本単元で身に付けたい資質・能力
本単元では、そろばんによる数の表し方について理解し、そろばんを用いた簡単な加減計算ができる能力を養う。また、計算の過程を振り返り、そろばんを活用した計算のよさに気付き、今後の日常生活や学習に活用しようとする態度を育む。
単元の評価基準
- 知識・技能:そろばんを用いた簡単な加減計算ができる。
- 思考・判断・表現:そろばんの仕組や十進位取り記数法(基本的な数の表し方)の仕組みに着目し、そろばんを用いた簡単な加減計算の仕方を説明することができる。
- 主体的に取り組む態度:そろばんを用いた考え方の利便性に気付き、日常生活や今後の学習に活用しようとする。
クイズ+最適ドリル「そろばん」授業案
授業の流れは以下の通り。
- そろばんの表し方クイズ
- 加減計算の最適ドリル演習
- 皆でチャレンジ!何級とれるかな?
単元としては短いが、単調な授業になってしまうので、ゲーム要素を取り入れて集中力を高める工夫をすると良い。
1. そろばんの表し方クイズ
(0) そろばんの表し方クイズの細かい流れ
ここでは以下の順で授業を進める。
1) 5~9を含まない数の表し方(小数まで)
a) 数とそろばんをセットにした画像をいくつか見せ、「表し方のルール」についてペアで考えさせる。
b) そろばんの画像のみを見せ、どんな数を表しているのかを答えさせる。

c) 指定した数をそろばんで表現させる。
2) 5~9を含む数の表し方(小数まで)
a) 数とそろばんをセットにした画像をいくつか見せ、「表し方のルール」についてペアで考えさせる。
b) そろばんの画像のみを見せ、どんな数を表しているのかを答えさせる。
c) 指定した数をそろばんで表現させる。
(1) 5~9を含まない数の表し方(小数まで)
a)のペアワークで確認したい「表し方のルール」は、以下の3点である。
- 定位点のある列が一の位を表す。
- そこから順に縦列が各位を表す。(小数も同様)
- 一珠を用いて各位の1~4を表せる。
ここまでで疑問に思うことがないかを児童に聞く。5~9の表し方についての質問を引き出したいが、特に質問がでなかった場合にはそのまま次に進む。
(2) 5~9を含む数の表し方(小数まで)
a)のペアワークにて、一珠の扱いを再度確認後、5~9の表し方(五珠の使い方)に注目して話し合わせる。そろばんの表し方で最も難しいのが五珠の扱いなので、そこだけピックアップして扱うことにより、スムーズな定着を図る。
2. 加減計算の最適ドリル演習
(0) ICTドリル「めくりドリル」の活用
演習ではICTを用いた画像付き簡易計算ドリル(以下、「めくりドリル」と呼ぶ)を行うことが有効である。めくりドリルとは、問題カード(⇒解説カード)⇒答えカード⇒問題カード⇒……(以下繰り返し)となるように並べたICT上の計算ドリルのことである。
「解説カード」に計算過程のそろばんの画像や動画を挿入することで、教員が手とり足取り教えなくても解説を見て演習を進められるようになる。慣れてきたら時間制限を設けてめくりドリルを活用することにより、はやさと正確さを意識させるのがお勧めだ。
「問題カード」にそろばんの画像をいれることで、そろばんの読み取りを出題することもできるので、そろばんの「表し方のルール」の学習で活用するのも良いだろう。
(1) 授業の大まかな流れとポイント
- 繰り上がりがない、または繰り上がりに五珠が絡まない加法の計算
- 繰り下がりがない、または繰り下がりに五珠が絡まない減法の計算
- 繰り上がりや繰り下がりがない、またはそれらに五珠が絡まない加減計算
- 繰り上がりに五珠が絡む加法の計算
- 繰り下がりに五珠が絡む減法の計算
- 繰り上がりや繰り下がりに五珠が絡む加減計算
繰り上がりや繰り下がり自体は特に難しくないが、それらと五珠が絡むと途端に難易度があがる。そこで、繰り上がりや繰り下がりに五珠が絡むかどうかで計算演習を分け、絡むものはそればかりを徹底して演習することで効率よく学習を進めると良い。
3. 皆でチャレンジ!何級とれるかな?
youtubeを活用して日本珠算連盟読み上げ算検定に挑戦する。
テーマを何級とれるかという到達度チェックにするなら①、演習をかねて基礎の定着度のみを確認するなら②を活用すると良い。
①読み上げ算(10~1級):https://www.youtube.com/watch?v=gSGAUDzY92Q
②読み上げ算(3~5桁):https://www.youtube.com/watch?v=sIvRvDgoFFk
②を選択した場合には、再生速度を調整して遅くすることにより、「できた」を基本とする基礎演習ができる。他にも様々な種類の動画があるので、レベルに合わせた動画を選択するのも良いだろう。
授業のレベルに合うものがない場合には、学校独自で「そろばん到達度検定」なるものをつくって到達目標として意識させることもできる。
執筆者
まき先生
中学高校で数学を教えている。体系的に教えるためには算数から学びなおす必要があると感じ、算数の授業案についても学習をすすめている。
実践的かつつながりを意識した授業案の作成に努める。
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