小学校低学年の係活動 指導ポイント

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「低学年の係活動ってどう指導すればいいんだろう?」
初めて小学校低学年の担任になった先生によくある疑問です。

また、高学年を担任することが多い先生の中には、
「高学年は自分たちで係活動を進めていたけれど……」
「低学年の時に子どもたちがどのように係活動に取り組んできたかを知らないのはいかがなものか?」
と、係活動の指導に疑問を感じることもありますよね?

そのような先生方のために、今回は小学校低学年の係活動の指導ポイントを学習指導要領に基づいて解説していきます。

係活動の目標は「子どもたちの自主的・実践的な力の育成」。
目標を達成するための具体的な方法を紹介します。
小学校低学年の担任の先生方はもちろんのこと、中・高学年の担任の先生方にも参考になる内容です。
最後まで読んでいただき、係活動の指導に生かしてください!

目次

小学校低学年の係活動とは?

まず、小学校の係活動の位置づけを確認しましょう。

係活動が位置づけられている特別活動の内容は、①学級活動②児童会活動③クラブ活動④学校行事の4つに大別されています。その中の①学級活動は、さらに「(1)学級や学校における生活づくりへの参画」「(2)日常の生活や学習への適応と自己の成長及び健康安全」「(3)一人一人のキャリア形成と自己実現」の3つに分けられ、係活動は「(1)学級や学校における生活づくりへの参画」に位置づけられる内容です。

係活動のねらい・内容は学習指導要領では以下のように記載されています。
(イ) 係活動 
 係活動は、学級の児童が学級内の仕事を分担処理し、児童の力で学級生活を楽しく豊かにすることをねらいとしている。したがって、当番活動と係活動の違いに留意し、教科に関する仕事や教師の仕事の一部を担うような係にならないようにすることが大切である。例えば学級新聞係や誕生日係、レクリエーション係など、学級生活を共に楽しく豊かにするために創意工夫しながら自主的、実践的に取り組むことができる活動を行うようにする。
(小学校学習指導要領「特別活動編」P71)

この文章から重要な箇所は、「児童の力で」「学級生活を楽しく豊かにする」「当番活動と係活動の違い」「創意工夫しながら、自主的、実践的に」という言葉です。
これらの言葉は係活動を充実させるための大きな柱になります。

小学校低学年の係活動 指導ポイント

学習指導要領には低学年における係活動の指導のめやすが示されています。

  • 入門期には、学級生活にとって必要な仕事を見付け、自分から進んで取り組めるようにする。
  • 当番的な活動から始め、少しずつ創意工夫できる係の活動を見付けられるようにする。
  • 少人数で構成された係で仲よく助け合って活動し、学級生活を楽しくすることができるようにする。

    (小学校学習指導要領「特別活動編」P78)

学習指導要領のめやすを基に、ここからは具体的な指導ポイントを解説していきます。

ポイント1:当番活動に近い活動からスタート

小学校低学年の係活動は、当番活動に近い形で始めることが推奨されています。
電気係、お花係、配り係などの中・高学年でいう当番活動は、子どもたちが自分の役割を理解しやすく、役割を果たす達成感を得られやすいです。
まずは、子どもたちが自分の役割を理解し、役割を果たす力を育てていきましょう。

そして、少しずつ当番活動と係活動の違いを明確に教え、分けていきましょう。

  • 当番活動…やるべき活動(仕事)。やらないと困る人が出てくる。
  • 係活動…みんなを楽しませる活動。自分たちの力で活動することが大切。

学期途中に当番活動と係活動を分けるのは、子どもたちが混乱する可能性があります。
学期始め(特に2学期始め)を目安に、当番活動と係活動を分けられるとよいでしょう。
2年生のスタート時には、子どもたちが当番活動と係活動をはっきりと区別して学級活動が始められるとよいです。

ポイント2:子どもたちの興味関心・個性を大切に

係活動は子どもたちが創意工夫しながら、自主的、実践的に活動することが重要です。

そのために、先生方は子どもたちの興味関心や個性を大切にして、係活動を指導していきましょう。
例えば、アニメキャラクターに興味のある子にはイラスト係やクイズ係、人を笑わせるのに長けている子はお笑い係を提案するなど、子どもたちの力を生かす指導をすると、係活動がより充実していきます。

