『未来を支える食料生産』米づくりのさかんな地域 (教育出版5年社会科)~子ども同士の話し合い活動を充実させる問い返し~

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目次

本単元で身に付けたい資質・能力

我が国の稲作が、自然条件を生かして営まれていることや、その生産に関わる人々の工夫や努力によって支えられていることを理解させる。地図帳や統計などの各種の基礎的資料を通して、情報を適切に調べまとめる技能を身に付けさせる。また、稲作に関わる課題やこれからの稲作の発展について多角的に考える力、考えたことを説明する力を養う。我が国の稲作について、主体的に学習の問題を解決しようとする態度を養う。そして、多角的な思考や理解を通して、我が国の産業の発展を願い、我が国の将来を担う国民としての自覚を養う。

単元の評価規準

知識・技能

稲の種類や分布、生産の工程、生産量の変化などについて、必要な情報を集め、読み取り、調べたことをまとめ、食料生産を支えていることを理解している。

思考・判断・表現

稲の種類や分布、生産の工程、生産量の変化などに着目して、問いを見いだすことができる。学習したことをもとにこれからの稲作の発展について考え、適切に表現している。

主体的に学習に取り組む態度

我が国の稲作について、主体的に学習問題を追究し、これからの稲作の発展について考え、解決しようとしている。

単元の展開【1~11時】

1時 米はどこから?

・地図資料や個人で集めた米袋、店のチラシなどから、調べた米の産地と品種を、日本白地図に書きこむ。

・地図帳や資料集などを活用し、日本のどこで米が多く生産されているか個人で調べる。

・米づくりと自然条件との関係がわかる資料を読み取り、わかったことをノートなどに整理する。

・個人で振り返りを行う。(振り返りシート)

2時 米の産地はどんなところ?

米づくりに適した場所(教育出版教科書では「新潟県南魚沼市」)の自然条件や土地利用の特色について、写真や雨温図、土地利用図などを読み取って調べる。その際、米づくりと自然条件との関係について、前時(1時)の学習を振り返り、考える。

働く農家の人の話(教育出版教科書では「新潟県南魚沼市」)を読み取り、米づくりと自然条件との関係についてわかったことを個人で考える。

・個人で考えたことを班で共有する。

・これまでの気づきや疑問を振り返り、学習問題例:「米づくりのさかんな地域では、人々がどのようなくふうや努力をして米を生産しているのだろう。」)をつくる。

・個人で振り返りを行う。(振り返りシート)

3時 学習問題について予想して、学習計画を立てよう

・前時(2時)につくった学習問題を確認したあと、米づくりの作業風景写真なども参考にしながら、学習問題について個人で予想をする。

・個人で予想したことを班で共有し、似たものを整理・分類する。

・班で何について調べれば、予想したことを確かめられるかを話し合い、これから調べることを決める。

・班でどうやって調べればよいかを話し合って決め、「調べること」と「調べ方」を整理した学習計画をノートなどに書く。

・個人で振り返りを行う。(振り返りシート)

4時 一年間の米づくり

・田の規模や収穫量などを教科書(教育出版教科書では「南魚沼市の農家の三輪さんが所有する田の規模や収穫量」)から読み取る。

一年間の米づくりカレンダーや話をもとに、米づくりの一年間の作業の流れを個人で調べ、ノートなどに整理する。

・個人で米づくりをするうえで大切な条件について考える。

・個人で考えたことを班で共有する。

・個人で振り返りを行う。(振り返りシート)

5時 質の高い米をめざして

・水田管理の作業について、写真や話から読み取る。(教育出版教科書では「南魚沼市の農家の三輪さんの水田管理の作業」)

・個人で肥料・農薬の扱いに関する様々な工夫を写真やイラストなどから読み取り、わかったことをノートなどに整理する。

・個人で読み取ったことやわかったことを班で共有する。

・班で農家の人たちが仕事をするうえで気をつけていることや、その理由について考えて話し合い、ノートなどに整理する。

・班で考えたことを全体で共有する。

・個人で振り返りを行う。(振り返りシート)

