「モチモチの木」国語・物語文・授業案~人の多面性を探る~

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作成者:大和 信治 (Edupedia編集部)さん

1 はじめに

国語・物語文「モチモチの木」の授業案です。
「これからの資質・能力」を意識して単元の目標や単元計画を作成しました。
授業計画や実際の授業では、次のような点に気をつけます。

  • 教師が目標(付けたい力)を意識して授業に臨み、児童にも意識させる。
  • 学習課題は児童の関心や疑問から設定するので、自由にテキストに反応させる。
  • 教科書以外に、児童の思考を深める教材を用意・開発する。

2 単元について

単元の学習課題

  • 物語全体から豆太の人物像やじさまへの思いを読み取るために、昼と夜の豆太の言動や性格を比較したり、臆病・勇気・優しさといった人物像を分類したりしながら物語を読み、「豆太はどんな子?」という学習課題について、自分の考えをまとめる。
  • 豆太レポートの作成をきっかけにして、本文以外の資料から人の多面性を読み取り、自分と関係づけながら考えをまとめる。

単元の目標

【読むこと】

  • 場面の移り変わりに注意しながら,登場人物の性格や気持ちの変化,情景などについて,叙述を基に想像して読むこと。(読むこと ウ 3,4年)
  • 文章を読んで考えたことを発表し合い,一人一人の感じ方について違いのあることに気付くこと。(読むこと オ 3,4年)
  • 豆太の人物像、じさまへの思いについて、叙述を基に想像して楽しんで読む 【ことば】

→「じさま」の呼び方の違い、「もっとこわいもの」は何か、短文を重ねる緊張感

  • 「モチモチの木」の持つ役割 【象徴】

→「モチモチの木」は、豆太の臆病・勇気・優しさ、といった特徴に関連している。モチモチの木が豆太の心を表しているようだ。また、豆太とじさまの心を繋げている。

【思考力】

  • 昼と夜の豆太の違い 【比較】
  • 臆病、勇気、優しさが読み取れる言動 【分類】

【学び方】

  • 豆太について、自分と他の人の考えの共通点や相違点から、幅広く考えたり、多様な考えを受け入れる
  • 単元の学習をまとめる(レポート、新聞、)
  • 物語の読み方の手引き作成 【開かれた学び】

【人間理解】

  • 登場人物と自分を関係づけて読み、自分について知る
  • 臆病・弱虫、勇気・優しさといった人の弱さや強さについて自分と関係づけて考える
  • 人の多面性について考え、人間に対する理解や興味を深める

単元の流れ

◯初読の感想

◯感想の交流

◯課題設定
「豆太はどんな子?」(豆太レポート作成)

◯課題追究
・物語を読み、豆太はどんな子だと言えるかを考える
①1,2,3の場面から豆太の人物像を考える
②4の場面から、豆太のじさまへの思いを考える
③物語全体を通して、豆太はどんな子か考える

・追究の方法(既習の活用)*
①「ちいちゃんのかげおくり」で、人物の言動、色・情景、物語のキーワード(ちいちゃんの場合は「かげおくり」今回は「モチモチの木」)から人物の思いを想像する学習
②「お手紙」で、がまくんとかえるくんの対照的な人物の様子を学習
(対比、それぞれの考え方の背景にあるものは?)

◯課題のまとめ
①自分が考えた豆太の人物像についてレポートにまとめる
・項目を提示する
「豆太はどんな子?」
0,課題が決まった理由
1,はじめの考え
2,課題追究の経過
2−1、どうやって人物像を捉えたか
2−2、クラスで交流しての考えの変化
2−3、自分と豆太を比べて
3,結論

②人物新聞にまとめる
・レポートと同じような項目について書く
「豆太に聞いた!雪道で流した涙の意味は…!?」「じさまが語る!豆太はどんな子!?」など、見出しを自分で考えると楽しく取り組める

*課題追究の方法について 補足
課題について深く考えるために、教科書テキストの他に資料を使うことはできないだろうか。
そこで、今回のテーマは「豆太の臆病と勇気」ということで、同じような特徴を持つ人物が描かれている作品はないか考えたところ、「ドラえもん」の「のび太」が似ているのではないかと思いついた。のび太は、普段は勉強も運動も苦手でいじめられがちなイメージだが、困っている人がいたり、何かを守ったりする時に周りが驚くほどの勇敢さを発揮する。
課題を追求するにあたり、教科書だけでなく、「ドラえもん」(特に映画シリーズ)を用いてのび太について考えることが、豆太の人物像を深く考える手立てとなるのではないか。
【学び方】→「似たような学習材を見つけ、関連させて考える」
(2次学習で行っても良い)

