※本記事は、単元『昔から今へと続くまちづくり』で紹介した「知識の構造図」について、より具体的に解説した記事となっています。
本単元で身に付けたい資質・能力
県内の国際交流が盛んな地域について、人々の生活との関連を踏まえて理解させる。調査活動、地図帳や各種の具体的資料を通して、必要な情報を調べまとめる技能を身に付けさせる。また、自分たちの住む地域と比較し、その地域の特色を考え、白地図などにまとめたことをもとに説明したり話し合ったりする力を養う。そして、主体的に学習の問題を解決しようとし、地域社会に対する誇りと愛情、地域社会の一員としての自覚を養う。
単元の評価規準
知識・技能
国際交流に取り組んでいる地域について、地図帳や各種の資料で調べ、白地図などにまとめている。
思考・判断・表現
国際交流に取り組んでいる地域の位置や人々の活動や産業の歴史的背景などに着目して、地域の様子を捉え、それらの特色を考え、表現している。
主体的に学習に取り組む態度
国際交流に取り組んでいる地域について、予想や学習計画を立てたり、見直したりして、主体的に学習問題を追究し、解決しようとしている。
単元の展開【1~5時】
1時 多くの人がおとずれる福岡市
・外国の人が参加するもよおしは、県内のどこで、行われるかを、個人で調べる。
・個人で調べたことを班で共有する。
・外国の人は、どのような目的で、福岡市をおとずれるのかを、個人で調べる。
・個人で調べたことを班で共有する。
・班でもっと知りたいことを話し合って学習問題をつくり、学習計画を立てる。
・単元の学習問題(例:「福岡市では、なぜ国際交流がさかんのだろう。」)を問いかけ、個人で予想をする。
・個人で振り返りを行う。(振り返りシート)
2時 二つのげんかん
・外国の人が福岡市に来る方法を全体で考える。
・福岡空港と博多港を使って外国から来る人の数を、個人で調べる。
・個人で調べたことを班で共有する。
・飛行機や船で結ばれる国や都市の位置について地図を使って、個人で調べる。
・個人で調べたことを班で共有する。
・個人で振り返りを行う。(振り返りシート)
3時 アジアの中の福岡市
・市が姉妹都市の関係を結んでいる都市の位置について地図を使って、個人で確かめる。
・市が取り組む外国との交流について、個人で調べる。
・個人で調べたことを班で共有する。
・個人で振り返りを行う。(振り返りシート)
4時 交流を続けていくために
・外国から来た人と、どのような交流が行われているのか、さらに個人で調べる。
・調べたことを班で共有する。
・外国から来た人が、生活する上でどのようなことを問題に感じているかを、班で話し合う。
・班で話し合ったことを全体で共有する。
・外国から来た人と、よりよい交流をしていくための取り組みについて、個人で調べる。
・個人で調べたことを班で共有する。
・個人で振り返りを行う。(振り返りシート)
5時 世界との交流の輪が広がることを願って
・福岡市で国際交流が盛んになった背景について、個人で考える。
・個人で考えたことを班で共有する。
・班で共有したことを、グループ分けして模造紙やタブレットなどで整理する。
・整理したことを全体で共有する。
・福岡市で国際交流がさらに盛んになるために大切なことについて、全体で考える。
・個人で振り返りを行う。(振り返りシート)
知識の構造図で単元を見てみよう
前記事でも述べたように「知識の構造図」とは、単元において3つの「何を」指導するのかを明確にしていくものです。その3つとは、
「具体的知識」:一時間毎に習得させる知識のこと
「概念的知識(中心概念)」:単元の終末に、調べて取得した具体的知識を活用して獲得させる知識のこと
「用語や語句」:都道府県の名称や地図記号などのような一般的な知識のこと
本単元の「知識の構造図」を以下のようにまとめてみました。


以上のように、「知識の構造図」で単元を見てみると、単元の学習問題を前提として、単元の学習問題を解決していくために、毎時間の具体的知識や用語が明確になります。
「知識の構造図」は、「単元構造図」や「教材構造図」などと呼ばれ、多くの教師用指導書に掲載されています。指導を考える前に、一度目を通してみてはどうでしょう。
[参考出典]
・教育出版「令和6年度版『小学社会4』年間指導計画・評価計画」
・明治図書『社会科学力をつくる“知識の構造図”-“何が本質か”が見えてくる教材研究のヒント-』(北俊夫 著)
執筆者プロフィール
nanalalala
元小中学校教員。「思考を深める」(アクティブラーニング・思考回路図の活用など)、「安心して学ぶことができる」(ユニバーサルデザインを意識した授業計画・環境整備など)、「SST」「理解教育・インクルーシブ教育」などを意識し、教育活動・学習活動などに取り組んできた。現在は自身の経験を伝えるWebライターとして活動中。
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