小学校低学年の子どもたちは、自分たちで提案したり、決めたりする経験があまりないです。
ですから、最初は先生方から子どもたちに提案する形で係活動のアイディアを提供していきましょう。
ある程度の枠組み(ゴール)を先生方から示しておけば、係活動のねらいからは大きく外れることはありません。子どもたちが係活動の経験を積んできたら、子どもたちの興味関心・個性から発せられるアイディアを募る環境を作っていきましょう。

ポイント3:子どもたちが「みんなの役に立つ活動」を見つける期間を設ける

「みんなの役に立つ活動」を見つける期間(2週間ほど)を設ける方法もあります。

「みんなが楽しめそう」
「〇〇ををリードしてくれる係活動があったらいいな」
「みんなが困っていることを解決する係があってもいいな」
という視点を子どもたちに与え、学校生活の中で「みんなの役に立つ活動」を見つけていきましょう。

なかなか見つけられない場合は、他クラスの友達や上級生に聞く機会を設け、ヒントを得られるようにします。
兄弟姉妹や親に聞くのも有効です。
あくまでも子どもたちが主体的に「みんなの役に立つ活動」を見つけられるように指導していきましょう。

ポイント4:係活動を円滑に進める方法

低学年の子どもたちは「みんなを楽しませたい」「みんなの役に立ちたい」という係活動の強い思いがありながらも、やり方がわからずに挫折してしまうケースも見受けられます。

そのような時には、

  • やり方を示す
  • 適切なタイミングで、適切な助言

子どもたちはやり方がわかると安心して活動できます。
例えば、クイズ係にクイズの出し方を示します。
選択問題でクイズを出すやり方や、黒板などを使ってクイズを出すやり方などを教えると、活動が成功する可能性が高くなります。
子どもたちの主体性・自主性を意識しながらも、教えるべきことは丁寧に教えましょう。 

また係活動を指導していると、
「子どもたちの力で乗り越えられそうだな」
「このままでは確実に失敗するな」
という場面に遭遇します。
適切なタイミングで、適切な助言を心掛けたい場面です。

子どもたちの力で乗り越えられそうな時に、おせっかいな指導をしては、主体性や自主性を伸ばす成功体験を積めません。
反対に、確実に失敗する場面で適切な助言ができなければ失敗体験となり、子どもたちの活動の意欲を低下させてしまうことにもなりかねません。

このあたりの指導の塩梅(あんばい)はとても難しいです。

子どもたちの係活動に対する思いを大切にしつつ、主体性・自主性の芽を摘まない助言が、係活動を円滑に進める大きなポイントになります。

ポイント5:低学年で創意工夫を生む指導方法

係活動に限らず、低学年の指導は先生方が主導する場面が多くなります。
そのような中でも、子どもたちに創意工夫する力を身につけさせていきたいですね。

そのためには、先生方が創意工夫している活動を見つけ、価値づけすることが大切です。

「〇〇係は、みんなに楽しんでもらおうと、△△に気をつけて活動をしました。みんなを笑顔にしてくれましたね。」
このように、創意工夫している係活動を見つけて、評価していきましょう。

また子どもたちの記憶に残るように、創意工夫している場面を写真や短冊などで教室に掲示してもよいですね。
創意工夫をした場面を時おり子どもたちに思い出させながら、係活動がステップアップしていくように指導していきましょう。

ポイント6:最後まで責任をもって活動させ、子どもたちに自信を

子どもたちが企画した活動は最後までやり切れるように指導しましょう。

成功しても、失敗しても最後までやり切った達成感は子どもたちに自信を与えてくれます。
また、最後まで活動をすることで、子どもたちに責任感を学ばせることもできます。
アイディアをふり絞り、みんなを楽しませようと頑張る子どもたちの姿を先生方は積極的に褒めていきましょう。

中学年以降の係活動につなげる意識で

小学校低学年の係活動での学びは、中学年以降の係活動をより充実させる「学びの種」です。

高学年の担任をすることが多かった私は、
「低学年で係活動をていねいに指導してくださった先生方、ありがとうございます。おかげで、失敗を恐れずに、自分たちのアイディアを自主的・実践的に実現する力をさらに伸ばすことができます」
と、何度も思いました。

低学年担任の先生方は、中学年以降の係活動につなげる意識で「学びの種」をたくさん作ってほしいと思います。

執筆者プロフィール

マー

小学校教員を15年務めた後、フリーのWEBライターに転身。教員時代は安全主任、体育主任、生徒指導主任、学年主任を担当。現在は「物事のよさをより多くの人に」をモットーに教育系記事、金融系記事を主に執筆。趣味は野球観戦とランニングで、野球やマラソン・駅伝を応援するブログを運営している。

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