「ちいちゃんのかげおくり」国語・物語文 教材研究~空(色)とかげおくりから、作品を読む~

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作成者:大和 信治 (Edupedia編集部)さん

国語・物語文「ちいちゃんのかげおくり」(あまんきみこ作)の教材研究案です。
 それぞれの場面で、ちいちゃんの家族への思いを読み取り、それらを1つに繋げることで作品全体を味わうことができます。
 本記事では、各場面の注目箇所と色、単元末の活動である「作品の意味づけ」の文章例を紹介します。

1 教材文の注目箇所

1の場面(家族そろってかげおくりをする場面)

・かげおくりって、どんな遊び?
→お父さんが教えてくれた遊び、お父さんやお母さんが子どもの時によく遊んでいた、家族で手をつなぐ、家族の記念写真、青い空、

色:青、白

2の場面(お父さんが出征し、いくさが激しくなる場面)

・場面の様子(戦争)が分かる言葉は?
・ぽつんと言うお母さん
・いろいろなかげおくりをするちいちゃんとお兄ちゃん
・広い空は、楽しい所ではなく、とてもこわい所にかわりました。

色:赤、黒

3の場面(ひとりぼっちになる場面)

・場面の様子(戦争)が分かる言葉は?
・短文による切迫感
・追い抜かれたり、ぶつかったり———、ちいちゃんは、お母さんとはぐれてしまいました。のダッシュ
・たくさん人がいるのに、ひとりぼっち?

色:赤、黒、灰

4の場面(一人になり家を探し、防空壕でねむる場面)

・町の様子は、どのようにすっかり変わったの?
・家が焼けてなくなっていたのに、なぜ「ここが部屋」「ここに帰ってくる」と言っているのか?
・深くうなずく
・防空壕の中でねむるちいちゃんの様子、思い

色:赤、黒、灰、無色

5の場面(ひとりでかげおくりをして、空にすいこまれる場面)

・ちいちゃんの様子(体・心)
・どんなかげおくりをした?
・今までのかげおくりとの違いは?

色:黒、灰、白、きらきら、空色

6の場面(ちいちゃんの死から何十年たった場面)

・なぜこの場面がある?
・この場面があるとないとでは、読み終わりがどう違う?
(最後の場面のあるなしについては、4年「一つの花」でも考える)

色:青、白、きらきら、水色

2 物語の読み(意味づけ)

単元では、ちいちゃんの様子や空の色、かげおくりの意味について考えながら物語を読み通していく。そこで、読み取り学習の後に、自分で視点を決めて、物語をどう読んだのか(意味づけたのか)を書く活動を設定する。

(課題例)
空の様子(色)とちいちゃんの様子を関係づけながら、物語を説明してみよう。
・それぞれの場面を、かげおくりとちいちゃんの思いを関係づけながら説明してみよう。

以下の文章は、空(色)やかげおくりと、ちいちゃんの家族への思いを関係づけながら、作品をどう読んだのかを説明する文章の例です。
それぞれの読みを交流する時に、教師の読みも紹介できると楽しいと思います。

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はじめの場面で、お父さんの出征前に初めて家族そろってかげおくりをする。このかげおくりは、家族の記念写真であり、ちいちゃんの心の中にずっと残るものとなる。物語の最後のかげおくりと比較することで、ちいちゃんにとってのかげおくりの意味や物語の主題を考えるきっかけになる。

次の日にお父さんは出征し、ちいちゃんはお兄ちゃんとかげおくりをして遊ぶが、戦争が激しくなり、空は楽しい所からこわい所に変わる。この物語では、空(の色)がちいちゃんの心を表しているように思える。
また、空は家族がつながる場所でもある。つまり、空が楽しい所からこわい所へ変わるということは、ちいちゃんの心や家族の関係の変化を意味すると考えられる。

空襲が激しくなり、逃げるうちにお兄ちゃんとお母さんとはぐれ、ひとりぼっちになってしまうちいちゃん。たくさん人がいるのに「ひとりぼっち」という言葉を使っているのは、ちいちゃんは家族がいないと一人(孤独)を感じる、ということだろう。心がつながっている人が周りにいない状態、ともいえる。ここからも、ちいちゃんが家族のことを思い続けていることが読み取れる。

