小学1年 算数 「たしざんとひきざん」ディープラーニング

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目次

本単元で身に着けたい資質・能力

本単元では、文章における数量の関係を図に表し計算の意味を理解することで、加減計算を適切に活用できる能力を養う。また、それらを日常生活や学習に生かそうとする態度を育む。

単元の評価基準

  • 知識・技能:順序を表す数や種類の異なる数を含む加減の場面、大小関係を表す場面を加減の式に表すことができる。
  • 思考・判断・表現:順序を表す数や種類の異なる数を含む加減の場面、大小関係を表す場面を図や式に表すことができる。
  • 主体的に取り組む態度:日常におこる加減の場面を式や図で表すことの有用性に気づき、日常生活や学習に生かそうとする態度を育む。

単元の展開

本単元では、以下の4つのことができるようになれば良い。

  1. 「何番目」を「何人」等に変換し、加減計算に活用すること。
  2. 違う種類同士の数を加減計算すること。
  3. 「〇〇よりいくつおおい」「〇〇よりいくつすくない」を加減計算に活用すること。
  4. 題意に沿った視点で問題を理解し、適切に処理すること

問題の読み取りは中学生でも難しく、定期テストでの得点率は極端に低い。ここでは、上記1~3と4にわけて考えたい。

前半は、文章にかかれたキーワードをもとに場面を理解し、図やタイルでその場面を表現することで加減計算と結びつける。最終的には、図やタイルがなくてもキーワードを意識して式を立てられるようになることを目標にする本記事では、キーワード設定の仕方についてのみ言及する

後半は、1を加える必要があるものとその必要がないものとで比較し、図やタイルでその場面を表現することで適切に数えられるようにする。最終的には、「直観で解けるようになる」のではなく、「数え間違いが起こりやすい問題」と認識し、1を加えるか加えないかを確認する習慣を身に着けることを目標にする

【前半】文章題におけるキーワード設定の仕方

たし算とひき算におけるキーワード設定は人によって様々あるだろう。

  • たし算で想定されるワード
    あわせて、皆で、全部で、くると、のると、増えると、もらうと、買うと等
  • ひき算で想定されるワード
    帰ると、食べると、飛んでいくと、使うと、あげると、はらうと、おりると、とるとなど

これらはまとめると以下のキーワードにまとめられる。

たし算キーワード

  • 合併:あわせて
  • 添加:くわえて

ひき算キーワード

  • 求残:のこり
  • 求差:ちがい
  • 求補:(のこり)

問題のつくり方によっては、それらしいワードを量産したり、たし算ワードを用いてひき算の問題を作ったりできる。例えば
「バスていで 8人のってきました。バスには いま 15人のっています。はじめから バスに のっていたのは なん人だったでしょうか。 」
これは、「のってくる」というたし算ワードが入っているが、ひき算を活用する問題だ。どちらのワードも存在しない問題もある。つまり、単に設定したワード探しの力だけを身に着けるのは、限られた問題を解けるようにしているだけで、本質的な理解はできていないのだ。

本質的な理解を促すためには、文章から場面を想定し、それがどのキーワードに当てはまる(ニュアンスが近い)のかを考える力を養う必要がある。

【後半】図にかいて考えようでのディープラーニング

視点の違いを理解する

「この絵は学級委員が出席している児童の数を先生に報告するため、教室にいる児童の人数を数えています。どうやら児童の人数が合わなくて学級委員が困っているようなので、皆で助けてあげましょう。」といい、以下の画像を見せる。

学級委員が自分自身を数え忘れているのに気付くことができるだろう。今までの問題とは視点が違うこと(俯瞰的視点から当事者視点への転換)を伝え、その際数え忘れへの注意が必要だと最初に認識をさせる。当事者視点の場合、自らが視界に入っていないからこそ数え忘れが起こりやすいことを念押しする。児童には、「外の問題」「中の問題」等名前をつけて視点を伝えてあげると分かりやすいだろう。

算数の問題で再確認

  • 前から5人が立っていて、残りの3人は座っています。全部で何人いますか。
  • 自分の前には5人、後ろには3人います。全部で何人いますか。

高校生でもよくする間違い

俯瞰的に見つつ、1加えるかどうかを悩む定番問題がある。

1) 62以上83以下の数はいくつありますか。
誤:83-62=21
正:83-62+1=22

2) 9月3日から20日間旅行にいくと旅行の最終日は9月何日ですか。
誤:3+20=23なので9月23日
正:3+20-1=22なので9月22日

1) は先頭の62を含めるかどうか。2) は20日間の中に初日の9月3日が含まれているので、加えるべき日数は19日分である。

さらに発展すると、中央値(真ん中の値)の捉え方の話も出てくる。

3) 1から13とかかれたカードを1枚ずつ大きさ順に並べたとき、ちょうど真ん中にあるカードにかかれた数はいくつか。
誤:13÷2=6.5なので6番目と7番目の間
正:(13+1)÷2なので7番目

13÷2では0~13までの距離を半分にしてしまっているので、0~1の距離が含まれる。その結果、真ん中ではなく小さい方に寄ってしまう。1~13の真ん中が知りたければ、0~1の分を大きい方にも加え、0~14の間を探ることでつり合いをとる必要がある。

その数がどこまでの範囲を表しているのかを考えると、ここまで奥が深い。これらすべてを直感的に理解させることはとても難しい。だからこそ、適切な直感を身に着けさせるのではなく、間違えやすい問題であることを認識し、確かめる癖を身に着けさせることが大切だ

執筆者

まき先生

中学高校で数学を教えている。体系的に教えるためには算数から学びなおす必要があると感じ、算数の授業案についても学習をすすめている。
実践的かつつながりを意識した授業案の作成に努める。

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この記事を書いた人

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