ちょっとした驚きを
理科の学習をする際には、できるだけ「オッ?」「オー」と思うような実験を取り入れたいと思っています。それほど華やかではなくとも、子供たちにちょっとした驚きを提供したいものです。ただし、危険な実験やその学年の学習内容を大きく超えるような内容の実験は避けたいですね。また、準備や片付けがたいへんすぎる実験をするのも苦しいです。
4年生の理科では電池2個の「直列つなぎ」と「並列つなぎ」を学習します。検流計も使うので実験時は配線が難しく、けっこう混乱する子供も出てきますので、たくさん経験値を積ませるといいと思います。とは言うものの、結局のところ知識面では「直列つなぎ」はパワーがあって「並列つなぎ」は1本の時とあまり変わらないということが分かっていればまあ成功です。
電池4個を直列でつないでみる
4年生の学習内容としては2個の直列つなぎが妥当なのかもしれません。東京書籍の教科書も3個以上に増やすことについては触れていません。むき出しのプロペラで実験をやっている場合がほとんどだろうから、多いので、安全面にも配慮しているのかも知れません。
でも、電池4個をつないでみたいという子供からの要望も多かったので、挑戦させてみました。クラスも落ち着いていたので、安全面に注意してトライです。
電池4個がどれほど危険なのかと言うと、微妙な所だと思います。私が授業で使っていたプラスチックのプロペラ(下図の4枚羽)と単三電池4個では回っているところを手で触っても痛くないですが「目に当たると・・・」と考えてしまいます。なので、1個の電池でプロペラを回している時点から指でプロペラを触らない、顔を近づけないことはしっかり指導が必要です。
できれば、外回りに丸い輪が付いたものか、柔らかい羽になっているもの(下図白色、ウレタン製の羽?)が良いと思います。
子供たちは電池4個でパワーアップしたのを見ると、「では、電池6個ではどんな感じなるのか」と、どんどんエスカレートしていくので、「それは絶対ダメ」と、止めましょう。電池4個で終わりにさせて、電池6個は私の方で模擬実験にしました。
直流電源装置でだんだん電圧を上げていき、単三電池6個分(9V)にしていきます。子供たちはすぐに風に当たりたがって手を伸ばしてくるので、自分の席に座らせて、教室をシーンと静まり返らせた上で電圧を上げます。プロペラのブーンという音が鋭くなってきて、子供たちの「オー」という表情が見られました。
必ずプロペラの正面に向かって風が吹くようにしてください。プロペラの後ろに風が行くようにつなぐと、プロペラが風の力でモーターから外れて飛んでいくこともあります。そうなるとけっこう危険です。また、あまり電圧を高くするとモータが熱くなって、焦げます。
必ず予備実験をして十分に安全判断をしてから模擬実験に進んでください。
電池4個を並列でつないでみる
もうひとつ、興味深いのが電池4個で並列つなぎをした場合です。下の図のように4個をつなぎます。これも、教師による模擬実験でいいと思います。子供にとって電池4個並列つなぎをするのはなかなか難しいです。配線をすっきりさせるのも難しいです。電池2個でもプラスマイナスを間違えて、ショートさせてしまう事もありますので、時間がかかると電池が熱くなってしまいます。分かりやすく赤・黒の導線でまとめるといいですね。
並列つなぎは電流が強くならないので、子供を近くに来させても大丈夫です。
一気に電池を4個を入れて、4個あってもあまりパワーアップしていないのを確かめます。(下図)
その後、プロペラを回したまま、電池フォルダーから1個ずつ電池を抜いて見せます。電池を抜いてもプロペラは回っていて、プロペラの速さはほとんど変わりません。電池1個になったのが下の図です。
そして、電池1個の状態から今度は2個・3個・4個と増やしていきます。やはりプロペラの回る速さはほとんど変わりません。
※ この実験では電池は新しいものを使いましょう。なくなりかけの電池を使うと電流の強さが変わるような時がありました。
「電池4個で直列つなぎ」や「電源装置で9Vでモーターを回す」については、お読みくださった方が安全か否かを判断してください。「電池4個で並列つなぎ」は子供の記憶に「並列つなぎはパワーアップしない」を残す上で、まあまあ手軽で面白い実験なのでお勧めします。
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