『わたしたちの市の歩み』市のうつりかわり(教育出版3年社会科)~社会科と総合的な学習の時間の違い~

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目次

本単元で身に付けたい資質・能力

市の様子の移り変わりについて、人々の生活との関連を踏まえて理解させる。調査活動、具体的な資料を通して、必要な情報を調べまとめる技能を身に付けさせる。また、市や人々の生活の様子の変化などから、地域の課題やこれからの市の発展について考えたりする力、考えたことを表現する力を養う。そして、主体的に学習の問題を解決しようとし、生活の在り方やこれからの地域社会の発展について考えようとする態度を養う。

単元の評価規準

知識・技能

聞き取り調査をしたり地図やグラフなどの資料で調べたりして、必要な情報を集め、絵カードや年表にまとめ、市の様子を理解している。

思考・判断・表現

交通や公共施設、土地利用や人口など、今と昔を比較・関連づけしたり、わかったことを総合したりして市の様子の変化について考え、表現している。

主体的に学習に取り組む態度

市の様子の移り変わりについて、予想や学習計画を立てたり、見直したりして、主体的に学習問題を追究し、解決しようとしている。

単元の展開【1~9時】

1時 かわるまちの様子

・昔の駅やその周りの様子について撮影した写真を、クラス全体で観察する。

・今の駅やその周りの様子について撮影した写真を、クラス全体で観察する。

昔と今の写真を比べて、気づいたことを個人で考える。

・個人で気づいたことを班で共有する。

・個人で振り返りを行う。(振り返りシート)

2時 学習問題をつくり、学習の見通しを立てよう

・昔の市の様子について、家族や昔の市の様子などについて詳しい人などから聞き取る。

・市の様子の移り変わりについて、わかったことをもとに学習問題をつくる。

・単元の学習問題(例:市の様子は、どのようにかわってきたのだろう。」)を問いかけ、個人で予想をする。

・個人で予想したことを班で共有する。

・班で何を調べれば予想したことを確かめられるか話し合い、これから調べることを決める。

・班でどうやって調べればよいかを話し合って決め、「調べること」と「調べ方」を整理した学習計画をノートなどに書く。

3時 交通はどのようにかわったのかな

・駅で働く人にインタビューをする。

・市内の新旧の交通網地図を比べて、その移り変わりについて個人で考える。

・個人で考えたことを班で共有する。

・本時で調べたことを、絵カードにまとめる。

4時 土地の使われ方はどのようにかわったのかな

・農家の人にインタビューをする。

・市内の新旧の土地利用図などを比べて、その移り変わりについて個人で考える。

・個人で考えたことを班で共有する。

・本時で調べたことを絵カードにまとめる。

5時 人口はどのようにかわったのかな

・昔からまちに住む人にインタビューをする。

・市の人口変化のグラフを読み取り、その移り変わりについて個人で考える。

・個人で考えたことを班で共有する。

・本時で調べたことを絵カードにまとめる。

6時 公共しせつはどのようにかわったのかな

・公共施設で働く人にインタビューをする。

・市内の新旧の主な公共施設の分布図を比べて、その移り変わりについて個人で考える。

・個人で考えたことを班で共有する。

・本時で調べたことを絵カードにまとめる。

7・8時 年表を書き足そう

・これまでに作成した絵カードを、前単元でまとめた年表に追加する。

・年表を見て、交通、土地利用、人口、公共施設それぞれの移り変わりについて、個人でわかったことを考える。

・個人でわかったことを班で共有する。

・班で移り変わりの節目となる年代とその理由をまとめる。

・班でまとめたことをクラス全体に伝える。

9時 年表を見て話し合おう

・市の移り変わりについて、交通、土地利用、人口、公共施設の相互の関わりを踏まえて班で話し合う。

・市の総合計画などをもとに、今後の目標や計画について班で調べる。

・班で調べたことをクラス全体に伝える。

これまでの学習に基づいて、これからの市の発展について、自分なりの考えを発表する。

社会科と総合的な学習の時間の違い

本単元では前単元の学びを活かして、本単元の終末に市の今後の目標や計画などを調べ、市の発展について考えています。この学び方は、「総合的な学習の時間」と似ています。それでは、「総合的な学習の時間」と「社会科」の違いはなんでしょう。

国立教育政策研究所では、以下のように示しています。

教科は、文部科学省が学習指導要領の「目標」と「内容」を作成する。学習指導要領には2章以降に各教科、道徳、特別活動それぞれの「目標」と「内容」が系統的に定められている。次に、教科書会社が学習指導要領の「内容」を授業を通して実現できるように、適切な教材を決め、単元・題材を作り、教書を編纂する。そして、各学校で先生方が学校、地域、児童生徒の実態等を考えて教科書の単元・題材に調整を加えながら授業を行っているのではないだろうか。あるいは、学習指導要領を足場にして独自の教材を開発したり、単元・題材の開発を行っている学校もあるかと思う。(中略)「総合的な学習の時間」には、二つのねらいが示されているだけである。では、だれがそれを創るかといえば、各学校で先生方が創らねばならない。さらに、各学校で創った「目標」・「内容」を足場にして、学校、地域、児童生徒の実態から適切であると思われる教材を決めたり、単元を開発したりしなければならない。だれがそれを行うのかといえば、これも各学校で先生方が行わなければならない。最後に授業を実施し、その結果を評価してカリキュラムの修正を続けていくわけである。  

つまり、教科である「社会科」は、目標や内容は学習指導要領が定め、系統的に学んでいくものである一方、「総合的な学習の時間」は、その学校が独自に目標や内容を定め、各学年に応じた適切な教材や単元計画を考えていくものです。

しかし、「社会科」と「総合的な学習の時間」の学び方はとてもよく似ています。以下の図は、小学校学習指導要領(平成29年告示)解説「総合的な学習の時間編」に記載されている「探究的な学習における児童・生徒の学習の姿」です。

「社会科」における児童・生徒の学習の姿も以上のように次の授業・単元・学年と積み上げていきます。「社会科」の授業づくりでは、目標や内容を意識し、系統的に学びを積み上げていく意識を持って考えましょう。

 [参考出典]

・教育出版「令和6年度版『小学社会3』年間指導計画・評価計画」

・小学校学習指導要領(平成29年告示)解説「総合的な学習の時間編」

・国立教育研究所資料

執筆者プロフィール

nanalalala

元小中学校教員。「思考を深める」(アクティブラーニング・思考回路図の活用など)、「安心して学ぶことができる」(ユニバーサルデザインを意識した授業計画・環境整備など)、「SST」「理解教育・インクルーシブ教育」などを意識し、教育活動・学習活動などに取り組んできた。現在は自身の経験を伝えるWebライターとして活動中。

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