はじめに
本記事は、2025年2月発売の2冊の新刊
①『「問題発生時の対応力を付ける」ための成功法則』(明治図書出版社)
②『「教師力を上げる」ための成功法則』(明治図書出版社)
について、著者の大前暁政が皆さまに紹介する記事となっております。


書籍について
◎概要
本シリーズは、学校教育に関する教師のための成功法則を紹介する書籍となっています。
①は、学校現場で起きる様々な問題に対して、どのように対応すればよいのか、具体例と共に解説しました。
②は、授業、学級づくり、子ども対応、研究、校務分掌、学校教育のマネジメント、行事の運営、地域や家庭との連携など、多岐に渡る力を高めるための方法を解説しました。
◎類書との違い
類書との違いは、「具体的な実践例」だけでなく、「法則」まで紹介したところです。具体的なエピソードを読むだけでも楽しめると思います。 その上で、「法則」まで学ぶことができるので、他の場面でも応用できる知恵を得ることができます。
◎こんな先生に読んでほしい
授業、学級づくり、子ども対応、研究、校務分掌、学校教育のマネジメント、行事の運営、地域や家庭との連携など、網羅的に、全て学びたいという人には、必読の1冊となります。特に、現場で次々と問題に直面している先生にこそ、どのように問題に対応すればよいのかが分かるように解説していますので、役立つはずです。 日々の教育に少しでも迷われた方には、本書のエピソードがきっとお役に立つはずです。
一部を紹介!
本書の骨格部分を紹介します。
『「問題発生時の対応力を付ける」ための成功法則』について
①現場での様々な問題に直面した場合、どのような対応を行っていけばよいのでしょうか。
現場の先生方は、日々、様々な問題に直面しています。熱心に教育に取り組んでいる先生ほど、いつも何かの「壁」や「課題」、「問題」に出会っていると言ってもよいでしょう。
例えば、次のような問題です。
・「充実した授業にするためには、どうしたらよいのか?」
・「質の高い集団に育てるにはどうしたらよいのか?」
・「多様化する子ども達に、どう対応したらよいのか?」
・「学校全体の教育をどう進めたらよいのか?」
・「保護者や地域との連携をどう進めたらよいのか?」
時には、「深刻な問題」に直面することだってあります。
・「荒れている学級・学年を受けもつことになった。どう立て直せばよいか?」
・「深刻な問題を抱えている子どもを担任することになった。どう対応したらよいか?」
・「保護者からのクレームに悩んでいる。どう対応したらよいのか?」
大切なのは、まず何をゴールとして設定するか、です。ゴールとは、未来の理想状態を意味します。どんな理想状態を目指し、未来にどうなっていればよいのかを、まず教師が考える必要があります。
そして、そのゴールに向かって、教師自身を近づけていかなくてはなりません。教師自身が、現状の自分から脱することを意図するのです。そして、ゴールにふさわしい教師になることを決意するのです。
本書では、「ゴールの具体例」と、そのゴールに向けた実践例を紹介しました。例えば、「荒れて自暴自棄になっている子どもへの対応」をどうすればよいのかを紹介しています。1年後の子どもの成長をどう願ったか、そして、そのゴールに向けて、教師としてできる手立てをどう考えたか、どう実践したか、そのような内容を示しました。
これも、大切なのは、教師自身を変えていくことです。
どう教師の指導を変えたらよいのか。
どう教師の生き方や考え方を変えたらよいのか。
エピソードとともに、紹介しました。事例だけ読んでも、十分に学びになるはずです。その上で、多くの事例に共通する「成功法則」を示していますので、それをつかんでほしいと思っています。
②学校現場への様々な問題に対応する上で、大切にしていた心構えはありますか。
大切な心構えとして、教師としての専門的な力量を高めることと、どんな困難があっても、決して諦めないということの2つがあります。
教師には専門的な知識と技能が存在します。本書では、その専門的な知識と技能が何であるかも解説しました。
例えば、学級集団づくりの技法にしても、多くのカテゴリーがあります。子どもが深く学べる授業をつくっていくことにも、やはり多くのカテゴリーがあります。それらのカテゴリーの具体例を挙げ、そして、どのように専門的な力量を身につけ、現場の諸問題に対応したのかを述べました。
そして、本書には、深刻な、一筋縄では解決しないような問題も出てきます。
教師が、最後の最後まで決して諦めないこと。
「どの子も一人残らず、成長させるのだ」という決意を維持すること。
先ほど示したように、理想となるゴールを頭に思い描いたら、そのゴールを達成するまで、教育行為を止めないこと。
そのような「教育者としての執念」も、同時に必要になります。教師としての専門的な力量を高めることと、決して諦めない執念があれば、きっと、道が開けます。
『「教師力を上げる」ための成功法則』について
①教師力を上げるための効果的なやり方とはどのようなものなのでしょうか?
