選手である野茂英雄(のもひでお)さんや、シアトルマリナーズで、首位打者や、安打のシーズン最多記録を出したイチローさんは、日本人の誇りですね。
その他、ウオルト・ディズニーがつくったディズニーランドは、アメリカで生まれ、日本、フランス、香港(ホンコン)、中国の5つの国に広がっていきました。
音楽の世界ではジャズがアメリカで生まれ、世界中に大流行していきました。
それから、みんなが大好きな、ハンバーガーなどのファーストフードも、アメリカから世界に広がっていったのです。とにかく、世界をリードしてきたのがアメリカ合衆国なのです。
話は変わりますが、現在、メキシコや中央アメリカからやってくるスペイン語を話す移民(移住してくる民族)をヒスパニックといいます。このヒスパニックといわれる人たちは、自分たちの国では仕事が少ないので、仕事を求めてアメリカへ移住し、安い賃金で農場や建設工場などで働いています。このヒスパニックといわれる人たちのなかには、野球などのプロスポーツ選手や政治の世界で、たくさん活躍されている人たちもいます。
お疲れ様。では復習問題に進みましょう!
復習問題
1.アメリカから始まって世界に広がったものを一つ選んでまとめてください。
アメリカの自動車会社フォード社をつくったヘンリー・フォードは、ガソリンで動く車の開発に乗り出しました。しかし、何度も失敗を重ねる中で、友人であったエジソンに「必ず成功するからがんばれ」と励まされ、とうとうガソリンで動く自動車を開発したのです。さらにそれを大量生産できる方法も開発し世界中に売り出したのです。
2.ヒスパニックについてまとめてください。
メキシコや中央アメリカからやってくるスペイン語を話す移民をヒスパニックといいます。このヒスパニックといわれる人たちは、自分たちの国では仕事が少ないので、仕事を求めてアメリカへ移住し、安い賃金で農場や建設工場などで働いています。現在、ヒスパニックの人たちのなかには、野球などのプロスポーツ選手や政治の世界で、たくさん活躍されている人たちもいます。
3.アメリカへ旅行に行くなら、どんなところに観光してみたいか、調べて紹介してください。
自分が観光したいところを選んで、調べてまとめてください。
- <ちなみに私は>
- ニューヨークのマンハッタンと自由の女神像やセントラルパーク、ブロードウェイでミュウジカルを見る。五大湖、フロリダのマイアミビーチ、グランドキャニオン、サンフランシスコのゴールデンブリッジ(金門橋)、ロサンゼルスのディズニーランドなどなどに行きたいです。
3 ダウンロードはこちらから
こころの窓 第24回「アメリカの文化とヒスパニック」
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4 おわりに
不登校の子どもたちにとって一番大切なことは、何が何でも学校に登校させることではなく、家であろうが別室であろうが自立の力をつけてあげることだと考えます。誰かに言われて取り組む学習を重ねるのではなく、自分で考えて自分で学習できる力をつけることが大切です。その上で、学力をつけていくことが「生きる力」につながっていくと思います。
この「こころの窓」は、一人で勉強するために作ったプリントです。閉ざした『こころの窓』を開けて、社会に出て行くための勉強をがんばってほしいと考えてこの題名をつけました。
不登校に悩む子ども達の力になることを祈っております。
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