「自分磨きノートで学級経営」(立命館小学校 伊藤邦人先生)

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作成者: 伊藤邦人さん

1 はじめに

平成26年3月30日に行われた、「第3回クラス・マネジメント研究会」を取材させていただきました。

この記事では、セミナーで講師としてお話された、伊藤邦人先生の学級経営について紹介します。

「子どもを1年間で変える」ことを大切にしていらっしゃる伊藤先生。ここでの「変える」とは、成長を越えて変容するということです。学級閉めの際の子どもの変容を目標とし、1年間の学級経営を考えるのです。

「自分磨きノート」の実践を通して、子どもを変える学級経営を紹介します。

2 「心にどう落とすか」

子どもに何かを学ばせたいとき、言葉だけでは伝えられません。言葉で知ったことは、忘れてしまうのです。

よって言葉で教えるだけでなく、「体感」させることが必要です。
 

体で覚えたことは忘れないのです。体感させ、「心にどう落とすか」が大切です。

では、伝えたいことを体感させるには、どうすればよいのでしょうか。

以下では、「心にどう落とすか」の例を4つ紹介します。

そして、その4つ目の例で、自分磨きノートの実践について説明します。

例① つながりが大事

「つながりが大事だよ」ということを学ばせたいとき、子どもたちにそれを体感させるにはどうすればよいのでしょうか。例えば、このような方法があります。

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1.「口に二画足して新しい漢字をつくってください。」という問いを出す。
2.一人で考える時間をとる。
3.何人かで答えを共有する時間をとる。

3の共有の際、子どもたちは自分が思いつかなかった漢字をクラスメイトから発見します。つまり、自分だけでは得られなかった新たな発見を、クラスメイトと協力することによって得ることができたのです。この活動を通して、子どもたちは

「協力すれば新たな発見がある」
「友達と関わりあって自分を高めていくことができる」

ということを、体感するのです。この体感によって「つながりが大事だよ」ということを心に落とすことができます。

例② 環境は大事

「環境は大事だよ」ということを学ばせたいとき、子どもたちにそれを体感させるにはどうすればよいのでしょうか。例えば、このような方法があります。
 
1.教室で、机をがたがたに並べたり、ごみを散乱させたりして、汚い環境を作り出す。
2.子どもたちに感想を聞く。→子どもたちは「落ち着かなかった。」などと答える。
3.きれいな状態に戻す。ピカピカにする。
4.子どもたちに感想を聞く。→子どもたちは(きれいな状態の方が)「勉強しやすかった。」「集中できた。」などと答える。

「環境は大事だよ」といくら言葉で言われても実感がわかないものです。しかし、汚い状態ときれいな状態との両方を体験させることによって、子どもたちは「環境の大切さ」を体感することができます。

体感させる方法として、この例のように、「「落差をつける」ことがポイントです。

例③ 考え方が大事

「算数で大切なのは、考え方だよ」ということを伝えたいとき、子どもたちにそれを体感させるにはどうすればよいのでしょうか。例えば、このような方法があります。

1.「この図で丸はいくつあるかな?」という問題を出す。

この時、一つ一つ数えるのではなく、工夫して考えることの必要性に気づかせるために、一瞬だけ図を見せる

〈やりとりの例〉
ある子どもが、13個と答える。
教師『一つ一つ数えるの、大変だったね。』
子ども「ちがうよ、先生。式でね…。」
教師『工夫して考えたのか。じゃあ、みんなで考えてみよう。』

2.先に式と答えを何パターンも見せ、それぞれの考え方を考えさせる。
(式の例:3×3+2×2=13、1×2+3×2+5=13など)
(この時はプリントを配るなどして、図をずっと見せておく。)
(はじめに一人で考える時間を取り、次に、何人かで考え方を共有する時間を取る)

3.考え方の答え合わせ 

4.最後に「今大切なのは、答えが13であるということなのかな?」と問う。
 
子どもたちは、「考え方が大事だよ。」と言われると、「そうなんだ。」と納得はするかもしれませんが、その意味を本当に理解することは、言葉だけでは困難です。つまり、心に落とすことができないのです。
しかし、1~3を実践すると、子どもたちは

「13個という答えが大切なのではなく、それを導く考え方が大切なのだ」

と気づきます。

先生が先に言うのではなく、先生が先に言うのではなく、子どもたちからその発想が生まれることがポイントです。自分たちで気づくということは、「考え方が大事」であることを、体感することができたということなのです。この体感によって、言葉だけでなく心に落とすことができます。

例④ 自律と自立が大事

「自律と自立が大事だよ」ということを伝えたいとき、子どもたちにそれを体感させるにはどうすればよいのでしょうか。その方法が、「自分磨きノート」です。

自分磨きノートの実践方法

毎日、終わりの会で子どもたちに子どもたちに3行日記を書かせます
書く内容は、今日の自分の反省です。
子どもたちは、今日一日の自分を振り返り、よかったこと、悪かったこと、どうしてよかったのか、どうして悪かったのかなどを書きます。先生は毎日、それに対するコメントを書きます。

自分磨きノートの意味

自分磨きノートは、

子どもたちに「自己と対峙させる」という狙いがあります。

毎日、自分の振り返りを書く時間をとることで、「自分と向かい合う時間」を作っているのです。

このことにより、子どもたちは自分と上手く付き合い、自分をコントロールする練習ができます。つまり、自律・自立を体感するのです。

さらに、「自分磨きノート」は自律・自立を体感する以上の効果を持ちます。それは、新しい自分を発見するということです。新しい自分を発見すれば自分を好きになれます。}

「自分磨きノート」で子どもたちは、自律・自立を体感し、成長・変容し、新しい自分を発見します。このように、自分磨きノートは子どもの変容を支えるのです。

3 伊藤先生にとっての「教育」

伊藤先生は、「教育とは自己の変容に気づかせる支援をすることである。」とおっしゃいました。よって、子どもたちが新しい自分を発見できる、「自分磨きノート」の実践は、まさに伊藤先生にとっての「教育」であるといえます。

4 まとめ

学級経営において、子どもたちが体で感じる機会をたくさん作ることが大切です。子どもたちの心にどう落とすか、ということを意識し、体感の機会をたくさん作りましょう。

また、「学級閉めの時に、子どもたちにどうなっていてほしいのか」を考えて、1年間学級経営をしていくということも、大切なポイントです。

5 編集後記

成長すること、変わることはとても難しいことですが、毎日自分と向き合う時間があること、そして、きちんと言葉で表現すればそれに反応してくれる先生がいることは、子どもたちが成長・変容への大きな一歩を踏み出すための最高の環境が整っているといえるのではないでしょうか。自分磨きノートは、その最高の環境づくりすることができる実践だと思います。
(編集・文責:EDUPEDIA編集部 森七恵)

6 実践者プロフィール

伊藤邦人(いとう くにと)
学習塾勤務を経て、現在立命館小学校教諭。

「クリエイティブ」を教育の柱とし、子どもを最大限に伸ばす学級経営・授業づくりの研究を進めている。
共著に、『文章題プリント』、『図形プリント』(いずれも学研出版)、『教師になるには』(一ツ橋出版)、著書に、『マニュアル授業から脱却する! 算数のクリエイティブ授業 7の仕掛け・30の演出』(明治図書)がある。

○文章題プリント

○図形プリント

○教師になるには

○マニュアル授業から脱却する! 算数のクリエイティブ授業 7の仕掛け・30の演出

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