小学1年 算数 「おおきいかず」楽しく学ぶゲーム実践

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目次

本単元で身に着けたい資質・能力

本単元では、2桁や簡単な3桁の数について、10を単位として数を捉える力および、数の構成に着目して数の計算の仕方を考えることができる能力を養う。また、それらを数で表すことの良さに気づき、それらを日常生活や学習に生かそうとする態度を育む。

単元の評価基準

  • 知識・技能:120程度までの数を読み書きし、2桁の数は加法や減法の式に表すことができる。
  • 思考・判断・表現:簡単な場合の2桁の数の加減計算の仕方を考え、言葉やブロックなどで表現することができる
  • 主体的に取り組む態度:数による表現や加減計算できることの良さに気づき、それらを日常生活や学習に生かそうとする態度を育む。

本記事のねらい

本単元は、理解させるのが難しいのではなく、単調でつまらない授業になってしまうことに悩む教員が多いだろう。知識教授型の授業は我々教員にとって最も退屈な授業だからである。では、児童にとって退屈な授業とは何だろうか。それは、何のために学んでいるのかが分からない授業である。

本記事では、ゲーム実践を通して、児童の学ぶ意欲を刺激するアクティブラーニング型の授業を紹介する。児童の大まかな思考の流れは以下の通りである。

  1. 数値化の有用性に気付く。
  2. 数値化するための知識を学ぶ。
  3. たし算を学ぶ。
  4. ひき算を学ぶ。

ゲーム実践

1. 「おおきいかず」探しをしよう!(数値化の有用性に気付かせる)

以下の2つの宿題を出しておく。

  • 身近なもので、数が20までのものの写真を撮る。
  • 身近なもので、数ができるだけおおきい、もしくはおおいものの写真を撮る。

授業の導入では以下の画像を見せ、笑いをとるまでがお決まりだろう。

さて、まずは児童が撮ってきた写真のうち「できるだけ おおきいかず」を黒板に映し、どこで撮ってきた何の写真なのかを発表させ、誰が一番大きい数なのかを皆で考える。この活動は以下の3点を目的とする。

  1. 数の大小ではなく、考えて撮ってきたことを一人ひとり認める。
  2. 場面共有により、日々の生活は数が溢れていることを体感させる。
  3. 数えられないものを複数同時に比べることの難しさを体感させる。

その後、今度は「20までの数」を比較し、数字に表すことができれば一番大きい数が何かは簡単に比較できると気付かせる

2. 読み方の学習

読み方の学習は教科書を参考に行う。この際、「10より おおきい かず」の復習から入り、1桁の数の数え方や20までの数の数え方は入念に復習する。読み方の学習はどうしても時間がかかってしまうため、適宜児童の写真を活用して学びの目的を再確認させる

100まで数えられるようになったのち、クラス内で一番大きな数を見つけてきた児童の表彰式を行う。

100を越える数の写真を持ってきた児童がいるのであれば、もちろん100を越えて数える学習を行って良い。教科書を学ぶのではなく、教科書で学んでおり、児童の意欲がそこに向かっているのであれば、あとは時間との相談だけである。ただ、写真から読み取ることのできる数には限りがあるため、大きすぎる数を警戒する必要はあまりないだろう。

3. たし算での実践

(1)ゲーム実践にこだわる場合

とってきた2枚の写真の合計がおおきい人が勝ちとなるゲームを行う。優勝者が明らかである場合には、「優勝者の数を2枚なら越えることができるか。」「優勝者の数を、2枚であれば越える人がいるか。」等、盛り上がる工夫はした方が良い。

ここでの懸念は、繰り上がりが起こる場合が想定されることである。繰り上がりはとても難易度が高いため、本単元ではできる限り触れない方が良い。そのため、「優勝者は大変強力なため、それ以外の人たちにはボーナスポイントをあげます!」等理由を付け、1の位の数はすべて切り上げするなど、繰り上がりが起こらないよう調整することをお勧めする。

最後に、繰り上がりが起こる場合は2年生で学ぶことを伝え、学びのつながりを意識させる。

(2)繰り上がりを避けるお勧めの方法

数え方さえ乗り越えられれば演習の授業になるので、児童は退屈しない。繰り上がりの懸念を避けるためにも、児童が撮った写真をいくつか並べ、繰り上がりが起こるペアと起こらないペアに分ける活動に切り替えると良い。

その後、繰り上がりが起こるペアは2年生で学ぶことを伝え、繰り上がりが起こらないペアのみ学習対象とする。
たし算におけるゲーム性はないが、ここまでの流れを組みつつストレスなく学習を進められる。

4. ひき算での実践

ひき算では繰り下がりが出てくると大変なので、たし算同様の工夫が必要である

実践における注意事項

2枚目の写真にこだわらず、他の児童とペアで和や差を競わせる方法もある。しかし、楽しいはずのゲーム実践で、「●●のせいで負けた」「■■が勝ったのは、●●の力だ」等、不要な争いを生む可能性があるため、注意が必要である。

ゲーム実践で誰かと競わせるときには、不要な争いが起こらないかという意識を頭の片隅に置いておくと良い。

執筆者

まき先生

中学高校で数学を教えている。体系的に教えるためには算数から学びなおす必要があると感じ、算数の授業案についても学習をすすめている。
実践的かつつながりを意識した授業案の作成に努める。

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この記事を書いた人

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