ひとりぼっちになったちいちゃんは、こわれかかった暗い防空壕の中で、干し飯をかじりながら、「お母ちゃんとお兄ちゃんは、きっと帰ってくるよ。」と家族のことを思いながら日々を過ごす。食べ物がなく、心の中は怖く、寂しいちいちゃんは、なぜ生き続けることができたのだろうか。はじめの場面での家族の思い出が、ちいちゃんの心を支えているように思える。
「きっと帰ってくるよ。そして、また一緒にわたしの大好きなかげおくりしようね。」

明るい光で目を覚ましたちいちゃんの体は、「暑いような寒いような気がしました」「ふらふらする足をふみしめて」などの記述から限界にきていることが分かる。
この場面で空からふってくる「かげおくりのよくできそうな空だなあ。」というお父さんの言葉は、はじめの場面と同じだ。ちいちゃんのかげおくりはこの言葉から始まり、最後のかげおくりもこの言葉で始まる。家族そろったかげおくりを思い出しているのだろう。

この時、こわい所だった空は青い空(楽しい所)になっている。ちいちゃんの心が家族で満たされているようだ。そして、はじめの場面と同じように十まで数えて、空に、お父さん、お母ちゃん、お兄ちゃんを見つけた後、ちいちゃんの命は空に運ばれる。心だけでなく体(魂)も家族と同じ場所にいられるように。

ここで体と心に注目してみる。戦争が始まり食住が失われる中、体力はマイナスに進み最後には限界がくる。一方、心は決してマイナスには向かない。家が焼け落ちてなくなっても、一人暗い防空壕で眠っても、ちいちゃんの心にはいつも家族がいる。
はじめのかげおくりから、一人のかげおくりまで、ちいちゃんはずっと家族の記念写真を大切に思いながら生きていたのだと思う。

それから、楽しかった青い空は、一面空色の花ばたけになる。
空色ってどんな色なんだろう。ちいちゃんの心はきっと家族と幸せの色なんだろうな。
読んでいる人それぞれ、自分の心に幸せの色がある、それがきっと空色なんだと思う。
(みんなの空色はどんな色だろう?自分の空色は記事末に写真添付)

「ああ、あたし、おなかがすいて軽くなったから、ういたのね」「なあんだ。みんな、こんな所にいたから、来なかったのね。」と言うちいちゃんの言葉は、命はなくなっても、空の上で家族と生き続けるちいちゃんの未来を感じさせる。(ちいちゃんは、「自分は死んでいない」と思っている。これからも家族とずっと一緒にいられる、と思っている。)
「小さな女の子の命が、空にきえました」という記述からも、命は見えなくなったけど、ちいちゃんは空の上にいるんだよ、というメッセージを感じる。

物語の最後は、戦後、子どもたちが公園で遊んでいる場面。町にはたくさんの家が建ち、ちいちゃんの最期の場所は公園になっていて、何十年間の変化が分かる。
しかし、最後の2行には、今も昔も変わらない青い空や、子どもたちの笑顔がある。
「今日も」の「も」という言葉に、ちいちゃんや子どもの幸せが何十年たっても続いている喜び、そしてこれからもずっと続いてほしいという願いが込められているように思う。

あの時からずっと続いている空の上、ちいちゃんと家族は今も子どもたちの笑い声を見守ってくれているのかもしれない。
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(私の空色)

いろんな色があって、形もいろいろ。

嬉しかったり、悲しかったり、怒ったり、驚いたり。

見た目も性格も、思いも好き嫌いも、みんな違う。

でも、みんな空で繋がってる。

そんな空が、私の空色です。

関連資料

「地球星歌~笑顔のために~」作詞・作曲:ミマス 編曲:富澤 裕

歌詞やメロディーから、ちいちゃんのかげおくりの作品の思いを感じます。
物語を読んだ後に、作品にピッタリの歌が見つかると嬉しいです。
歌に乗せて、自分たちの言葉や思いがクラスに響くと素敵です。

この青空は
きっと続いてる
遠い町で誰かが
見上げる星空に
・・・
私は祈る
平和のために
まだ見ぬ
あなたの笑顔のために

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「ちいちゃんのかげおくり」国語・物語文 授業案~人物の思いを想像し、考えを交流し、自分の読みをつくる~

上の記事では、
1、単元の構成(目標、単元の流れ、単元構成の意図)
2、学習活動(活動内容と板書例)
を紹介しています。
特に、空(色)とかげおくりの2点に注目して作品を読み通し、自分の読みをつくりあげる授業を目指します。

「一つの花」授業案 ~考えを交流する授業~(作品を貫くお父さんの思い)

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