本書では、例えば、次のような内容を紹介しています。
Chapter1 授業力を養うための成功法則
Chapter2 学級経営力を養うための成功法則
Chapter3 子ども対応力を養うための成功法則
Chapter4 学校全体の教育を進めるための力を養う成功法則
Chapter5 教師の姿勢を磨くための成功法則
これらのカテゴリーの中には、「授業、学級づくり、子ども対応、研究、校務分掌、学校教育のマネジメント、行事の運営、地域や家庭との連携」など、多岐に渡る力が含まれています。それらの教師力を、どう磨いていったのか、その具体的な実践例を紹介しました。
教師力を高めるために大切なのは、次の2つを知ることです。
①教師力の中身
②教師力を向上させるための努力の道筋
つまり、「内容」と「やり方」の両方を知る必要があるのです。
例えば、「学級経営」の内容にしても、含まれる教師力は実に多岐に渡ります。「学級マネジメント」と、「学級経営の具体的な進め方」では、内容はまったく異なります。あるいは、「学級の成長段階の理解」、「学級集団づくりの理解」では、やはり内容はまったく異なります。
他の分野も同じです。「授業」にも、多くの内容が含まれています。「学校全体の教育」にも、多くの内容が含まれています。
まずは、教師力の中身を意識することが大切になります。なぜなら、「知らない内容」、「意識していない内容」は、鍛えようがないからです。まずは意識すること。 そこから、教師力の向上はスタートするのです。
続いて、「教師力の内容」が理解できたとして、必要になるのは「教師力の向上の方法」になります。つまり、「具体的に、何をどう努力すれば、教師力が向上するのか」の筋道の理解が必要になるのです。
②教師の知恵を継承し、教師としての力を高めるにはどうしたらよいのでしょうか?
優れた先人達は、教師力を向上させるために、何らかの「努力」を課していました。力のある教師達は、皆、同じようなやり方で、教師力を高めてきていたのです。
本書では、先人達の知恵も紹介しつつ、具体的にどう私が教師力を伸ばすための努力をしてきたのかを解説しました。具体的なエピソードが多いので、やり方を理解しやすいと思います。先人達のやり方の紹介をしつつ、実際に私が若手時代にがどう「修業」したのかの、具体例を示しました。
大切なのは、ここでも、「自分の目指す教師像」や、「自分がやりたい教育の理想の形」、「子どもがどう育ったらよいのかの理想像」などのゴールを描くことです。ゴールを描くと、今自分が何を努力しなくてはならないかが見えてくるからです。それに、ゴールがあると、自分の教育がぶれずにすみます。現場にいると、外から見て、変だと思える慣習やルールが残っていることがあります。しかし、ゴールさえあれば、自分の道をきっと自信をもって歩めるはずです。具体的な歩み方を、エピソードとともに紹介したので、きっとご参考になると思います。
③教師として様々な問題場面にぶつかると思いますが、そのようなとき、何を心掛けて対応を行えばよいですか?
まずは、先人の知恵を知ることが大切になります。知恵とは、例えば、教育理論であったり、教育実践であったりします。理論だけでなく、具体的な実践を知り、「こういう場面では、こういう手立てが有効だ」という教育の工夫をたくさん知っておくことが大切になります。私達は、他人の経験から学ぶことができます。多くの教師は、実は、同じような「失敗」をしています。
新卒時代から、同じような失敗を繰り返し、そして、その失敗から学び、やがて、工夫ある効果的な教育を行っていけるようになるのです。しかし、これでは、あまり能率のよい教師の歩み方とは言えません。むしろ、先人の失敗を知り、そして、先人が残した経験から学ぶようにすればよいのです。そうすれば、いわゆる「コピペミス」は防ぐことが可能になります。
例えば、パニックを起こした子がいた場合。
パニックが起きた子にすぐ対応しようとして失敗した教師は数多くいます。すぐに対応するのではなく、「まずは落ち着くまで待つ」が、原則です。静かな部屋などで、しばらく過ごし、気分が落ち着くのを待つのです。その後、対応すると、その子にスッと話が入っていきます。
こういった、先人の知恵を数多く学んでおけば、失敗の落とし穴に入らすにすむというわけです。
本著作2冊に関して、読者へのメッセージ
教壇に立ったとき、様々な問題に直面するはずです。そして、問題にどう対応したらよいかがわからなくて、途方に暮れてしまうのです。問題にどう対応したらよいのか。教師である自分を向上させるにはどうしたらよいのか。それらを具体的に紹介した書籍となっています。
2冊には、私の経験から学んだ知恵を数多く紹介しています。この2冊は、私の著作の中でも、内容の濃いものとなっています。それは、これまでの原稿の中で選りすぐりの原稿を集め、そして加筆して作成した、いわばベストアルバムのようになっているからです。
若い教師だけでなく、きっとベテラン教師にとっても、役立つ内容が多くあると思います。日々、現場で問題に直面していると感じている先生に、是非手に取ってほしいと願っています。
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プロフィール

大前暁政(おおまえあきまさ)
京都文教大学こども教育学部こども教育学科 教授
岡山大学大学院教育学研究科(理科教育)修了後、公立小学校教諭を経て、2013年4月より京都文教大学に着任。教員養成課程において、教育方法や理科教育に関する教職科目を担当。「どの子も可能性をもっており、可能性を引き出し伸ばすことが教師の仕事」ととらえ、学校現場と連携し新しい教育を生み出す研究を進めている。文部科学省委託体力アッププロジェクト委員、教育委員会要請の理科教育課程編成委員などを歴任。理科の授業研究が認められ「ソニー子ども科学教育プログラム」や「日本初等理科教育研究会優秀論文賞」に入賞。研究分野は、教育方法、理科教育、学級経営、生徒指導、特別支援教育、科学教材、教授法開発、教師教育など多岐に渡る。
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読者へのメッセージ
学校関係者はもちろんのこと、教育活動に携わる全ての人に、是非本書を贈りたいと思っています。
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