課題設定の理由

初読の感想には豆太の性格について、

  • 臆病じゃなくなった
  • 本当は勇気があるけど、いつもは出せない
  • 臆病と勇気半が分半分
  • じさまに優しくしたい時に勇気が出る

など、豆太の人物像についての感想が多い。臆病、勇気、優しさなど、人の多面性が表れていて児童としては意見の分かれるところだ。
そこで、本単元では、児童の疑問・関心から「一体、豆太はどんな子なんだろう?」と課題を設定し、単元末に自分の考えをレポートなどにまとめる学習を行う。
単元の主な学習は、豆太の言動に注目したり、自分と豆太を比べたりしながら読み、豆太の人物像に迫ることを通して、豆太の心情やじさまへの思いを想像しながら読む。
毎時間の学習が最後のレポートにつながるように、自分の考えの根拠や、友だちの意見を聞いて自分の考えが変わった理由などを意識して書かせていく。
本単元の学習を通して、①物語を自力で読む②考えを交流する③また自分で考える、という学び方を定着させたい。

「モチモチの木」学習後の展開の可能性

本単元では、「モチモチの木」を読んで、豆太の人物像を捉えることを中心に学習する。
児童は今回の学習で、単に人の優しさや勇気の素晴らしさを感じるのではなく、人の持つ弱さや強さ、複雑な思いなどを自分なりに解釈し、自分と関係づけながら物語を読む。
そこから、
「なんで同じ人なのに、違う時があるんだろう」(場所が変わると、人が変わったようになる子)(いつもは元気いっぱいな子がおとなしいと気になる)
「人の中には、臆病や勇気の他にどんな気持ちが混ざっていることがあるだろう」
といった疑問を出しあい、人間について考えを深めていく。
そうしたやり取りの中から、「人の多面性を探ろう」という新たな課題が生まれる。
課題追究の方法としては、自分で読んだ本の登場人物の中で、豆太のような多面性を持つ人物を見つけ、豆太の学習と同じように自分と登場人物を関係づけながら考えをまとめる。
(映像を使っても面白いが、個人学習が難しい。タブレットPCを使えば可能)
物語文を読む楽しさは、いろいろな表現から、日常では経験できない人間の心の動きを疑似体験できることにある。
今回の学習を通して、様々な人のありように触れ、自分や他の人の考え方や生き方に関心を持つきっかけとしたい。
*例

「スーホ」…白馬には愛情たっぷりで優しい。でも、その白馬がとられそうになると、かっとなって言い返す。
→「スーホの愛情はどこからきてるのか」「なぜ、白馬のことでそんなに怒るのか。羊だったら同じように怒るだろうか」などを考える。

「ココロ屋」…自分の嫌な面を100%なくし、良い子になろうとするが、なんだかうまくいかない。自分の中にある嫌な面も、自分の一部として大切に受け入れる。
→「なぜ自分の性格を嫌だと思ったのか」「どんな性格が良い子なのだろうか」「悪い面も受け入れるとは、どういうことか」

「罪と罰」…学年には相応しくないが、人の多面性が描かれている作品。
ダイジェスト版や、漫画版リメイクなどがあるので、そちらは気軽(?)に読める

*全員が好きな本を選ぶと教師の支援が難しくなるので、いくつかの物語をプリントで用意し、そこから自由に選ばせることも考えられる。

読み取り学習の流れと時間配分の目安

  • 10分・音読
  • 8分 ・課題について自分の考えを書く
  • 15分・交流
  • 8分 ・まとめの書く
  • 5分 ・発表

3 授業案

1,初読の感想

2,豆太はどんな子?

3,泣き泣き走る豆太

4,豆太は勇気がある子?

5,豆太レポート


*レポートは、毎回の学習内容を写して仕上げて良いと思います。
まずは「自分で学習をまとめる」という経験を大切にしたいです。
毎時間、まとめ用のプリントを別で用意しておくと、最後にまとめる時に使いやすいかもしれません。
(ノートだと、どこに何を書いたか分からなくなる)

4 おわりに

理科が「科学」、社会科が「社会」と関わっているように、国語科は「人間」や「文化」と繋がっているような気がします。
国語の学習において、そのような面にも目を向けられる授業ができたらと思います。

5 関連資料

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