中学地理〜日本の自然災害〜(自主学習用教材「こころの窓」第33回)

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目次

1 はじめに

本記事は、東近江市の元中学校校長で現在は小学校講師を務める雁瀬徳彦さんが作成した「こころの窓」の内容を引用・加筆させていただいたものです。「こころの窓」は中学生向けの地理教材で、不登校の生徒や、学校に登校できても教室に居られず別室で過ごす生徒が一人で勉強できるように作られています。雁瀬さんの取り組みに関しては、こちらの記事もご参照ください。

本記事では、第33回「日本の自然災害」の内容について紹介しています(教材の本文は編集せずに掲載しております)。ほかの単元の記事をご覧になりたい方はこちら

2 「こころの窓」について

教材の一枚目を見ていただくと分かりますが、教材の文章を読むと歴史の流れがよく分かります。現在使用されている学校の教科書は写真も多くとても見やすいように思いますが、初めて歴史を学ぶ子どもたちにとって、とても難しい写真や資料です。また、教科書の文章には事実が羅列されているだけなので、歴史の事象がドラマティックであることや、当時の武将がどんな思いで戦いや政治を行っていたかという感動が伝わってきません。だから、不登校の子どもたちが学校の教科書だけを使って一人で勉強しようと思ってもなかなか続かないのです。

そこで、子どもたちが一人で楽しく歴史の勉強ができるようにプリントを作成しました。また、次のページには復習問題があります。ほかの教材だと、「794年に何がありましたか」という語句を答えさせる問題が主流です。このプリントには語句を答えさせる問題ではなく、「なぜ、都を奈良から京都に移したのですか」という問題が載っており、起こった事実に対して、その原因や結果について子どもたちに考えさせる問いになっています。

解説編

こんにちは。今日も一緒に勉強しましょう。

今日のお題は「日本の自然災害」です。

日本には昔から怖いものをたとえるときに「地震、雷、火事、オヤジ」という言葉があります。地震や雷は昔から恐れられてきた自然現象ですが、昔はオヤジ(父親)の存在も、ものすごく怖かったんですね。でも、今はだいぶちがいますね。

ところで、今日は日本の災害について勉強します。自然の災害の中で最も恐ろしいのはやっぱり地震ですね。かつて大正の時代には関東大震災で、ものすごい被害を出した歴史があります。最近では、1995(平成7)年1月17日に起こった阪神淡路大震災や、2011(平成23)年3月11日に起こった東日本大震災があります。地震はその規模によって、ものすごく広い地域まで被害が広がります。また、地震の後には津波(つなみ)や崖崩れ(がけくずれ)や土石流(どせきりゅう)や火事といった次の災害も引き起こすから、とても恐ろしい自然災害です。

また、日本は火山が多いので、この火山の噴火による災害もあります。その他には台風の被害が大きいですね。毎年南の方から、何十回も台風がやってきます。台風によって家が壊れたり、高潮(たかしお)の被害が出ます。またこの台風で一番怖いのは、豪雨(ものすごい大雨)をもたらし、洪水(こうずい)や土石流で、たくさんの家が浸水したり流されたりすることですネ。

こうした自然の災害を何度も経験してきた日本では、防災の対策も進んでいます。国や都道府県や市町村が、被害を受けた人々を救助することを公助(こうじょ)といいます。この公助は今までから行われてきました。そして、自分たちが自分たちの生活を守るために防災することを自助(じじょ)といい、この考え方も広まっています。さらに、日本のすばらしいところは、住民同士が協力して助け合ったりする共助(きょうじょ)の考えが当たり前のように行われることです。つまり、ボランティア活動がとても充実しているのです。東日本大震災の時に日本中からたくさんのボランティアが集まって、助け合っている様子がテレビで流れたときは、世界中の人々が感動をしたのです。そう考えると日本はすばらしい国ですね。

それから、今までの自然災害から、ほとんどの都道府県や市町村では、いろいろな被害を予想したハザードマップがつくられています。たとえば、海の近くであれば津波や高波がどの地域まで被害が出る可能性があるとか、川の近くであれば洪水の被害がどのあたりまで予想されるのかなどが描かれた地図がつくられているのです。このハザードマップを元にいろいろな防災の設備が整えられます。また、新しく家を建てるときにも利用されています。これから家を建てようと考えている人に私のささやかなアドバイスですが、地震に強い家を建てることが大切です。鉄骨で建てるのが一番強いですが、木造でもいろいろな工夫がされ、地震に強い家を造ることができます。また、津波や洪水や土石流の心配がないかをハザードマップで調べることも大事ですよ。 建設会社の人に相談するといいと思います。ちなみに、もし私が次に家を建てるとしたら、平屋(ひらや・・・一階建ての家)がいいなと思っています。

お疲れ様でした。ではまた、復習問題に進んでください。

復習問題

1.地震や台風などの自然災害から二つ選んで、その災害についてまとめてください。

<地震>
自然の災害の中で最も恐ろしいのはやっぱり地震です。かつて大正の時代には関東大震災でものすごい被害を出した歴史があります。最近では、1995(平成7)年1月17日に起こった阪神淡路大震災や、2011(平成23)年3月11日に起こった東日本大震災があります。地震はその規模によって、ものすごく広い地域まで被害が広がります。また、地震の後には津波や崖崩れや土石流や火事といった次の災害も引き起こすからとても恐ろしい自然災害です。
<台風>
毎年南の方から、何十回も台風がやってきます。この台風によって家が壊れたり、高潮の被害が出ます。またこの台風で一番怖いのは、台風が豪雨をもたらし、洪水や土石流でたくさんの家が浸水したり流されたりすることです。

2.自然災害に備えるためにはどんなことができるか、あなたの考えをまとめてください。

<自分の家や住んでいるところで、災害にどんな備えができるのか、自分の考えてまとめてみてください。>

3 ダウンロードはこちらから

こころの窓 第33回「日本の自然災害」

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4 おわりに

不登校の子どもたちにとって一番大切なことは、何が何でも学校に登校させることではなく、家であろうが別室であろうが自立の力をつけてあげることだと考えます。誰かに言われて取り組む学習を重ねるのではなく、自分で考えて自分で学習できる力をつけることが大切です。その上で、学力をつけていくことが「生きる力」につながっていくと思います。

この「こころの窓」は、一人で勉強するために作ったプリントです。閉ざした『こころの窓』を開けて、社会に出て行くための勉強をがんばってほしいと考えてこの題名をつけました。

不登校に悩む子ども達の力になることを祈っております。

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