全くいうことを聞かない子に②(岡篤先生)

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作成者: 岡 篤さん

1 はじめに

この実践記事は、岡篤先生が運営されているメールマガジン( http://p.tl/LNuF )から引用・加筆させて頂いたものです。

①の実践記事はこちらからどうぞ。( http://edupedia.jp/entries/show/1008

2 実践概要

担当していたある特別支援学級には、重度の自閉症である小学校4年生の女の子で、「だー」「あー」などの発声はありますが、言葉は使わず、文字を書くことも難しい児童(以下Aさん)がいました。彼女と意思疎通を図るのは難しく、苦労をしていましたが、約1ヶ月間に渡る試行錯誤の末、<span style='font-weight:bold;'>サイコロを取り合う遊びを通してコミュニケーションを取れるように</span>なり、また、彼女は両手を前に出して「ちょうだい」をすることで自分の意思を伝えることができるようになりました(詳しくは①を参照→ http://edupedia.jp/entries/show/1008 )。

今回はこのAさんのことを相談するために赴いた、特別支援学校の地域支援部でのまなびをご紹介します。

3 特別支援学校地域支援部での話し合い

訪問理由

何もコミュニケーションの取れなかった期間の後に、Aさんが「ちょうだい」を通して意思表示ができるようになったことは感動的であったが、試行錯誤の末に偶然できたことなので、特別支援教育の専門家から見た意見を聞きたかった。

相談方法

  • Aさんが<span style='font-weight:bold;'>重度の自閉症</span>であること、そして約1ヶ月間全くコミュニケーションが取れないでいた事実を率直に伝える。
  • Aさんがサイコロの取り合いをして遊ぶ姿などを撮った映像を見せる。

専門家による反応・評価

(以下、専門家とのダイアローグです。)

専門家の先生(以下先生)「これは…、何をしているところですか?」

一瞬、顔が火照るのを感じました。「何を」と言われても、偶然が重なってやり出したことです。何をどうするつもりでやっているのか、さっと説明することができませんでした。
「サイコロを取り合っているのです。『ちょうだい』をはじめてするようになったので…。」
先生「そういう遊びですか?」
「まあ、遊びといえば、遊びなのかもしれません。あまり、ちゃんと考えてやっていることではないので。」

ビデオの中では、Aさんが私に向かってちょうだいをしました。また、サイコロの取り合いが続いています。
「だめですか?」

私は、沈黙が耐えきれずに尋ねました。

担当の先生は、ビデオから目を離して私の方を向き直りました。
先生「いえ、すばらしいです。」
「えっ?」

思わず、聞き返しました。どうも否定されそうな気がしていたからです。

正直なところ、ほっとしました。何をどうしたらよいのか全く分からなかった1ヶ月を過ごして、やっと手がかりのようなものをつかむことができたのです。そのサイコロ遊びを専門家に否定されたら、また試行錯誤を始めなくてはなりません。

「そうなのですか?よく分からないでやっているのですが…。」
先生「Aさんの他の場面のビデオを観て、なかなか難しいのが分かりました。よく、あれだけ意欲を引き出す遊びを見つけられましたね。」

初めてAさんがちょうだいをしたときのことが浮かびました。意欲を引き出すために見つけたというより、本気で張り合っているだけでした。気がついたら、掌を上に向けて私の方に突き出していたのでした。
「偶然です。」

本当に偶然でした。

次なるチャレンジ

Aさんの映像をみて専門家の方が提案されたのは、「『ちょうだい』を使いたくなる場面を設定する」ことでした。

この提案で思い付いた「ちょうだい」の活用場面が、<span style='font-weight:bold;'>給食でのおかわり</span>です。彼女は給食が大好きで、「いただきます」をするとすぐにすごい勢いで食べ始めます。

それまでは、Aさんが食べて空になった食器を振ることが、おかわりの合図でした。そこで、おかわりをするときに「ちょうだい」をしないと入れないという決まりにしてみれば良いのではないかということになったのです。

実際に試してみたところ、Aさんはすぐに「ちょうだい」とおかわりの際に意思表示するようになりました。給食は毎日のことで、しかもAさんは大の給食好きなのですから、これほど効果的な場面はなかったでしょう。

4 この一連の流れでのまなび

子ども一人ひとりの持つ課題をさぐる必要性と、適切な手立ての有効性

5 編集後記

教育現場には連携が必要です。子どもについて懸念事項がある場合などに専門家の意見を仰いで指導の方向性を考えるというのは、とても良いことだと思いました。
(編集・文責:EDUPEDIA編集部 陣内萌)

6 実践者プロフィール

岡篤(おかあつし)先生
神戸市立好徳小学校教諭。
漢字と俳句の実践に力を入れている。
学力研という研究会に所属。
● 主な著書
『読み書き計算を豊かな学力へ』2000年 http://amzn.to/X7QQh0
『書きの力を確実につける』2002年 http://amzn.to/Y8C3Sw
『これならできる!漢字指導法』2002年 http://amzn.to/Zahyvq
『字源・さかのぼりくり返しの漢字指導法』2008年 http://amzn.to/Yk4gda
『教室俳句で言語活動を活性化する』2010年 http://amzn.to/WJQFMe
● HP 岡先生の<span style='font-weight:bold;'>メルマガへの申し込み</span>はこちらから
教師の基礎技術~若い先生へ
http://blogs.dion.ne.jp/aoka5/

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