6時 おいしい米をとどける

・全体で「米がとどくまで」の資料(教育出版教科書)をたどり、収穫から消費者のもとに届くまでの流れを整理する。

米の出荷、輸送にはどのような人たちが関わっているか、資料をもとに個人で考える。

・個人で考えたことを班で共有する。

・個人で米の値段に含まれる費用を資料から調べ、米の流通と値段との関係をノートなどに整理する。

・個人で整理したことを班で共有する。

・班で考えたことを全体で共有する。

・個人で振り返りを行う。(振り返りシート)

7・8時 米づくりの変化

米の生産量の変化と米づくりの作業時間の変化を、資料(教育出版教科書)から読み取る。

米が多くとれるようになった理由と、米づくりの作業時間が短くなった理由について、資料をもとに個人で考える。

短い労働時間で多くの米を生産できるようになった理由について、個人でわかったことや考えたことをノートなどに整理する。

・個人で整理したことを班で共有する。

・班で考えたことを全体で共有する。

・個人で振り返りを行う。(振り返りシート)

9時 米づくりのかかえる課題

米の生産量と消費量の変化をグラフ(教育出版教科書)から、それぞれの変化を関連づけてわかることを個人でノートなどに整理する。

・個人で整理したことを班で共有する。

農家の人の話やグラフなどの資料(教育出版教科書)から、農家の人たちが心配していることを読み取り、個人でノートなどに整理する。

・個人で整理したことを班で共有する。

・日本の米づくりが抱えている課題について、これまで調べたことを根拠にして考え、班で話し合う。

・班で話し合ったことをクラス全体に伝える。

・個人で振り返りを行う。(振り返りシート)

10時 これからの米づくり

・前時に考えた米づくりの課題を全体で振り返る。

・各課題の解決につながりそうな取り組みを、三輪さんの話や写真(教育出版教科書)などの中から個人で見つける。

・個人で見つけた取り組みを発表し合い、米づくりに関わる人々が課題に対してどのような取り組みを進めているか、わかったことをノートなどに整理する。

・課題に取り組む農家の人たち、米づくりに関わる人たちの思いについて個人で考える。(ゲストティーチャーから話を聞けるとよりよい。)

・個人で考えたことを班で共有する。

・個人で振り返りを行う。(振り返りシート)

11時 まとめる

・これまで学んできた米づくりの変化、その変化に関係する人々の工夫や努力を個人で振り返り、整理する。

・個人で整理したことを班で共有する。

・これまでの学習をもとに、米づくりが盛んになるためには、何が大切なのか。について個人で考え、ノートなどに整理する。

・個人で整理したことを班で共有する。

・これから米づくりを進めていくうえで大切だと思うことを個人で考えて、ノートなどにまとめる。

・個人で考えたことを班で共有する。

・個人で振り返りを行う。(振り返りシート)

子ども同士の話し合い活動を充実させる問い返し

本授業案では、個人の考えを班や全体で発表させ、共有する時間を多くとっています。その際、「話し合いが進まない。」「どう話し合えばいいかわからない。」などと言った理由で、話し合いが滞ることがあります。そこでよく考えられるのが、話し合いのルールを決めることです。話し合いのルールはたくさんありますが、今回は「話し合い活動をよりよくしていく問い返し」について、私が使っていたものを紹介します。

発表したことに対して、「どうしてそう思ったの。」と問い返すことで考えを深めたり、理由を明確にしたりすることができます。また、「○○さんの考えのよいところは~です。」と問い返すことでよりよい雰囲気をつくり、話しやすくなります。上手な問い返しは話をスムーズにさせる潤滑油となります。一長一短では見に付きにくいスキルです。ぜひ、よりよい問い返しの指導を継続して行ってください。

[参考出典]

・教育出版「令和6年度版『小学社会5』年間指導計画・評価計画」

執筆者プロフィール

nanalalala

元小中学校教員。「思考を深める」(アクティブラーニング・思考回路図の活用など)、「安心して学ぶことができる」(ユニバーサルデザインを意識した授業計画・環境整備など)、「SST」「理解教育・インクルーシブ教育」などを意識し、教育活動・学習活動などに取り組んできた。現在は自身の経験を伝えるWebライターとして活動中。

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この記事を書いた人

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