「すがたをかえる大豆」(光村図書3年国語)~板書例と授業の流れ 全時間

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 少し変則的

光村図書3年生国語教科書に掲載されている「すがたをかえる大豆」は、それまでに出てくるわかりやすい説明文「どうぶつの赤ちゃん」(1年)「どうぶつえんのじゅうい」(2年)「こまを楽しむ」(3年)等とは少し違って変則的です。左記の説明文は、1段落に1つの物(動物・こま)について説明をしていたのが、1段落で2つの食べ物について説明をしている段落があります。それだけでも、少し幼い読み手を混乱させます。

「すがたをかえる大豆」は、1つの段落で1つの食べ物を説明しているのではなく、1つの段落で1つの工夫(調理方法)を説明しているのです。今までとは違うこの構成について、子供がきちんと理解できるか、理解する必要があるのかというと、やや疑問が残ります。そうした構成の変化をああだこうだと考えるよりも、それぞれの調理の工夫について「ああ、そうか」と子供がなんとなく納得して面白いなと思ってくれれば十分かなと思います。

この話を子供たちと一緒に整理して、各段落で何が語られているのかが掴むことができればよしとすることにして、授業を進めました。食べ物の事なので身近であり、子供たちも興味を持って楽しい授業ができました。

この記事ではどのように板書をまとめながら授業を運んで行ったのかについて、記録しています。

俯瞰しながら読む

小学校の国語教科書は、挿絵に注目しながら読むとけっこう内容が頭に入ってきます。

説明文に限らず、物語文でも教科書の挿絵があると授業が華やぎます。この記事の最後には、実際に授業の流れを書き込ませたノートの様子を画像にて添付しておきます。
挿絵を中心にまとめてゆく方法は、下記リンク先をご参照ください。

国語のノートを絵を中心にしてまとめさせる | EDUPEDIA

挿絵には話に出てくるすべての豆料理が出てくるので、何回か読んだ後に、記憶力クイズとして、どんな料理が出てくるのかを子供たちに書かせました。教科書を閉じさせて、

「この話の中で、いろんな豆の料理が出たけれど、何種類ぐらい出たのかな。」
「全部書き出せる人はいるかな、いたらすごいな」

と、あおります。
まずこうして、登場する料理について整理することで、少し全体像が見えてきます。
9種類の料理が全部書けている子供が何人かいて、驚きました。「いり豆」「煮豆」「きな粉」「豆腐」「納豆」「味噌」「醤油」「もやし」「枝豆」。私はそういうクイズは苦手です。人によって見えているものは違うのですね・・・。

中には、「そのまま食べる」と発言する子供もいました。それが出てくれるととてもいいチャンスです。わざと受け入れて板書をします。そして、子供たちの中から「いやいや、そのまま食べるは料理にはいらないでしょう!」という意見が出てくるのを待ちます。

その意見が出てきたところで、「そのままは入れていいのかな、いけないのかな」と問いかけると、「そのままでは食べられないのでは」「食べられるよ」「硬いよ」「消化に悪いよ」「それは料理じゃないでしょ」「でもいったら食べられるよ」「それは料理だよ」「いっても同じ姿だよ」「題名が『すがたをかえる大豆』なんだから、姿を変えないのは入れない方がいいよ」「いっても姿は変わらないよ」などなど、いい意味で混乱します。

この辺りの混乱はもやっと感が残ります。調理方法(工夫)をあげながら、「どんな手を加えているか」がメインで書かれているというのに気づいて、すぐに明快に説明できる子供はそんなに多くありません。どうやらそのままでは「硬くて消化に悪いのでたべにくい」ということがぼんやりつかめればいいと思います。それが姿を変える(調理する)動機だからです。


9種類の料理が出そろった後で、A4にプリントした挿絵(写真)をカラーで配り、子供たちのノートに順番に貼らせました。確かに、そのままの大豆の絵(上図や下図)もありますが、教科書を確かめれば「食べにくい」と、書いています。

同時に今回は、全文をA4にプリントして、各段落と挿絵のセットを考えさせました。机上に絵と段落を対応させて並べ、さらに順番を考えて並べ替えさせた上でノートに貼らせます。こうした作業を経ながら、子供たちは少しずつ俯瞰してこの説明文を読むことができるようになってきています。まだ3年生なので、中には混乱して貼る場所や対応や順番が無茶苦茶になっている子供も1割程度いましたので、それはこちらの方で貼り直してあげます。


本文で「大豆はダイズという植物のたね」と説明しています。ちょっと3年生には理解しにくいです。「葉っぱや根を含めてダイズという植物なんだけれど、種の部分だけは漢字で大豆と書くのです」と、説明しましたが、腑に落ちているのかどうか・・・。ついでに、そもそも、なんで大豆が硬いのかというと、「種は硬いものが多く、それは動物に食べられても簡単に消化ができず、糞の中に混じって生き残るためです」と、余計なことも教えてしまいました。
大豆の「硬さ」に対する対処として、3段落以降がまとめられています。「硬くて食べにくく、消化に良くない」というのはとても大切なワードです。

どんな工夫をして、何に姿を変えるか

硬くて食べにくい。だから、どういう調理の工夫があるのかについてが、3~7段落に書かれています。
短いワードを使いたかったので、本文中にはない「変身」という言葉を使ってまとめていきました。

変身① いる→→→ いり豆 ・ 煮る→→→ 煮豆
変身② いった後に挽く→→→ きな粉
変身③ ひたして、すりつぶして、熱して、しぼって、にがりを加えて固める→→→ とうふ
変身④ 小さい生物の力を借りる→→→ 納豆・味噌・醤油
変身⑤ 取り入れる時期を工夫する→→→ もやし・枝豆

ということになります。ノート1ページに一つの変身が書かれるので、ノートをきれいにまとめる力がある子供にとっては、この説明文の構造をまずまず理解できたと思います。そうでない子供にとっては、ちょっと厳しいのかなとも思いました。

経験させたり、実演したり、動画を見せたり

単に説明文を読み取るだけではなく、農園で大豆を作って収穫もしました。
きな粉と豆腐については、実演をしてみました。炒った大豆をすり鉢でつぶすと、とてもいいきな粉の香りがして教室がざわつきました。豆腐に関しては豆乳になった時点までしか実演できなかったですが(土日をはさんで臭くなってしまった)、1人の子供が家で豆腐を完成させたと言っていました。
もやしも作ってみたかったのですが・・・。
できれば「畑の肉」を実証する「大豆ミート」も食べさせてあげたかったです。どこまでも時間があるわけではありません。豆腐やもやし、大豆ミート(危険説も多いです)についてはYOUTUBEに動画がありますのでできる過程を見せてあげることができます。


筆者が言いたかった事は?

最後に、

「この話の作者が言いたかったことは何でしょう」

と、子供たちに問いかけてみました。「一番言いたかったこと」にしてしまうと、私も分からないので、子供たちから何点か出てくればいいかと思って聞いてみました。

● 大豆はたくさんの姿に変わる
● 大豆を料理する工夫
● 大豆は素晴らしい食べ物だ
● 昔の人の知恵はすごい
● もっと大豆を食べてほしい
● 大豆はおいしくて栄養がある

などが、出てきました。「納豆はおいしい」とかの発言もありましたが、「ちょっとそれは一部分の話だね、全部納豆のことをかいているわけでもないから」と、やんわり退けました。

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